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【大人】幼少期の体験が今・・・|22年4月1回目|人形劇屋の工藤さん

小さい頃の経験って覚えてる??

「そんなん見たっけ?」。ああ、ショック。子どもが小さい時には、一緒に遊んだりいろんなものを見たりしますが、大きくなって聞いてみると「そうだっけ?」「あんまり覚えてないな~」と言われてがっかり、という人も多いのでは。小さい頃の事って忘れちゃうけど、でも無駄じゃないよね(と思いたい)。幼少期の体験の意味について、工藤さんに聞いてみました。

「大きくなった時、たとえ具体的な人形劇の筋などを覚えてなかったとしても、見たものや遊んだことなど、それぞれの経験は“心の根”を強くしていく種になると思います。それらの体験を何かの折にふと思い出したりもするし、“楽しみの素”として生活を豊かにしてくれたりもしますよね」。

小さい時に何かを見た経験がなければ、大人になってから自分の子にも見せてあげたいとは思わない。「今の子供達はバーチャルなものに囲まれて実体験が減っている分、大人側から意識的に仕掛ける事も大切だと思います。人形劇を見ることは、たくさんの人と出会うのと同じく、普段とは違った価値観に触れること。自分も他人も理解出来る基盤になるのではないでしょうか」。

人形劇を続けておられる工藤さんからのお話で、「幼少期の体験は無駄じゃなかった!」と、改めて嬉しく思いました。

実際に今、子どもと接する仕事をしている参加者の方からも「私たちの職場でも人形劇をすることがあります。子どもたちは、人形劇を通じて自分と他者の違いに気づけたりするようです」という話が出ました。

受験と子育て ~自分でスイッチオン~

さて、高校受験を終えたお子さんがいらっしゃる工藤さん。参加者も同じ年ごろの子どもを持つ親が多かったので、受験や思春期の子育てについての質問も出ました。工藤さんのお子さんは最初「なんで勉強するの? 受験のため?」と、学校での詰込み的な勉強に懐疑的だったそうです。工藤さんは「そういえば学生時代には自分も同じことを考えていたな」と思い出し、子どもを信じて見守るスタンスに変えたそうです。

すると、なんと! ある日突然、自ら算数オリンピックや私立中学入試の問題が並んでる「数学ができる人の思考法」なんていう問題集を買ってきて、勉強し始めたではないですか! その甲斐あって、無事に第一志望の高校にも合格。「高校の受験勉強になぜ中学入試の問題? と不思議に思ったのですが、結果的にはそれがスイッチだったんですね」とお話しくださいました。

受験勉強を始めるのもその子のタイミングがある。子どもが自分で感じて決めることが大切で、子どもが自分で決めると、そこから自然といろいろなことが繋がっていく。「それがその子のスイッチオン!なのでしょう」。スイッチはひとつじゃないし、親には見えていないかもしれない。そのうち自分で小さなスイッチを見つけて「ポチッ」と入れられるかも。

スライドで影絵を見せてくださった工藤さん。影絵は見る角度によって形が変わります。小さな子には、光を動かして視点を調整することもあるそうですが、子育ても同じ。私たちも視点を変えながら、思春期の子どもには工藤さんの言う”ていねいな放ったらかし”も必要だと思いました。その子が輝く角度を探すのも親の役目ですね。

マスク生活 ~見方を変えれば~

今の子ども達は、大人がマスクをしている姿に慣れてしまっています。中には、マスクを外したら泣いてしまう子がいるなど、これまでにはない様々な不安の声も聞きます。

工藤さんは「子どもの成長に影響はあると思いますが、見方を変えたら、目の表情だけでもこんなに感情を伝える事が出来るのだ、と気づく事もできました」とおっしゃいました。なるほど…。

日々、物事を様々な角度から見て考え、伝えたいことを人形劇という形に乗せて子どもに手渡している工藤さん。モノゴトを見る力が育てば、周囲の見え方が変わる。それを「眼差しの解像度を上げる」という言葉で表現されていたのが印象的でした。

素敵なお話、ありがとうございました。

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神戸シュタイナーハウス
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