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自由民権運動についての菅原文太さんと樋口陽一先生のお話 そして映画『わが恋は燃えぬ』溝口健二監督
今年の締めくくりに素敵な動画をみました。
自由民権運動が今の日本国憲法の地下水脈になっているという
ほんの数分の語らいですが、
すごく深いためになるお話でした。
憲法学者の樋口陽一先生と、
俳優の菅原文太さん 、
歴史学者の色川大吉先生の三人でのお話です。
❄️
憲法の肝心の内容には触れられぬまま、
憲法改正がすすめられようとしている今、
もう一度根本にたちかえり、憲法起草の歴史や理念を知りたい。そう願うわたしには
大変興味深いお話でした。
「憲法は戦後、GHQによって押し付けられたたもの」「日本人の精神風土に合わないもの」
このような現憲法を否定的に捉える風説を誰しも聞いたことがあると思いますが、これは本当でしょうか?
❄️
樋口陽一先生がこの動画でもお話になっていますが、
実際は、日本国憲法の草案は憲法学者の鈴木安蔵らを中心とした憲法研究会によって起草され、それがGHQによって採用されました。
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「憲法研究会」のメンバーで 日本国憲法草案を起草
自身も治安維持法で逮捕されたり、
友人の拷問死を目撃している。
憲法の文言の「拷問の絶対の禁止」 の
「絶対」の重み。起草者の願いを考えさせられます。
鈴木安蔵は福島県相馬市出身です。
その鈴木が高知に出向き読んだのが、
高知の自由民権活動家の植木枝盛(うえきえもり 1857―1892)の書いた憲法草案(明治24年)でした。
この草案は民間で書かれた憲法草案の中でもっとも民主的、急進的だと言われているようです。
高く人権を掲げ、
なんと「抵抗権」、「革命権」まで保障する内容です。
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憲法草案に先進的な「抵抗権」を盛り込む。
髪を整える間を惜しみ奔走していた。
不思議だなと思います。
34才という若さで亡くなったひとりの男、
植木枝盛が強く願い心に描いた「自由」の理念が歴史的経緯を辿り、日本国憲法となり
日本人にあまねく届く理念になったのですから。
…不思議な感動がひたひたと満ちてきます。
どこまで未来を遠く見つめていたのでしょう。
植木枝盛は「自由」を「天の賜 たまもの」と言っていたようです。
菅原文太さんはNHK大河ドラマ『獅子の時代』(山田太一脚本)で加藤剛さんと共に主役を演じています。幕末から明治初期の植木枝盛の生きた時代、自由民権運動の時代のドラマです。
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会津藩の下級武士である平沼銑次と薩摩藩郷士の苅谷嘉顕を主人公とし、明治維新の勝者側となる嘉顕と敗者側の銑次がそれぞれの生き方を貫いて幕末から明治を生き抜く様を描いた。平沼銑次役には菅原文太、苅谷嘉顕役には加藤剛が起用された。脚本は大河ドラマ初(結果的に唯一)となる山田太一が担当した。
樋口先生とお話の最後に、文太さんの不思議な希望の言葉、予言のような言葉が印象的でした。
それは
「光は辺境から来たる」
いつの世も圧政や戦争 、災害や飢饉に
庶民はもがき苦しみながら生きて来ました。
しかし辺境=苦しみの中から、光=希望を背負う人間が生まれる、
それも次々生まれるということも
歴史を振り返れば真実であるのでしょうね。
たまたま数日前に、溝口健二監督の『わが恋は燃えぬ』を観たのですが、秩父事件、自由民権運動の時代の物語でした。秩父の養蚕工場での女工さんへの仕打ちのあまりの酷さに泣けてきました。自由民権運動の一番下でもがく女性活動家を田中絹代さんが芯の強い素敵さで演じています。
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秩父事件の他にも各地で抵抗運動があったのでしょう。秩父事件には小鹿野歌舞伎から興味を持っていました。来年は少しずつ歴史の勉強もしていきたいなと思います。
そして菅原文太さんが言うように
少しずつ憲法を読んでみることもしてみたいと思います。