「ちょっとした好奇心からまさかのことが…映画のような展開に手に汗握る~『ミッシング~森に消えたジョナ』~」【YA㊲】
『ミッシング~森に消えたジョナ』 アレックス・シアラー 作
金原 瑞人 訳 (竹書房)
2006.3.13読了
ある朝、仲のいいジョナとジョーはいつものように登校中、けたたましくサイレンを鳴らして走る消防車を見かけました。ジョナは「追いかけようぜ!現場を目撃しよう!」と走り始めました。
とうてい追いつきっこないと思ったジョーは途中でやめたのですが、ジョナはそのまま走り続けました。
「誰にも言うなよ!」とジョナに言われたジョーはひとり学校へ向かいます。
そしてそのままジョナはいなくなってしまいました。失踪してしまったのです。
二日待ってみましたが、いっこうに現れないジョナ。
学校や家にも、警察やマスコミが押し寄せることになってしまいました。
「誰にもいうなよ」という約束を守り通そうとしたジョーは、一人悩み苦しむのですが、ようやく最後にジョナを見た証言者として話し始めるのです。
それでも何も足取りがつまめないまま二年も経ってしまった今、もうジョナのことを話す人は誰もいません。
それでもジョーは、唯一の親友を忘れることはできませんでした。
そしてジョーは一人でジョナのことを探し始めますが…。
前半はジョナのことで苦しむジョーの心をずっと追いかける話になっていて、読む者までその心の葛藤に引き込まれ共に悩みます。
それはジョナの行方が全く語られないからです。
しかし後半はいよいよ核心に入り始めて、映画のようなサスペンスを味わえます。
作者がプロの脚本家だけあって、その展開のおもしろさは納得。
それにしても、副題の「森」というのは心理的な象徴なんでしょうか?
森らしい森は出てこないのですが…。
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