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青春の後ろ姿のその先12 〜教えるということ〜

 大村はま「教えるということ」という本の中に、「仏様の指」という話があります。こんな内容です。

    仏様がある時、道ばたに立っていらっしゃると、一人の男が荷物をいっぱい積んだ車 を引いて通りかかった。そこはたいへんなぬかるみであった。車は、そのぬかるみにはまってし まって、男は懸命に引くけれども、車は動こうともしない。男は汗びっしょりになって苦しんで いる。いつまでたっても、どうしても車は抜けない。その時、仏様は、しばらく男のようすを見 ていらしたが、ちょっと指でその車におふれになった。その瞬間、車はすっとぬかるみから抜けて、からからと男は引いていってしまった。

 大村はまは、先輩教師からこの話を聞いたそうです。そして、先輩教師は 

「こういうのがほんとうの一級の教 師なんだ。男はみ仏の指の力にあずかったことを永遠に知らない。自分が努力して,遂に引き得 たという自信と喜びとで、その車を引いていったのだ」

と話してくれたそうです。
 たまたま大学入試の過去問を解いていた時、某教育大学の入試本文内で取り上げられていてこの話とめぐり逢いました。もう何十年も前のことで、私もまた、駆け出しの教員でした。
 あれからずっとこの話の中の仏様のような教員を目指し続けてきましたが、なれないまま今に至ります。

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