探究型キャリアデザインを実践しよう 人生の針路に悩んでいるみなさんへ(7) 〜 SDGs・探究への招待 #054 ~
3.社会観
今まで社会の出来事などに興味がなかったみなさんも、受験、採用試験、それぞれの目標突破のために、まずざっと世の中の出来事を眺めて、それから考えて、次の質問に回答していきましょう。
やるべきこと
社会を知る。自己分析。
A①印象に残っているニュースや社会的出来事を、
1 経済
2 環境
3 社会(文化・宗教・流行など)
4 科学
5 生活(くらし)
の5ジャンルから1つずつ挙げて、あなたの意見を述べなさい。
②あなたが挙げた5つのことに共通していると思うことを見つけ出して答えてください。
B① どんな社会を望みますか?
② どんな人たちに、どのような影響を与えたいですか?
③ 影響を与えられるようになるために必要なことを全て挙げてください。
みなさんも学校で一度や二度は、
「ネットの記事ではなく、新聞を読みなさい」
と先生方に言われたことがあると思います。「ネットだと自分の興味関心のある記事しか触れないけど、新聞は、興味関心のない記事についても、少なくとも見出しや写真等を通して、世の中全体の動きが情報として知らない間にインプットされることになり、後でいろいろ調べたり考えたりするときに、自然と関連ワードが出てくるといった具合に、知見が広がっていくから」というのが新聞を推奨する理由の趣旨です。私もそれはそう思います。
学校現場では全く同じ議論が今からもう20年ぐらい前にありました。それは電子辞書か、紙辞書か、という議論です。電子辞書反対派の意見は「電子辞書は調べた項目しか目に触れないけど、紙辞書は一覧性があるので、ひとつの事項や語句を調べたときに、その前後の事項や語句まで目に入るので、知らない間により深い学習効果が期待できる」といったものでした。私もそれはそう思います。
ただ、現実は高校などでは電子辞書の採用へと変わっていきました。今ではタブレットを導入している学校などでは、電子辞書ですらなく、辞書アプリを採用しつつあります。車が、たとえマニュアル車にしかない味やメリットがあったとしても、オートマへと変わっていったのと同じように、紙辞書や新聞にいくらメリットがあったとしても、異を唱えるような段階ではないというのが現実だと思っています。実際、新聞を取っている家庭がクラスの1~2割という高校もいくらもあります。
そういう堅い話じゃなくても、例えばペンと原稿用紙からワープロへ、マニュアル車からオートマ車へ、ダイヤル式からプッシュホン式へ、ブラウン管から液晶へ、などと、挙げればキリがないほどツールはアップデートを繰り返し、その度に私たちの作業も単純になりながらその変化に合わせてきました。
つまり、もはや「常日頃から新聞を読みなさい」というのはもはや無効なのでしょう。
みなさん、日ごろから新聞を読めとは私も言いたいけど言いません。ただ、今回の「社会観」の回答をみなさんが作成するにあたって、新聞を読むことは、リアルタイムの社会を一覧するという意味ではこれの右に出るテキストはない、ということは申し上げておきます。
それでも今さら新聞なんてっていうみなさん、『現代用語の基礎知識 学習版』という本があります。このあたりの本で世界の現状をひと通り俯瞰してください。
「便利になる」ということは、基本的には操作が単純化され易しくなることなので、私たちは不器用になっていきます。スキルもいらなくなるので低下するか、無くなります。私たちは、それを「進化」と呼ぶのか、それとも「退化」と呼ぶのかはわかりませんが、未来に進むに従ってどんどん細かいことや創意工夫することができなくなっていくのかもしれませんね。
「便利になる」ことは、本当に私たちに倖せをもたらしてくれているのでしょうか? 私たちはどうなっていくことを望んでいるんでしょうか?
話が進路の話からずれてしまいましたね。でも、小論文や課題のネタ付きだったということで勘弁してください。
そこんとこよろしくお願いします。
最後まで読んでくださってありがとうございます。感謝します。