青春の後ろ姿のその先1 〜愛と幻想のファシズム①〜
80年代バブル当時に書かれました。バブル真っ盛りの時期にバブル崩壊をいち早く設定に取り込み、経済破綻した近未来の日本を舞台にシミュレーション的に描いています。急速に国力を失っていく日本で、ナショナリストのトウジという主人公がクーデタを起こして日本をアメリカ追従政策から離脱させるという内容です。グローバル化が進めば進むほど、ナショナリズムと保護主義が進んだ今を見事に予見していました。
この小説の面白いところは、主人公のトウジが政権を奪取すると共にアメリカをギャフンと言わせるんですが、そこで終わらないところです。システムの破壊で終わらせず、再生が受胎するその微かな最初のひと鼓動を描いています。いえ、書かれている文章自体はシステムの破壊で大体終わりなんですけど、終わりでないと思います。
その理由は、主人公のトウジが頂点に立った時、共に戦ってきたゼロという親友が自殺するからです。これが「システムの破壊と再生」の、「再生」のメタファです。
つづく
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