怒ったっていい②

(①からのつづき)

私は夫に結婚当初から「そんなに頻繁に怒るの、ちょっとやめてみたら?」と言われていたぐらい、夫にはよく怒ってきた。それも他愛もないことで。たとえば、ごはん前にアイス食べたり、夜中にアイス食べたり、常にコーラ飲んでたり、食べたらすぐ寝たり…とかに対して…(ジャンキーぐうたらな夫も、それにキレる私も、ほんとしょーもない笑)。

いや、そのほかでも、コミュニケーションの仕方とか、私や娘に対する態度や接し方について、もっとこうしてほしい、ということをいろいろ言ってきた。普通にリクエストすればよかったのだが、たいていの場合、不満が出発点なので、非難、つまり怒りから始まることになる。

でも実をいうと、私はそれまで付き合ってきた相手に怒ったりすることはほとんどなかったし、あったとしたら別れるときか、もしくは何かすねた態度をとることしか、私はできなかった。そう、自己表現が下手だったから。

でも、ちょうど夫と付き合い始める前ぐらいのころ、ふと読んだ、あるエッセイストの「家族には自分の甘えを出していいと思う。多くの人は、そういう場所で育ったのだから」という言葉が心にひっかかっていた。

その「甘え」とは、もちろん「おねだり」「お願いごと」「頼る」みたいなストレートな「甘え」でもいいけど、ちょっとひねくれた形で出てしまうような、自分の弱い面、嫌な面、恥ずかしい面、みたいなのだって「甘え」として出したっていいんじゃない、というような話だった。

こいつ、子どもだなあ、人間できてないな、ほんとどうしようもないやつだな、、そう思われたとしたって、ありのままを受け入れ合って、支え合っていく…それも家族のあり方としてアリなのかも…

基本的に完璧主義な考え方の私は、そういう考え方は新鮮で、もしかしたらそっちの方が真実なのかも、とぼんやり思っていた。(といっても自分の育った家庭が完璧だったわけではなく、むしろご多分にもれず、人間くさくてお互いの嫌なところがいっぱい見える家だった。だからこそそれが私はとても嫌で、もっと理想の家庭像を思い描いていた。)

奇遇にも、その後結婚を意識して付き合うことになった夫は、もともと高校の同級生だったという気安さや、もともとの彼の性格もあってか、「言いやすい」「甘えやすい」相手ではあった。でも当時はまだ、完璧主義な自分を通すことの方が大事で、怒ったとしても自己主張することは自分の理想の家庭環境を作るためには重要なことだと思っていたので、「甘え」というより自分の「正当さ」を信じて疑わない私だった。

だから、先ほどのエッセイストの言葉の、本当に意味するところがわかるようになったのは、結婚してだいぶ後になってからだったが、今では、家庭という場所であれば、そういう自分の至らないところを、怒り爆発という形であっても、出していいと思っている。むしろ、出せることが本当にありがたく、幸せで、家族に受け止めてもらっているという、家族の愛と安心感を感じる。

ただし…それはやっぱり積み重ねてきた信頼関係、つまりはお互いを理解しあうための対話があってこそ、だと思う。信頼関係は、怒ったあとにしっかり話し合っていくことさえできれば、積み重ねていくことができる。

私が辿ったそのプロセスを…詳しく書けたらいいのだけど、今はちょっとそこまでできそうにないので、また書けそうになったら書くことにする。

が、一つだけ記しておくと、夫の忍耐強さもさることながら、彼が本当にぶれない人で、私の怒りに対して怒りで返すことがなく、それでいて、私が怒りで伝える要求に対して、彼はほとんど応じることがなかった、というのも大きな要因だった。

むしろぶつかりあいたい私は、相手にされないことにますます怒りを感じるし、なんで私の要求をわかってくれないんだろう、と絶望的な気持ちに何度もなった。ただ逆に、怒ったところで何も効果が得られないとなると、相手に対して「怒る」ということがまったく無意味であることを思い知ることにもなった。

だから、自分がどういうことを考えていて、どうしてこういうふうに感じるのか、本当はどうしたいのか、どうなることが理想なのか、それがあなた(夫)と共有できることなのか、どこだったら共有できるのか、話し合うしかなかった。夫と共有できない理想もいくつもあったが、私が不快に感じること自体は、俺はそうは感じないけれども、あなたはそうなんだね、とわかってくれて、じゃあどうしたらいいのか、と話し合うことができた。

おかげで私は怒ることに自己嫌悪を感じなくなった。そしてそもそも怒る回数、頻度も各段に減った。特に夫に対しては今ではほとんど怒ることがなく、「ほんとに怒らなくなったね」と夫も言う。

そして私が娘にキレてると、「ははは、そんな怒らなくても」と夫はいつも笑って言う。そんな夫に、ほんと、感謝しかないです…。

というわけで…長くなりましたが、怒ることに自己嫌悪を感じない方が楽になるし、結局怒ることも減るよ、っていうことと、怒ったあとに対話できれば、結果オーライになるんじゃないかな、って話でした。

(うーん、ただ、対子どもの場合は、ちょっと違うところもあるから、これもまた考え直したら、新たに書くかもです)

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