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【就職までの道 の内容】


ここでは、3歳で自閉スペクトラム症と分かった息子が高校生となり、本人、家族、学校、ハローワーク、生活就労支援センターが横のつながりを持ちながら、就職に向け奮闘した様子をまとめています。永遠に消えない「彼らしさ」を活かしつつ、社会で生きていくにはどうしたらいいのか、悩んだ経過です。


これはあくまでも一例であり、同じように動くのが正解と言いたいわけではありません。「我が子の場合はどうしようか」と考えるきっかけになるなど、何かのお役に立つことが出来たら嬉しいと思っています。





【そもそも一般就労なのか?】


まずは、就職活動に動き出す前、保護者としてどんな気持ちでいたかをお話します。



高校の担任の先生とは就職なのか進学なのか、時折話してはいました。「働くこと」について、とても熱心な指導をしてくださる学校なので、就職する日が来るのなら、ぜひこの学校の力をお借りしたいと思っていました。



でも、社会に出すのは、まだ早いのではないかとも思っていました。高校2年生頃までは、勉強が(暗記が)好きな息子が進学したいと言えば、叶えてあげたいと思う気持ちもありました。担任は、入学から3年間見てくれているので、「3年間で確実にコミュニケーション力が伸びているので、社会に出す前にもう少し学生として猶予をあげたい気もする」と話していました。



でも、「親御さんでも何がベストか分からないのに、これがベストです!なんて言えません」と言われ、本当にその通りだと思いました。これは本人の気持ちを大切にしながら、家庭で答えを出すことだと考えました。高校3年生の就職活動解禁は9月だったため、6月頃から動き始めました。正直なところ、就職活動をする年度だと分かっていても、まだ先のような気がしていました。



まずは、本人が就職についてどう考えているか確認する必要があります。今後、何回も繰り返すことになる「就職に向けた家族会議」の第1回が開催されました。最初に伝えたのは「いちばん大切なのは、あなたの気持ち。なぜなら、あなたの人生だから。でも、まだ一人で決めるには経験が足りないので、口を挟みます。話し合いながら、決めていきたいと思う」ということでした。



そして、「学ぶ」が中心の学生と、「稼ぐ」が中心の社会人の違いを説明し、その後、世の中には一般的な就労と、障害者枠での就労があることを話しました。さらに、障害者枠の就労には、一般の企業に障害者枠で就職する方法と、自分の状況に合わせて仕事の内容や時間を相談できる就労があることを説明。この場合は、最低賃金が保障されなかったり、保証されても時間給だったりなど、いろんな形態があることを捕捉しました。保険は付くのか付かないのかなど、細かく語ればキリがない。なので、そこまでは言いませんでした。…というより、そこまできちんと私の頭の中にも資料がありませんでした。



その上で本人の気持ちを聞くと、発達障害を伝えず一般就労で公務員になりたいと言いました。「そう来たか!」と少しビックリです。理由を聞くと、学校で先輩の経験談を聞く会があり、そこで公務員になった先輩の話を聞いて「かっこいい」と思ったからとのことでした。親から見ると、息子は「これ!」と思うとすぐ惹かれてしまう人なので、いつものパターンだなと思いました。

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