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ヘドロの創作

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フィクションの創作です。
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2025年1月の記事一覧

ヘドロの創作 2025/1/26

ヘドロの創作 2025/1/26

 【猫の喫茶店】

 ある日、マスターがぼんやりとテレビを観ていると、子猫のころマスターが好きだったテレビアニメ「大きめロボ・ニャンダム」の続編映画が公開される、という話が流れてきた。
 マスターはおもわず、誰もいないのに「ほう」と食いついてしまった。
 どうやら最新作がテレビで放送される前に、テレビで放送される第3話までの内容を映画に仕立てたもののようだ。「大きめロボ・ニャンダム」は第1作しか知

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ヘドロの創作 2025/1/19

ヘドロの創作 2025/1/19

 【猫の喫茶店】

 マタタビ市はまたしても大寒波に襲われていた。
 もしかして冬のあいだずっとこうなのだろうか、とマスターは思う。天気予報によれば大寒を過ぎればいくらかマシになる……という話なのだが、その大寒が果てしなく遠い。いや明日なのだけれど。
 マスターは喫茶「灰猫」のまわりに積もった雪を片付けつつ、ひとつため息をついた。寒さと雪、いいかげんにせえよ。まあそこは砂漠にルーツのある猫だから仕

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ヘドロの創作 2025/1/12

ヘドロの創作 2025/1/12

 【猫の喫茶店】

 マタタビ市は10年に一度の大寒波が襲来し、暮らしていたり働いていたりする猫はみんなモッコモコに着膨れていた。寒い、とにかく寒い。雪もドンドコ降る。
 本当に、こんなに寒いのはマスターの人生、いや猫生では初めてだ。道路はツルッツルのアイスバーンになっている。昔の朝ドラの「ブラックバーン校長」というのを思い出さずにはいられない。
 それはエノコロ小路もそうだ。ある日マスターはいつ

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ヘドロの創作 2025/1/5

ヘドロの創作 2025/1/5

 【猫の喫茶店】

 正月が明けて、マタタビ市はいつもの雰囲気を取り戻したように見えた。喫茶「灰猫」のマスターも、そろそろ店を開けなきゃな、面倒だなあ、と思っていた、猫なので。
 正月特番の波がおさまるまでぼーっとテレビを観ていたかったが、年末店のドアに「新年は6日から営業します」と貼り紙をしてしまったので、もう明日から営業を始めねばならない。面倒だが約束は約束だ。
 正月休みも最終日である、そろ

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