✏︎幼児・児童の本物の『数の力』を育むには〜算数が苦手な子に共通するたった一つのこと〜
小学校へ巡回相談をしていると
『算数が苦手だ』
という子にたくさん出会います。
放課後や休み時間に補習をしたり
ご家庭に協力を仰いで宿題に取り組んでもらったりしても、なかなかテストの点も上がらない💧
このような算数が苦手な子に共通するたった一つのことは
数の概念形成が不十分💧
であるということです。
数詞・数字・数量が一致していること
位取りの理解
×「43→よんさん」
○「43→よんじゅうさん」
が、小学校からの算数には大変重要になってきます✨
数の概念は座学で身に付くというよりも
日常生活の中でいろんな『数』にたくさん触れる経験を積み重ねることで、少しずつ身についていくと考えています。
算数の得意・不得意は、もちろん生まれ持った才によるところもありますが
生活環境によるところも大きいと考えています。
今回は、以下の文献を参考にしながら、
数の概念を形成していくためには、どのようなことができるのか
元小学校教員・特別支援学校教員が解説いたします💪
【参考文献】
遊びの中の『数学的体験』
🍀 同じ仲間を集める
数学的概念だけでなく、言語概念をこれから形成していく子どもたちにとって大変重要な、同じ仲間を認識して集めることです。
例
形によって仲間分け→○・△・□ など
生き物の仲間
食べ物の仲間
果物の仲間
おやつの仲間
動物の仲間
植物の仲間
海の生き物
空の生き物
など、私たちは、非常にたくさんの分類の中で生きており、この分類(カテゴライズ)の理解は、これからの数学的概念・言語概念の形成に非常に大切な力になります💪
小学校の算数も、まずは仲間集めから始まります✏︎
日常生活の遊びの中で、おもちゃの片付ける場所を、カテゴリーによって分類したり、
「古今東西 〇〇なもの」
などの言葉遊びを通して、分類する力を自然に高めていくことが重要ですね✨
🍀 2つのものを比べる
例
弟とお姉ちゃんで、
「どっちのおやつが多い?」
「どっちのジュースが多い?」
「どっちのケーキが大きい?」
など、量の比較をする経験をたくさん積むことで、
量的概念の形成を促すことができます。
まずは、おやつ、ケーキなど、目で見てわかりやすい具体物からはじめ、
大きい/小さい
多い/少ない
高い/低い
などが理解できることを目指しましょう💪
『数』との出会い
『数の力』とは何でしょう
数えられること?
大小がわかること?
計算できること?
『数』には大きく次の3要素があります
『数の力』を高めるためには、
これら3要素(数詞・数字・数量)が一致していることが大変重要です✨
では『数』の概念はどのように獲得していくのかみていきましょう💪
🍀 自然数を知る
はじめに出会う『数』が自然数(1、2、3、、、)です
生活の中で、
「10数えたらお風呂あがろうね」
「鬼は10数えたら追いかけてね」
「ブランコ10回漕いだら交代ね」
などたくさん数える体験をします。
しかし、
数えられることと、数がわかることは全く別物です
数えているのは、耳で音を覚えて、言葉(数詞)として発音しているに過ぎないので、必ずしも数字や数量が一致していません。
おやつの数を数える
一人一つのもの(コップ・お皿など)を用意する
などの体験を通して
数字と物とを1対1に対応させる力を身につけることが大変重要です
小学校1年生の算数も、1体1対応が初めの方に学習します。
🍀 「何番目?」がわかる
ブランコを待つ列
おやつをもらう列
など、保育園や幼稚園では順番に並ぶ経験をたくさんします
その中で、「自分は前から何番目か」「後ろから何番目か」など順序を理解する力を高めていきます
これも小学1年生で学習するのですが、
算数が嫌いになる要因の一つがこの順序数です😅
『左から3人目』と言われたら
○○●○○○○
『左から3人』と言われたら
●●●○○○○
この区別ができず、混乱してしまう子がたくさんいます…
日常生活の中で、
「□から○つ目」
「□から○つ」
のものを選ぶ経験を積み重ね、実感を伴って順序が理解できるようにすることが大切ですね✨
🍀 数が読める
数が1から10程度まで数えられるようになったら、
数字の形と数字の音を一致させていくことが大切です
1→いち
2→に
3→さん
4→よん・し
5→ご
6→ろく
7→なな・しち
8→はち
9→きゅう・く
10→じゅう・とお
数える時に、単位をつけて
一つ
二つ・・・
1台
2台・・・
1本
2本・・・
などと大人は数えますが、
まずは、単位なしで数字を
いち・に・さん・よん・ご・ろく
と正しく読めることを目指しましょう
単位は、数の理解がある程度進んでからでないと難しいです。
🍀 量がわかる
数を
1(いち)
2(に)
3(さん)
と数えらるようになったら
数量と数詞を一致させることが大切です
子どもは数を数えるとき、最後に言った数字がその量であると何となく学習していきますが、理解が十分でない場合があります
●●→2(に)
○○○○○→5(ご)
などのように、
数量(●の数)と数字(2)と数詞(に)
の3要素が一致しているか、丁寧に観察しましょう
数量が認識できるようになってきたら
おやつの数を5個くらいなら一瞬で把握することができるようになります。
2つぐらいのチョコなどを隠しておいて
一瞬見せて「いくつあった?」
など遊びながら、数量を把握する練習をしていきましょう💪
数の大きさがわかる
はじめは具体物の数(チョコの数など)を比べることから
少しずつ、抽象的な数字に変えて
「3と5どっちが大きい?」
などの理解へと繋げていくことが大切です。
トランプなどのカードゲームを通して、大きい方が勝ち・小さい方が勝ちなど、遊びを通して学べるといいですね✨
🍀 5までの数がわかる
5が数えられること
5の量がわかること
5の数を分解できること(2と3で5など)
5をまとまりとして、認識できること
これらが、四則計算を理解する上で大変大変重要です🔥
小学1年生では、足し算の前に
数の合成・分解
を学習します
ここで躓く子が非常に多いのですが
非常に大切な概念なので、しっかり理解しておくことが大切です。
時々、
「計算はできるけれど、数の合成と分解はイマイチわからない…」
という子がいます。
計算カードやアプリなどで、計算練習をたくさんしている子に多いです…
計算を暗号のように覚えている可能性があります。
もちろん、ある程度覚えて計算できる力は大切ですが
それは、数量がわかり数を合成・分解する力が十分身についた後に行うことです。
数の合成・分解が十分にできないまま、計算のみをトレーニングすると
いずれ数が大きくなったときに躓きます…
🍀 5〜10までの数がわかる
5までの数の合成・分解ができるようになると
10までの理解を目指しましょう💪
5をまとまりとして認識できたら
5と1→6
5と2→7
5と3→8
5と4→9
5と5→10
この規則に気づかせることが大切です。
ものを数えるとき、単に1から順に数えるのではなく
5のまとまりを作って数える合理的な方法にフォーカスしていきましょう💪
🍀 10までの数がわかる
いよいよ10までの数を理解できる段階にきました✨
10の合成・分解が瞬時にできることは、計算する上で大変大変重要な力です。
1と9→10
2と8→10
3と7→10
4と6→10
5と5→10
これら10の補数の理解を促しましょう
数を速く数えるゲーム
二つのカードの数字を合わせて10になったらもらえる神経衰弱
二つのカードの数字を合わせて10になったら捨てられるババ抜き
など、ゲームを通して楽しく学べるとなお良いですね✨
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
スキ・フォローとても励みになっています🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『数の概念形成』について興味を深めていただき、少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨
【参考文献】
\✨こちらもオススメ✨/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?