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空寝ひつじ
2022年7月3日 00:08
99匹のうちの1匹僕らの導き出した50:50の結果は、ただの時間稼ぎだったみたいで、哀れにも、沈黙する他ない。なくなってしまうこと消えてしまうこと忘れていくことしかできないこと投げ飛ばされた体を必死に都合よく組み替えて、一刻も早く、羽を生み出さなければならない。そうしないと、僕らは死んでしまうこと。本能は知っていた。ぬるいバスタブの上。吐いた息が水蒸気に混じりあって、君も
2022年7月15日 00:12
99匹のうちの1匹魚の座を奪われた。僕、月の座標の上でひとりぼっちの王様。クレーターの端っこで、宇宙(そら)を見下ろしています。見下ろした先の彼方が、まだあたたかいこと、僕はそれを無視してクレーターに埋まっている。冷たいその地表をあたたかいと錯覚することはわざとで、きみはそれを知っているけれど、僕はそれを知っているけれど、みんな、黙っていた。失われた不安が体の表面ごと削れていって、
2022年7月18日 22:59
99匹のうちの1匹夏草を抱えたまま夜空を見上げて、星を掴んだ。きらきらと熱を持った金星が、火星が、ぼくの首を引き裂いて、余熱をはらむ。この道中の湿気が、君にはもう届かないこと。吐き出した煙は辺りをぼんやりとさせ、暑さでダメになった頭を、そっと、肯定する。肯定なんかいらないのに、不健康なまま、熱でうなされる夜に今日も身を落とす。夜を待って、銃声で年を越したい。ずっと燻ったままの思春
2022年7月24日 17:43
99匹のうちの1匹陰気くさいメロドラマに魅せられた彼らの結末は、お分かりの通りで。それを眺めるだけのぼくは静かに死んでいるようなものだった。迫害の先。死んだふりは いけ好かなくて、棚の奥深くに潜んでいる自分は安全地帯だと思い込む。不安定な世界で、安全なんてない。老人の追い剥ぎをして、悪者になることでしかこの世界は救えないのだと説く。折衷案。なるほど、笑顔で頷いて理解した気になれば、