19.B級はそれも愛の内
99匹のうちの1匹
陰気くさいメロドラマに魅せられた彼らの結末は、お分かりの通りで。それを眺めるだけのぼくは静かに死んでいるようなものだった。
迫害の先。
死んだふりは いけ好かなくて、棚の奥深くに潜んでいる自分は安全地帯だと思い込む。
不安定な世界で、安全なんてない。
老人の追い剥ぎをして、悪者になることでしかこの世界は救えないのだと説く。折衷案。なるほど、笑顔で頷いて理解した気になれば、大抵のことがうまくいくのでしょうか?
海の水はしょっぱくて、とてもじゃないが生きていけないから。泳ぎながら、沈んでいくカラダを、酔ったまま瞼の裏側で飼った。この世で一番暗い花火が上がって、盛り上がりの代わりの興奮が口から漏れ出る。夏が、ぼくに殴りかかる。
沈んだぼくは水圧が、心地よく包んでくれていると、錯覚なのかもしれない。それでも居場所の一つであると、思いたかった。派手な人間に足枷をつけられようとも。
はやるものを押さえつけて。血液に塗れたアルバムを放り投げた。大丈夫の言葉は信用しない。
そう、リタイアした君の分までこの時間を貪り喰らう。
夏の魔物は空高く。
ぼくは、君がすきだったのかもしれない。