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そらこ
2024年12月16日 16:16
そのブックカフェは、想像よりも緑に囲まれていた。わたしは入った瞬間、思わずおお、と呟いていた。圧倒される。パキラやオリーブなどが、大きな鉢で床に直置きされていて、天井からはいくつものハンギングポットが吊るされている。名前がわからないのもあるなぁと思いながら近づくと、丁寧に小ぶりのプレートが付いていた。「グリーンネックレス」「アイビー」「コウモリラン」…フェイクグリーンかと思ったけれど、ちゃんと爽
2024年12月9日 20:30
偽善とかそんなふうに言うつもりはないけど、それにしても、きれいすぎる、とマチは思う。祝日の図書館、カウンターの内側に立って、書架をわかめみたいにウロウロしている人たちを見ながら、やっぱ、そうなんだよなぁ。と頷く。きゅうにこんな思考回路に陥ったのは、マチの視線に入る場所で、他の司書が、側面展示を作っているからだった。司書は、印刷してきたばかりのポスターを大切そうに貼っていた。展示は、職員が
2024年12月2日 17:21
12月が来てしまった。つい何週間か前まで半袖だったような気がするのに。電車の中でため息をつく。澄んだ空気が世界を支配するはずの朝、大勢の人で敷き詰められた車両の中は息苦しく、ほぼ大多数の人間がスマートフォンをいじっている。空気が少ない。濁った川のように淀んでいる。スマホを触っていない自分からすれば、何をそんなに一生懸命、確認することがあるんだろうかと思うが、最初はぼーっと見ているうちに、だんだん