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#22 昭和のオヤジが集まるシブいビル(新橋/東京)|写真とひとり散歩

サラリーマンの街といえば、新橋。
テレビの街頭インタビューは、大体が新橋で行われているし、仕事帰りに飲みにくる人も多い。
酔っ払った中年男性が、機嫌良くマイクに向かって話す様子が映されるSL広場は、あまりに有名だ。

電車を降りると駅から見える景色
この場所に見覚えのある人は多いのではないだろうか
休日は私服の人の方が多いが
平日はこの通りがスーツ姿の日本人で埋め尽くされる

そんな新橋に、自分が興味を惹かれたのは昭和レトロなビルがあるからだ。
昭和のサラリーマン、昭和のオヤジの癒しスポットとなっているようなので、行ってみることにした。

今回のお供は、GR3だ。


汐留方面へ

まずは改札を出て、汐留方面へ向かう。
ゆりかもめなどがある方で、昔は若者がお台場に向かうために休日は人通りが多かったような気がする。

地上改札から出たため回り込まないといけない

するとすぐに見えてくるのが、新橋駅前ビルだ。

正面のL字型が1号館で 奥が2号館

新橋駅前ビル2号館

横断歩道を渡らずに、ついついゆりかもめの方まで来てしまったため、新橋駅前ビル2号館から探索をスタート。

ゆりかもめ新橋駅前
家族でどこかから帰ってくる途中?

ゆりかもめの新橋駅で思い出すことといえば、私が大学生の頃の話だ。
当時の交際相手とお台場デートをしたとき、ここで待ち合わせをした。

新幹線が走っている

早めについた自分は、階段を上がった場所で行き交う人々を観察しながら待つ。
そして、ふと階段の方に視線を向けると、何やらぶっ飛んだ服のセンスの人がいる。
しかし、それがまさかの、交際相手その人だったのだ。

新橋駅前ビル2号館

どのような服装だったかというと、上はカラフルなドットに、下は妙なグレーのストライプという具合だ。
せめて、本人的には一張羅だったのだと信じたい。

1階から入ると…

ドア前には、案内板があった。

右半分は昭和で左半分は令和

タッチパネルはあれど、公衆電話も併設されているところが、昭和感を醸し出している。
どうやら入る場所を間違えたようだ。
地下への階段を降りてみる。

このフォントもなんだか懐かしい気持ちになる
古めのビル特有のニオイを感じながら降りる
手すりの木のような色も昭和

昭和の飲み屋街

地下に降りると、期待した内装が待っていた。

左にあるパネルは令和だが
奥に広がる昭和に期待が膨らむ

ビルの地下には、このような小規模な昭和酒場が軒を連ねており、新宿のゴールデン街のような雰囲気がある。

昼まで開店はおろか、客もいなかったため、好き勝手に見て回れた。

床の汚れは染み付いていて
掃除しても取れないのだと思う
手書きのメニュー表に壁に貼られた紙の装飾
手作り感満載
手頃な価格で小遣い制のサラリーマンでも入りやすいはず
若杯者
看板にかかれた店名もなかなか特徴的だ
夜になればこの狭い通路に人があふれるのだろうか
110番の家…ってこういう子どもが
来ないであろうところで意味があるのか?

酒が飲めれば一度は来てみたかったが、ここでは何度も言っている通り、自分は下戸だ。
おそらくここにある店の大半が、飲酒を推奨しているだろうと推測できる。
伺う機会は今後なさそうで、とても残念だ。

手書きの文字
見学だけでも楽しかった
脇にある階段も多分昔からありそうな質感

新橋駅前ビル1号館

続いて、地下からつながっている1号館へ。

ガラスに貼られたオレンジと黄色と青のラインが
なんとも古めかしく感じるのは色合いのせいか?

こちらは、2号館と違って開いている店もあり、人通りが多いようだ。

案内板をとりあえず見てみる
店舗一覧もあったが
残念ながら見ても何階にあるかはわからない

昭和の飲み屋街再び!地下1階を探索

地下1階は、先ほどの2号館同様、飲屋街となっているようだ。
昼間から集合して楽しそうに飲んでいる人たちもちらほら。

意外に店外席が人気のようだ

看板もなかなか年季が入っていて素晴らしい。

一瞬コーヒーと書いてあったため自分も入れるか?
と思ったが開店前

そして、ここも裏の通りのような場所があり、そこを覗くと2号館のような少し狭い路地裏の飲み屋街が登場する。

ご年配の女性が店先に座っていた
開店準備中かと思えばいくつか店が開いている
この天井と床の色が懐かしい
昔住んでいた場所のデパートが
こういう色だったような気がするのだ

ここはサラリーマンの憩いの場として、いつまでも残してほしい。

昭和のような痕跡は、こういった居酒屋だけではなく、案内掲示板にもあった。

このフォントがバラバラな案内板がアバウトでいい
警備室と都営地下鉄線のフォントは
昭和っぽい縦長だ
空調機械室もなんかかわいい

この空調機械室の扉を撮っていたら、警備員の方に「何か問題でもありましたか?」と声をかけられた。

「あ…この文字がかわいいなと思って…」
「そうでしたか〜」
そんな会話を交わして、お互い会釈をする。
撮影禁止だったかと思って、ビクついてしまった。

公衆電話下にはタウンページがあって久々に見た
(2023年度版だが)
そういえば昔はハローページという
個人情報ダダ漏れの冊子があった気がする
ここは人気店なのだろうか
携帯電話の使用は禁止と書いてある
おいしいピラフとか出してくれそう

1階を飛ばして2階

なぜいきなり2階なのかって?それは自分でもわからない。
1階を飛ばして、2階まで来てしまったのだ。

地下と違ってがらんとしている
看板が出ているがすでに開店しているのか否か
ここにもあった空調機械室
漢字が中国語風 おそらく東のはず

歩いてもフロアに人は見当たらず。
写真を撮るには好都合だが、夜はちょっと怖そうだ。

ホラーゲームだったら
奥から化け物が走ってくるだろう
そしてこういう階段を駆け上がるか
駆け降りるが その先にもまた化け物がいるのだ

3階に上がっていく

2階を一周して、3階へ上がってみると、どうやら3階はオフィス街だったようだ。

年季の入った換気扇
年季の入ったドア
店舗ではなく事務所になっている

ビルを後にする

なかなかに雰囲気を楽しめるビルだった。

1階まで降りて外へ
ビル前にはバスロータリーがあり
ちらほらと人が待っている
なんかいた
なかなかにいいビルだった
ずっとこのまま営業を続けてほしい

新橋駅前ビルの歴史

さて、せっかくなので新橋駅前ビルの歴史についても軽く触れておこうと思う。
竣工は1966年(昭和41年)8月。

このあたりは元々、「狸小路」と呼ばれる飲み屋街だったようだ。
1号館の入り口にある狸の像は、これに因んだものらしい。

当時このあたりにあったお店は、そのままここに入居して営業を続けており、このビルの地下にある裏路地感は、意図的に残されたものだ。
それにしても、ビルの中にあの雰囲気を作り出せているのはすごいことだと思う。

建物の雰囲気からか懐かしさがある

できることなら、本物の狸小路を見たかったと思いを馳せながら、次の場所へ向かうことにする。

新橋といえばSL広場

駅の通路を進み、反対側にあるSL広場へ来た。

SL広場たる所以

ここには、最近テナントがだいぶ怪しいと噂のニュー新橋ビルがある。
早速、潜入してみることにした。

ニュー新橋ビル

正面から撮ると、交番が入ってしまうため、沿線から。
右側のビルがニュー新橋ビルだ。

道に合わせているのか微妙に湾曲している

1階&地下

まずは1階から入ったが、建物の作り自体は古いものの、人通りも多く普通の駅ビルだった。

天井にはずっとauPAYの広告が吊り下がっている

特に目新しいものもなさそうなので、早々に地下へ移動する。

タイル造りの壁
憩いの地下街!

エスカレーターを降りるまでは、全体的に青緑のような雰囲気だったが、地下まで降りると一気にオレンジになる。
これは色彩効果で何かを狙っているのか、それともauPAYの権力か…

やたらオレンジ

昭和建築は、なんとなくタイル張りが多い気がしていて、それがまた重厚感を醸し出している。

バックヤードへの道すらなんか重厚感がある
このフォントはThe昭和

そんなビルには時折、呼び込みの声が響く。
とはいえ、シャッターが降りているテナントも多い。
もしどこかの店が入居するなら、ひたすらに昭和っぽい雰囲気の居酒屋が希望だ。
まあ、自分がお世話になることはないのだが。

正直auPAYの広告はちょっと邪魔だ
景観を乱している気がする

地下を歩いていると、レトロゲームセンターを見つけた。
この一角だけは、やたら賑わっている。

ダイアナ…
複数台のゲーム機がありそれぞれプレイヤーが座っていた
そしてまた見つける昭和っぽいフォント

ここにも、喫茶店らしき店があり、自分が好きなクリームソーダもありそうだった。

店頭のディスプレイでは色とりどりのフロートがある
青いのはブルーハワイだろうか?
メロンソーダよりブルーハワイが好きだ

2階を飛ばして3階へ

地下を1周してから、2階へ向かおうとして、一瞬見てから3階へ。
その理由は後ほど記載したいと思う。
とにかくまずは、3階を探索する。

タイル式のエスカレーターで上がる

エスカレーターを上がってすぐに憩いのオアシスが現れた。
このビルは、多分コンセプトが「憩い」だ。

どういうカフェなのか気になるが入る勇気はない

ビルを進んでいくと、またシャッター街に。
ただ、看板は比較的新しいものが多いので、今日はたまたま開いていないだけかもしれない。

左にある消化器がなんかちょっと古い気が?
機能するのか?

とりあえず、1周歩いてみるとなんだかタバコのニオイが充満している。
…ここか!

タバコ天国

全席喫煙可能という、現代ではなかなか珍しいカフェだ。
昭和のオヤジにはたまらないのでは?
非喫煙民からすると、ここには用事はないなとなるわけだが。

そしてまた歩いているとゲームショップを発見。
セガサターンのコントローラーなんかも売っていた。

中野ブロードウェイを彷彿とさせる

そういえば、昔は、さまざまなゲーム機があった。
次々に新しいゲーム機が登場していたような気がするし、同時期に複数社が出していたこともあって、一種の派閥みたいなものもあったような気がする。

自分は、スーファミとゲームボーイ(初代とカラー)、プレステでよく遊んでいた。

スクエニ(当時はスクエア)から出るタイトルをよく遊んでいて、特に聖剣シリーズが好きだ。(2と3は神作だし、LoMも面白かった)
他の記憶に残っているゲームといえば、FFシリーズの7と9、キングダムハーツの1と2だ。
そういえばFF9はクリアしておらず、パーティメンバーのレベルはかなり高かったのにラスボスが倒せなかった。(ラスボスが青の衝撃とかいうHPを1にする魔法を常時使ってくるので、レベルが高くても意味がない…)
弟に頼んで、クリアしてもらい、エンディングは見たが(笑)

FF7はクリアしたものの、確かラスボスではパーティを分割させられたかなんかで、自分のお気に入りが戦闘に参加することなく倒してしまったため、嘘だろ!?となった記憶がある。(お気に入りはレッドXIIIことナナキだ)

おっと…ゲームの話をしだすと止まらないので、ここまでにしよう。
と言いつつだいぶ文字数使ったなと見返して思う。
オタク気質は、これだからいけない。

4階へ上がってみる

4階へ上がってくると、屋外広場があった。
現在は工事中につき、閉鎖されているらしい。

もし出られるなら出たかった

ここもほぼほぼシャッターが閉まっていて、相変わらずのauPAY。

シャッターの色が変わっているところは
交換をしていないのだろう

進んでいくと、営業をしているところがあった。
雀荘と交通ギャラリーという、鉄道ファン向けのショップだ。

ちらっと覗くと1組の男性たちが打っていた
自分は麻雀の役なら国士無双が好きだ
レアっぽい駅の看板などが展示してあった

4階も回ったので、そろそろ、避けていた2階へ行こう。

もはや異世界!問題の2階へ

2階はとにかく異空間というか、異様な空気が漂っている。
そう、ここは多分…風俗店フロアだ。
しかも、何やら外国人らしき女性たちが、店前で客引き。

写真は撮ってみたものの、客やら女性やらの顔が写っており、場所が場所なだけにネットにアップするのが躊躇われたため、1枚だけ。(一応誰も顔が写っていない)

マジで異様な空気を醸している

そもそもフロアに客が少ない分けだが、そうなるとここに降り立った人には必ず声をかけて、客の取り合いみたいになるのかもしれない。

そもそも、この閑古鳥が鳴く状態で営業を続けられるのは、こう見えて意外に儲かっているのだろうか?
この理由を考えているときに、昔流行ったあるビジネス書を思い出したが、ここにそのタイトルを記載すると奇しくも何かを連想させてしまう気がしたので控えることにする。

ニュー新橋ビルの歴史

ニュー新橋ビルの歴史にも軽く触れておこう。
竣工は1971年(昭和46年)2月。

戦後まもない頃は、日本最大規模の新生マーケットがあったらしい。
そもそもはヤミ市だったらしく、取り締まりをされたため、長屋型の共同店舗にしたのが始まりだとか。

設計を行なった松田平田設計のHPには、昔の姿が掲載されていた。
写真を見ていると、和室のような空間があったり、螺旋階段のようなものがあったりと、内装にもこだわりが感じられる。

こちらの「東京WEB写真館 東京いま・むかし」にも竣工前後の写真が載っていて、随分と変わったことが視覚的に確認できる。

現在の様子

終わりに

新橋には、あまり降り立ったことは多くなかったが、街の雰囲気からどことなく昭和の雰囲気をひしひしと感じて、以前より好きな街になった気がする。
今回は、駅周辺のビルだけだったが、次回は街を散歩してみよう。


📷RICOH GR III HDF


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