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アパレル業界のデジタル最前線を走るナノ・ユニバース。ワンチームとなって売上拡大に挑戦!

EC化率およそ20%のアパレル業界において、およそ50%という高いEC化率を誇るアパレルブランドNANO universeナノ・ユニバース

ソウルドアウトでは、2021年の秋頃から、博報堂Gravityとタッグを組み、ナノ・ユニバースのデジタルマーケティングをご支援させていただいています。

今回は、ナノ・ユニバースを運営する株式会社TSIでデジタルマーケティング領域を担当している竹山 健司たけやま けんじさん佐藤 悠歩さとう ゆうほさんと、株式会社博報堂Gravityの中田 亮祐なかだ りょうすけさん、ソウルドアウトで広告運用を担当している中村 有沙なかむら ありささん鈴木 稜也すずき りょうやさんの5人に、3社で進めるプロジェクトの内容や、今後挑戦したいことを伺いました!

株式会社TSI
https://www.tsi-holdings.com/
設立:2011年6月
本社:東京都港区
事業内容:衣料品全般の企画・製造・小売・卸及び輸出入
*NANO universe(ナノ・ユニバース)
1999年にデビューし、2021年3月に株式会社TSIに統合。
ブランドサイト:http://www.nanouniverse.jp/
公式通販サイト:https://store.nanouniverse.jp/jp/
Twitter:@nanouniverse_jp
Instagram:nanouniverse_official

アパレル業界のデジタルマーケティングの最先端を走るナノ・ユニバース

画像引用元:NANO universe

店舗とECが一体化したブランド体験を提供する「ユニファイドコマース戦略」

─── はじめに、TSIさんのお二人の職務内容と経歴を教えてください。

竹山:株式会社TSIのデジタルビジネスDiv デジタルマーケティングDept データマネジメントSectionでSection長を務めています。このSectionでは、広告やMA(マーケティングオートメーション)ツールの運用などを通じて、お客さまの趣味や志向に合わせたセグメンテーションを行なっています。

私は主に、自社で保有するCDP(顧客データ基盤)を活用して、TSIがもつ様々なブランドのECサイトの支援をしています。例えば、顧客データを分析してターゲティングを抽出し、広告やMAツールを使った施策に活かし効果検証を行なうなどです。

私はこれまで、数社の広告代理店を経験したあと、2017年にTSI EC ストラテジーという、TSIホールディングスのEC事業、デジタルマーケティング、オムニチャネルを統括する会社に所属していました。2021年3月にグループ会社の再編が行なわれ、今の部署に配属となりました。

佐藤:私は、2012年に旧 株式会社ナノ・ユニバースに入社し、撮影チームでフォトグラファーやレタッチャーを経験したあと、広告・CRM領域に携わってきました。グループ再編後は、ブランドを横断して広告領域を担当しています。

─── 現在取り組んでいらっしゃるTSIさんの全体戦略について、どういった背景があるのか教えてください。

竹山:私たちTSIは、店舗とECが一体化したブランド体験を提供する「ユニファイドコマース戦略」を掲げています。店舗やECサイトでの商品購入、アプリの活用、商品在庫など、あらゆるデータを統合して、オンライン・オフラインの隔たりを取り払い、一人ひとりのお客さまにパーソナライズされた最適なサービスを提供することを目指すマーケティング手法です。

ナノ・ユニバースは、TSIの中でも先行してデジタル投資を進め「ユニファイドコマース戦略」を実行しています。

─── では、「ナノ・ユニバース」というブランドについて教えてください。

佐藤:ナノ・ユニバースは1999年に渋谷でセレクトショップとしてスタートし、現在は全国に約70店舗まで拡大しています。

現在ナノ・ユニバースでは、今年3月からは約3年をかけて段階的にリブランディングを行なっている状況です。以前は単一的なブランドとして存在していたのですが、6レーベルに加えてゴルフレーベルからなる「マルチレーベルストア」として生まれ変わります。ジャンルや価格帯を広げることで様々なニーズに応え、多様性のあるブランドを目指しています。

リブランディングによって起こるお客さまの意識の変化を感じ取り、デジタル広告を通じて新たな価値を提供していくこと、売上と利益をつくっていくことが私のミッションです。

アパレル業界でも屈指のEC化率の高さ

─── ナノ・ユニバースさんのEC化率は約50%。アパレル業界の約20%という数字と比較してとても高いですよね。

佐藤業界の中でも早い段階から動き始めていたことが大きな要因だと思っています。ファッション通販サイト「ZOZO TOWN」が立ち上がった2000年初め頃、「これからはECが来る!」と感じて、デジタル施策に取り組み始め、自社ECサイトにも注力してきました。

創業社長や当時の担当部長が世の中の流れに敏感だったことや、デジタル領域に詳しい社員がいたことも、EC化率の高さに結びついているのかもしれません。

現在も、自社ECサイトのほかにZOZO TOWNやAmazon、楽天などのECモールに出店しています。平均の購入単価や競合のブランドさんが違ってくるので、それぞれの場所に合わせた戦略をとっていますね。

─── なるほど。アパレル業界のECがブルーオーシャンだったところから取り組みを始められていたんですね。

佐藤:そうです。しかしEC化率が高いから一概にいい、というわけではないと考えています。ブランドの目指す方向性によって適切な割合があると思うんです。店舗での販売に力を入れているブランドもあれば、ECだけで購入できるブランドもあります。ですので、ナノ・ユニバースにとって「50%」という数字が健全なのかどうかを見極めながら、デジタル施策に取り組んでいきたいです。

現状、ナノ・ユニバースにやってきてくれる新しいお客さまの数は、ECよりも店舗のほうが多いです。オンラインとオフライン、お互いの相互関係を深めることで、もっとたくさんのお客さまにナノ・ユニバースに来ていただけるようになると考えています。

デジタルマーケティングの取り組み

「ソウルドアウトであれば、パートナーとして最高の仕事ができる」

─── それでは中田さん、自己紹介をお願いします。

中田:私は博報堂Gravityの前身会社の一つであるコスモ・コミュニケーションズに2020年に入社し、その年から、ECのデジタルプランナーとして、ナノ・ユニバースさんとご一緒させていただいています。

竹山さん佐藤さんからご予算をお預かりし、その中で売上を最大化できるよう、ソウルドアウトの皆さんと議論しながらプランニングをしています。ナノ・ユニバースさん、ソウルドアウトさんとワンチームになり、プロジェクトを進行するのが私の役割です。

以前からソウルドアウトさんとは、別のプロジェクトでご一緒させていただく機会があり、テクノロジー関連の広い知識や、柔軟で素早い対応、懐の広さを感じていました。ナノ・ユニバースさんのプロジェクトで広告代理店のチームを探していたとき、ソウルドアウトさんであればパートナーとして最高の仕事ができると思い、依頼させていただいたんです。それがきっかけでチームを組んで一緒に仕事をしています。

様々な視点から広告を評価する

─── 3社で推進するデジタル広告の取り組みについてお伺いしていきたいと思います。現在はどのような広告の配信に注力していますか?

中田:データフィードを使った広告を中心に配信しています。GoogleのSSCやP-max、Criteo、Facebook、Instagramなどです。

これまでも様々なメディアや配信手法に積極的に挑戦してきました。度重なるチャレンジの結果、データフィードを活用した広告配信では、検索広告などの広告と比較して、高いROAS(広告の費用対効果)を保ったまま、売上を拡大させることができるという傾向がわかってきたので、現在特に注力しています。

また、ナノ・ユニバースさんでは、単純にROASの良し悪しで広告の成果を判断するのではなく、アトリビューション(購買に至るまでの間接効果)も大切にしています。直接購買に結びつけることだけが広告の目的ではありません。ユーザーとブランドとの接点を増やしている、ブランドの認知を高めている、といった視点も、広告を評価する際には重要です。チーム全員がこういった共通認識をもった上で議論を重ね、施策の実行に移します。

─── 試行錯誤を重ねた結果、現在はデータフィードを使った広告に注力されているのですね。直近ではどのようなチャレンジをされましたか?

中田:今年6月に日本で広告が解禁されてすぐに始めた、Pinterest広告の配信です。現状は厳しいものでしたが、今もなお、攻略に向けた改善計画をソウルドアウトさんとともに練っている最中です。

また、弊社はナノ・ユニバースさんのPRチームのご支援もさせていただいており、そこで今回の広告配信でわかった内容を共有しました。まずオーガニック投稿で認知を広げ、そのあと広告に挑戦する、という方向で考えています。

売上拡大のため、様々な広告配信に挑戦

─── では、実際に運用しているソウルドアウトチームにも話を聞いていきたいと思います。GoogleのSSCやP-max、Criteoの運用では、どのような工夫をしているのか教えてください!

鈴木:ナノ・ユニバースさんから、注力商品への重み付けや在庫量に応じた配信コントロールを行っていきたいというご要望をいただきました。

具体的な運用方法としては、ナノ・ユニバースさんより毎月、注力商品の一覧をいただき、商品別に配信調整を行なっています。通常のキャンペーンと比較して、配信金額は違いますが、ROASが約1.5倍になるなどよい成果を実現しています。

今後も精微な運用を心掛け、パフォーマンスの最大化へと繋げていきたいと考えています。

─── 広告媒体の完全な機械学習に任せるのではなく、運用者がある程度コントロールした上で配信することで、ROASの改善にも繋がっているんですね。続いてリブランディング・プロジェクトの稼働以降、広告施策への影響、変化はありますか?

中田リブランディングを通して、今までとは違う好みをもったお客さまが興味をもってくれるようになる、お客さまの層が変わってくる、といった仮説を立てています。ですので、これまでのリターゲティング配信と、Criteoでできる新規ユーザー向けの配信手法2種類を検証しました。

鈴木:それが、購入履歴のあるユーザーの行動をもとにターゲティングする「CCA(Criteo Customer Acquisition)」という手法と、興味・関心をもっているユーザーにターゲティングする「Consideration」という手法の2種類です。結果、CCAではROASが143%、ConsiderationではROASが27%だったので、CCAを採用することにしました。

Cookieの利用制限に備えた「種まき」という意味でも配信を続けています。

─── Facebook、Instagramでは、データフィードを使ってどのような取り組みをされていますか?

中村:Facebookでは、「Facebook DPA(ダイナミックプロダクト広告)」を配信しています。ユーザーのECサイトやアプリでの行動履歴をもとにリターゲティング広告を配信したり、そういった履歴がないユーザーに対しても、Facebookのユーザーデータから関心のありそうな商品を訴求したりすることができる配信手法です。以前まで配信していた静止画の広告ではROAS100%を下回っていましたが、現状配信しているDPAでは平均ROASが700%を超えるなど、大きく成果が改善しました。

また、Instagramでは、ショッピング広告の配信も行ないました。画像をタップすると商品名・価格が記載された商品タグが表示される広告となっており、スムーズに商品購入を行なえます。実際に商品タグがあるショッピング広告の方が、通常の広告に比べ、CPAは約20%改善しました。加えて、過去に商品にアクションを行なったユーザーをもとにした「ショッピングカスタムオーディエンスデータ」を活用したことで、CTRは約15%向上しました。

直近では、最近は購入していないけれど過去に購入したことのあるユーザーをターゲティングする配信も行なっています。ナノ・ユニバースさんが顧客データからリストを作成してくださり、FacebookやInstagram、Criteoで配信しています。

─── 顧客データを広告配信に活用していくということですね。

佐藤:実は2021年2月から、TSIでは「ユニファイドコマース戦略」の一つで、店舗の売上データをFacebookに連携する取り組みを始めています。ナノ・ユニバースでは12月に、全国約70店舗のデータを連携し、ユーザーの最も近くにある店舗のページが表示される、来店促進の広告でテスト配信を行ないました。

ECサイトに誘導する通常の広告と比較して、店舗での購入金額が約2倍高いという結果が出ました。一方、ROASについては通常の広告で成果が良かったです。これは、来店促進の広告と通常の広告とで異なる最適化がかかっていたことが一要因として考えられます。今後は、より取得データを増やして配信の最適化を進めていきたいです。

3社の得意領域のかけ合わせが相乗効果を生む

─── 様々な広告配信に挑戦されているんですね。3社でプロジェクトを進める中で、どのようなことを感じられていますか?

佐藤:同業他社さんに3社で取り組んでいることを話すと、「変わっているね」とよく言われます(笑)。

博報堂Gravityの中田さんは全体のディレクション、ソウルドアウトさんは広告運用、それぞれの得意領域に専念してもらうことで相乗効果が生まれて大きな成果に結びついています。これが3社で取り組む強みですね。

竹山:各領域に精通しているパートナーさんにお力添えいただきつつ、自社でやるべきところは自社で取り組んでいます。例えば、自社で保有している顧客データを広告やMAツールでどのように活用するのかは、私たち自身で考え取り組んでいる部分です。

─── ソウルドアウトチーム対してはどのようなことを感じられていますか?

中田:ソウルドアウトさんは、かゆいところに手が届く方たちだなあ、と思います。細かな提案をこまめにいただけるので、とてもありがたいです。施策の実施スピードや改善スピードも速く、PDCAをどんどん回すことができています。

佐藤:最初はデータフィードの改修やアカウント構成の見直しなどを、わかりやすくご提案いただきましたね。安定的な運用をしていただいているので、安心してお任せしています。

竹山:私はグループ再編が行なわれる前、TSI EC ストラテジーという会社でEC事業の広告領域を担当していました。各ブランドのECサイトに携わる広告代理店さんとの会議に参加していたので、ソウルドアウトさんの情報共有の速さ、提案の多さをひしひしと感じます。

3社でワンチームとなり売上拡大に大きなインパクトを

─── ソウルドアウトの運用チーム二人の、今後挑戦したいことを教えてください!

鈴木:新しい広告媒体や配信手法が発表された際、同業種の事例がないと踏み出せないという広告主さまは多数いらっしゃいます。一方でナノ・ユニバースさんは、常に同業他社に先駆けて事例を創出しようとされてきました。

私たちも最新情報のキャッチアップに努め、過去実績に捉われずに、新しい施策を積極的にご提案していきたいと考えています。

中村:ナノ・ユニバースさんは、アパレル業界のECをけん引してきた存在です。今後も、そのスピード感に伴走できるよう、Instagramでは新しい機能をどんどん取り入れていきたいです。もちろん売上拡大にもこだわります。顧客データを活用した施策にもチャレンジしていきたいです!

─── 3社でワンチームとなり、取り組んでいきたいことを教えてください!

中田:まず大前提は売上を最大化することです。絶対に外せないことですし、プライドをもって必ず達成したいと思います。広告領域以外でも、ナノ・ユニバースさんのお役に立てることがあれば、ソウルドアウトさんと一緒に取り組んでいきたいです。

そして、この取り組みを通じて、Google Partners が主催する Premier Partner Awardsを獲りたいですね!

竹山:ぜひ、頑張りましょう!ナノ・ユニバースには、柔軟にいろいろなことにチャレンジできる風土があります。その中でいろいろな新しいことに挑んでいきたいですね。私自身は、チームメンバーのフォローもしっかりやっていきます。

佐藤:広告領域では、まずはリブランディングへの対応と、Cookieレスへの対応(自社データの活用強化)ですね。そして売上の最大化です。ナノ・ユニバースは、TSIの中でも大きな売上シェアを占めています。これからもTSI全体の売上拡大に、広告領域からインパクトを与えていきたいです!


編集後記
私も普段からお世話になっているナノ・ユニバース。裏側の話を伺うことができ、「なるほど」と思う部分が多く、個人的にもとてもおもしろいインタビューでした。3社での取り組みはまだまだ始まったばかりなのでこれからも楽しみにしています!

【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】


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