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倍増 ③/全4話 【創作台本・世にもになるまで書いてみた・127作目】

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 翌朝。
 主人公 寝ぼけながら、枕元の目覚まし時計を手に取る。

主 ・・・もうこんな時間か。。。

 主人公 ダルそうに起き上がる。
 心臓の音のSE。なぜか輪唱のように音が重なっている。

主 (自分の両胸に手を当て)・・・え??

 主人公 異変に気付き、唖然。

○ 病院・診察室

 医者 レントゲン写真のコピーを見ながら、驚きの表情。

医 いやぁ・・・ どの内臓も2個ずつになってますね。。。
  今朝、急になんですよね?
主 まぁ・・・ はい・・・
医 何というか。。。
  この仕事を始めて長いですけど、増えたなんて事例初めてですよ。
  これは学会で発表しなければだな。。。
主 はぁ。。。
医 とりあえずお薬出しておく・・・にしても、全部異常ないしな。。。
  ただ増えただけの場合は。。。
主 ・・・なんかすんません。。。

 主人公 悩む医者に軽く謝罪。彼もどこか混乱している。

○ 主人公の職場・社員食堂

 後輩 笑いながら主人公の話を聞いている。

後 マジっすかw じゃあ今の先輩は「十臓十二腑」なんすねw
主 (声のみ)笑い事じゃねぇよ。
  まさか臓器が増えると思うか? それも「いいこと」ってくくりで!
後 いやぁ・・・ でも何かしらはあるんじゃないですか?
主 (声のみ)適当なこと言うなよ! 何なんだよ一体・・・!
後 てか先輩、まだ食うんすか?

 主人公のカット 大量の食器に囲まれながら、大盛のうどんを食べ始めている。

主 仕方ねぇだろ。こっちは胃も腸も増えてんだ。
  どんだけ食っても満腹なんねぇし、金は減るし・・・
後 そりゃ大変・・・
  あ! ありましたよ良いこと!
主 はぁ?

 主人公 箸を一旦止め、後輩の話を聞く。

○ ラーメン店

 主人公 物凄い勢いで麺をすすり、顔が隠れるほど大きな丼を、両手で持ちスープを飲み干す。豪快に丼をカウンターテーブルに置く。

主 ・・・ごちそうさん。

 ラーメン店の店主 完食した主人公に驚くどころか引いている。

店 お、おめでとうございます。。。お代はタダで結構です。。。
主 ん。

 主人公 荷物をまとめ、店内から出て行く。

 ラーメン店のバイト 店長に近づき、小声で話しかける。

バ さすがっすね「ブラックホール男」・・・
店 だな。。。
バ なんならさっき「パンケーキ食べ放題」の新記録を出したみたいっすよ。
店 え、じゃあはしごしてんの!? やべぇな。。。
バ でも毎日来られちゃ大赤字っすよ。さすがに考え時では。。。
店 ・・・・・・だな。

 ラーメン店は主人公の話題で持ちきりに。
 厨房内だけでなく、お客さんたちも主人公の話題で盛り上がっている。

○ 居酒屋

 その日の夜。
 主人公 後輩と飲んでいる。

後 いや~ さすがの食いっぷりっすね、先輩!
主 (ジョッキを空にして)当たりめぇだ。毎日デカ盛り食ってんだよ。
後 そうっすよね~ しかも全部完食してるんですよね?
主 おうよ。おかげで食費が浮くわ浮くわ。
  久々に給料日まで何不自由なく暮らせそうだ。
後 いやいや、提案したのは俺っすよ? 少しはお礼を・・・
主 わかったわかった。今日奢ってやるから!
後 あざーす!
主 その代わり、あと3軒は付き合えよな。
後 はい! お供させて頂きます!
主 よし決定!
  (店員に)あ、すんません。生2つ追加で。あと枝豆・だし巻き・・・

 主人公 メニュー表を指さし、追加オーダーをどんどん頼んでいく。

○ 夜道

 主人公 かなり満足そうな様子で帰宅中。

主 ふい~ 結局、浮いた金全部使っちまった~
  ま、明日もデカ盛り食えばいっか! ガハハ!

 主人公のスマホにメッセージが届く。「今日の倍増」の通知。

主 ・・・なんだよ。またどうでもいいもんじゃねぇか。
  ん? リクエスト機能あったのか!? 
  何だよ、もっと早く気付けば良かった~
  そうだな・・・ 「休み」を増やしてほしい・・・

 主人公 歩きながらリクエストを入力する。周りに気付いていない。いつの間にか赤信号の横断歩道に出てしまう。不幸にも止める人は誰もいない。
 クラクションのSE。

主 あ・・・

 衝突音のSE。
 アスファルトのカット。主人公のスマホが裏向きで落ちてくる。

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あじふらい【奇妙な世界を目指して956日目・現在134作目・毎日21時に投稿】
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