一択　【創作台本・世にもになるまで書いてみた・あじふらいclassic・全5話】

～あらすじ～
主人公は極度の優柔不断な男。
妻や娘からもイライラされる始末。
そんなある日の夜。「一択の世界の方が幸せだ」と言いだし･･･

これまでの話はこちら！

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○　ファミレス

　昼のファミレス。満席で大賑わい。家族連れやカップル、老夫婦など様々な客層。
　メニュー表のカット。ハンバーグのページ。
　主人公（30代男性）　メニューを見て、頭を悩ませている。

主　やっぱりレギュラーにしよっかな･･･　いや、チーズも捨てがたい･･･
　　あ、おろしそも美味しそう！　･･･目玉焼きもあるのか。悩むな。。。

　主人公の妻と娘（中学1年ぐらい）　主人公を冷めた目で見つめている。

娘　ねー、パパはやくー　おなかすいたんだけどー
主　ごめん！　もう少し待って！　
　　･･･とんかつも美味しそうだな。。。

　主人公の妻と娘　ほぼ同じタイミングで、ため息をつく。

○　主人公の自宅・外観

　時は過ぎ、夜に。2階建ての一軒家。リビングに明かりが点いている。

○　主人公の自宅・リビング

　人生ゲームのアップ。一番最初の職業選択のマスで悩む主人公。
　主人公の顔のアップ。かなり深刻そうに悩んでいる。

主　･･･どうしよっかなぁ。。。
妻　ねぇ、また？　いい加減にしてよ。。。
主　･･･ごめん。あともう少しだけ！
娘　だめー　時間切れでーす。

　妻　主人公のコマを勝手に「ビジネスコース」へと進める。

主　ちょ･･･　まだ決めてない･･･
娘　この調子じゃ、いつまで経っても終わんないよ～　
　　優柔不断すぎ！
妻　そうよ。さっきのファミレスでもそう！
　　ハンバーグのトッピングだけで何分も悩んで･･･　
娘　しかも頼んだのは「ざるそば」。時間返せって感じ！
主　それは･･･　その･･･　他のページ見てたら急に食べたくなって。。。
　　というか、決めるのが早すぎない？
　　あんだけメニューがあったらさ、普通悩まない？
娘　いや、私たちだってちょっとは考えたよ？　パパが遅すぎなだけ。
妻　というか、なんでそんなに悩むわけ？　理解できませんっ！
主　だ、だって、悩むわけって言われても･･･　

　主人公　優柔不断な理由はなぜなのか、悩み始める。

娘　（主人公に呆れて）･･････もういい。ママ、先進めよ。

娘　ルーレットを回し、駒を進める。ラッキーマスに止まる。

娘　あ、やった！　5万ゲット～
妻　え～　いいな～

　妻と娘　主人公を気にせず、人生ゲームを続ける。
　主人公　母と娘に論破され、悲しげな表情。ふと、テレビに目が行く。
　テレビ画面のカット。グルメ番組が流れている。こだわりが強いラーメン店の特集。ナレーターが店の説明をしている。

○　グルメ番組

　ラーメンのインサート。とても澄んだ色のスープ。

ナ　なんとこちらのお店、メニューは「塩ラーメン」のみ！
　　店主こだわりの食材で作った１杯は、まさに絶品！

○　主人公宅・リビング

　妻と娘　引き続き、人生ゲームを楽しんでいる。
　主人公　人生ゲームそっちのけで、テレビ画面をボーッと見つめている。

主　･･･へぇ。１種類だけか。いいな。。。
妻　ん？　
主　いや、こういう店なら、僕も迷わなくて済むなって。
　　いっそのこと、全部「一択」になればいいのに。
妻　はぁ？
主　だってさ、その方が悩む時間も無くなるし、楽じゃない？
　　例えば、そうだな･･･　
　　食べ物はずっとカレーだけ、服はずっとスウェット、テレビ番組も･･･
娘　えー？　絶対やなんだけど！
主　いやいや、そっちの方が幸せだって！

　突然、モノクロの静止画に。主人公の楽しそうな笑顔で止まっている。

主　（語り）この時までは本気でそう思っていた。だが･･･