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営業視点で考える、日程調整ツールってどう使うのが正解なのか?

前回は営業が商談数を最大化するための5つポイントについて書きました。今回はもう少し個別の手段を深堀りしたいと思います。

まずは簡単におさらいすると、営業マンが商談数を最大化させるポイントは、業務の効率化と適切なスケジューリングにあります。

多くの会社では、13時から14時までを商談に、14時から16時までをテレアポに、16時から17時までを再び商談に充てるといった方法を取りがちです。

しかし、異なる性質の仕事を同じ日にやると、頭の切り替えをするのに時間がかかります。このようなスケジュールではパフォーマンスが上がりづらいのです。やはり同じ業務はまとめて行ったほうが効率的です。

提案書の作成も、効率化が求められる業務のひとつです。なかなか成約に至らない商談のために詳細な提案書を作り続けている営業もいるのでは、と思います。商談の受注率は高くても10%なので、ある程度は効率化したほうがいいでしょう。

仮にテンプレートを用いたとしても、1件あたり1時間かけて月に30件も作成するとなれば、合計30時間もの時間を費やすことになります。

できれば提案書は大まかに作っておき、客先ごとに社名を変える程度で済むのが理想です。私が営業をしていたときは、ある程度パッケージ化された提案書があらかじめ用意されていて、どの客先でも基本的に同じものを使っていました。

で、見込み客ごとに訴求する事例だけは別途選別して準備し、それを差し込む形でした。

経験を積んだ営業であれば、ほとんど準備なしで商談に臨めます。私の場合、後半の数年間はほぼ準備不要でした。客先に入る直前に5分ほどホームページを確認する程度で事例を選べます。一方、新人時代は1件につき1時間ほどの準備時間を要していたと思います。

この部分はトレーニングを重ねることで、どんどん短縮できます。1年もすれば、1件あたり10分から15分の準備で済むはずです。

後方支援チームを検討するのもあり

フィールドセールスの業務を効率化させるためには、後方支援チームを置くと効果的です。私が以前いた会社では、3〜4人の営業に対し1人の営業アシスタントが付いていて、営業がお客様から要求を受けたらアシスタントに連絡し、すぐに見積書を送付してもらえる体制を構築していました。

営業チームがある程度の規模になると、このような後方支援チームを作ることも検討すべきでしょう。訪問に必要な資料の準備もアシスタントに任せられると、より商談そのものに集中できます。

前日の昼までに「明日はこの会社と商談をする」と連絡しておけば、当日持参する資料一式を用意してくれるといった支援体制をつくれるといいと思います。

スタートアップでは基本的に営業がすべて自分でやっているケースが多いようです。どこかのタイミングで後方支援チームを検討してみてもいいかもしれません。

日程調整ツールは便利だけど要注意

最近よく目にするのが日程調整ツールです。営業の間でも活用が広がっていると思います。私自身も利用していますが、とても便利ですね。

このツールは商談数の最大化にとても効果的だと思います。自分の都合に合わせて予定を入れてもらえるので非常に便利です。前の予定との間隔を15分空けるなど、細かな設定も可能です。

私の場合、前の予定との間隔は空けずに設定しています。商談やミーティングは1時間以内で終わらせ、すべて連続して入れられるようにしています。また、商談を入れる際は、「この日は商談に集中しよう」と意図的に空けておくこともあります。

このようなツールは複数ありますが、当然、しっかりと活用したほうがよいでしょう。

ただ、注意が必要なのが、こちらから「この日程から選んでもらえますか?」と聞くべきなのか、相手に予定を出してもらうべきなのかという点です。

下手をすれば失礼になるかもしれませんし、どちらが正解なのかは定まっていないように思います。

実際、SNSでも「営業から突然、日程調整ツールが送られてきたが、これは失礼だ」と投稿している経営者を何人か見かけました。

急に日程調整ツールを送ると不快に感じる人もいるのでしょうが、これはおそらく伝え方次第だと思います。

比較的年配の方ほど、日程調整ツールを送られるのを嫌がる傾向にあり、「自分の都合を優先されている」と感じるのかもしれません。逆にスタートアップの経営者であればツールを活用してもらったほうが助かるといった印象です。

相手のキャラクターや考え方、こちらとの関係性、いろんなことを考慮したうえで日程調整ツールを使う、使わないを判断するのがいいと思います。

非常に優れたツールではありますが、ツールのせいで損をしたらもったいないです。必ず使うのではなく、一呼吸おいて使うべき場面かどうかを見極めるといいと思います。

商談の前に必ず電話でヒアリング

商談数を最大化するために大事なことが最後にひとつありました。

見込み客へのヒアリングは事前に電話で済ませておきましょう。

私が営業職だったとき事前の電話は頻繁に行っていました。最近のスタートアップにも同様の取り組みをしている会社はけっこうあります。

インサイドセールスが来週の月曜10時のアポイントを取ったとすると、木曜か金曜にフィールドセールスが電話やメールを入れ、見込み客の抱える課題や当日同席予定の人の役割などをヒアリングしておくのです。

その情報をもとに当日の準備をし、場合によっては「今の状況では商談をしないほうがよい」と判断することもあります。

つまり、ムダな商談を避け、実施するからには十分な準備をしてから臨もうという考え方です。インサイドセールスが取ってきたアポイントをそのまま商談に繋げるのではなく、一度内容を精査し、事前に情報を入手しておくわけです。商談の場でヒアリングをするのでは遅いのです。

こうした取り組みをしている会社もあります。商談数最大化とは直接関係ありませんが、私の教え子にI君という人がいます。彼がプロジェクトマネージャーとして自社にCRMを導入するプロジェクトに関わったときの話です。

全部で5社からの提案があったので、I君は各社の評価を行いました。

タイトなスケジュールで条件の複雑な依頼だったにも関わらず、求める期待値、当日のゴール、アジェンダ、決裁までの流れ、不明点の質問、予算感などを初回の打ち合わせまでにすべて電話で確認し、当日は役員とSEを同席させて初回商談でプレゼンまで行ってくれた会社があったそうです。

すべての会社に「不明点があればいつでも連絡してほしい」と伝えていたにも関わらず、5社中3社は当日まで一度も連絡がなく、要求が満たされなかったため、やり直しを依頼して無駄な打ち合わせに終わったそうです。

結局、要求を満たせた2社のうちの1社がI君の案件を勝ち取りました。さきほどの初回商談でプレゼンまで用意していた企業でした。機能的な差はなかったものの、徹底した事前準備とスピードで契約を勝ち取ったそうです。

その会社は世界的にも有名なCRMベンダー企業ですが、おそらくそこの営業担当個人の能力というよりも、同社にはそういった文化やルールが根付いているということです。

そういえば、あの会社は商談前に必ず連絡を入れてくるな、とあらためて気づいた方も多いのではないかと思います。けっこう大事なポイントではないでしょうか。


このnoteでは営業戦略の立て方から、個別の戦術や施策について順序をたてて解説しています。

こちらのマガジンにすべてまとめていますのでご覧ください。


次回は実際に商談でどうやって受注率を上げるのか。その考え方と方法についてです。

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