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顧客に「導入事例」の打診に快諾してもらうためのとっておきの秘訣
こんにちは。株式会社マイノリティの代表の柳澤(@socialselling84)です。
前回の記事では、導入事例の重要性と、効果的な使い方について解説しました。BtoB企業にとって導入事例はなくてはならない営業ツールであり、新規顧客獲得の大きな武器になります。
ただし、そんな導入事例をつくるのが、実際はかなり難しいという側面もあります。まずよく聞かれるのは「導入事例に出てくれるお客さんがいない、見つからない」という声です。
どうすればお客さんが快く協力してくれるのか。今回は導入事例の依頼方法について深堀りしておきます。
事例に出てもらうには
事例作成において、まず協力いただける既存顧客を見つけることが、非常にハードルが高いものです。よくあるのは、顧客にとってベネフィットがないために断られてしまうパターンですね。
特にスタートアップの場合、導入先が少なく、まだ十分な結果が出ていないために、うまく語ってもらえないことがあります。また、結果は出ているものの、顧客にとって協力するメリットがないために断られてしまうケースもよく見られます。
顧客からすれば、ただ「導入事例記事に出てください」と頼まれてもめんどうなだけで、断りたくなるものです。成果の有無に関わらず、協力するメリットがなければ断るのが自然な反応でしょう。
そこで重要なのは、事例に出ることによる顧客側のメリットをきちんと伝えることです。
たとえば、担当者の方には、名前付きで登場することで自分の経歴のトラックレコードになりますよ、と暗に伝えます。経営者の方には、展示会などで年間1万部ほど資料配布するので認知度向上に効果があると説明するのです。
打診する側は、担当者や経営者にとってのメリットを明確に伝える必要があります。しかし、ここでつまずくケースが多いのも事実です。その場合どうすればいいか。
なかには「事例に出てくれたら1ヶ月分の利用料を無料にする」といった施策を行う会社もあるようですが、弊社ではあまり推奨していません。弊社がアドバイスしているのは、契約の時点で導入事例に出てもらうことを了承してもらうことです。
契約時に条件に入れてしまう
SaaS製品の場合、「ライセンスを多めに購入する代わりに値引きしてほしい」などといった交渉が必ず入るものです。そこでクロージングの際に、ある程度の条件は飲むが、その代わりにプレスリリースや事例への協力を求めるわけです。
何の条件もなしに値引きした価格で受注してしまい、後から事例を断られるのが一番痛手です。そのため、値引きの話が出てきたタイミングで、win-winになるように交渉するのがポイントです。弊社の営業チームにはそのようなオペレーションを徹底しています。
とにかく「最初に握っておく」のが大事です。
大企業ほどボリュームディスカウントを求めてくるので、その際にプレスリリースと導入後の事例記事作成の話を持ち出します。そもそも事例作成に協力してもらえる顧客を見つけるのは非常にハードルが高いため、最初から営業プロセスに組み込んでおくのが賢明です。
記事自体でも相手のメリットを出す
弊社の場合、事例記事の内容も工夫しています。顧客の事業紹介をメインにし、弊社のサービス紹介は全体の3割から4割程度にとどめています。バランス的には6対4といったところでしょうか。他社の事例だと、自社のサービスについて9割ほど語ってもらっていることがほとんどだと思います。
弊社がこのようにしているのは、あくまで主役は顧客にしたいという思いと、できるだけwin-winの関係を築きたいという目的があるからです。
せっかく事例に載ってもらうのだから、顧客にもメリットがなければいけません。そのため、顧客のサービスや事業の紹介を中心に据えています。
また、事例を作成した後は、顧客のサービスをしっかりとPRをして拡散することも大切です。こちらは弊社で作成した記事ですが、事例記事としては異例のエンゲージメントを獲得しています。
株式会社HQの村田さん(@mkyaori )と赤司さん(@yocoo_a)にインタビューしました!
— 柳澤大介|新しい売れる仕組みを作る (@socialselling84) October 5, 2023
類似サービスがなくビジネスモデルが斬新な、注目のスタートアップです!
100人100通りの在宅環境をつくれる!リモートワーク×福利厚生のtoBサブスク「リモートHQ」 https://t.co/QcguEA7geE
こうすることで事例にご協力いただいた顧客の認知度も飛躍的に上がります。このような見せ方までこだわることで、一般的な事例インタビューとは別物の価値が出せます。事例記事を投稿した後、顧客からも「なぜこんなに伸びているのか」と驚きの声が届いたりすることがよくあります。
他社に事例の打診をする際も、事例を作る目的や構成をきちんと伝え、顧客にもメリットがあること、載せた後は会社をあげてしっかりと拡散することを説明すれば、よほどの事情がない限りは了承してもらえます。
企業ロゴの使用も重要なポイントです。顧客のロゴを勝手に使うわけにはいきませんが、ロゴを見れば、どのような企業と取引があるのかが第三者にもわかります。
事例が作れない場合は、せめて企業ロゴだけでも使わせてもらうようにしましょう。
事例に協力してもらう裏技
事例に協力してくれる顧客が見つからないというのは、本当によくある悩みです。そのため、営業プロセスの設計段階から考えておく必要があります。
顧客満足度が高く、大変満足している顧客であれば、良い状況を作りやすいもの。弊社の場合、私自身が社長であり、私が直接打診しているというのも、了承を得やすい理由の1つだと思います。
人との繋がりも影響してくるのでしょう。
こちらは先日Xで投稿した内容ですが、実は私の昔の同僚の話なんです。
継続率が16%も高い営業マネージャーが行う、顧客の心を掴む方法
— 柳澤大介|新しい売れる仕組みを作る (@socialselling84) October 29, 2024
人事向けにSaaSを販売している会社。3つの営業チームの初年度契約企業の平均継続率(年)は71%。ところが、一つのチームだけ87%という驚異的な継続率を出していた。…
継続率が16%も高い営業マネージャーが行う、顧客の心を掴む方法
人事向けにSaaSを販売している会社。3つの営業チームの初年度契約企業の平均継続率(年)は71%。ところが、一つのチームだけ87%という驚異的な継続率を出していた。
営業マネージャーに聞くと「メンバーの売り方が上手いからですよ」と言った。次にメンバーに聞くと「契約が決まったらxxマネージャーが、お客様にお礼の電話をしてるんです」と教えてくれた。
商品の機能や価格も重要だけど、お客は“誰から買うか”も重視している。営業がお客に提供する購入体験こそがこれからの営業に必要な能力だ。
受注して契約を締結した後、その営業担当の上司がお客様先に「この度はご契約いただきましてありがとうございます…」と電話をします。そこで「いつも弊社の担当者がお世話になっています」と伝えるんです。
月に10件から20件の契約であれば、十分に実行可能な施策です。上司がしっかりとコミュニケーションを取っている企業であればできますよね。
半年から1年経ってある程度結果が出ているタイミングで、再びその上司から「以前お電話させていただいた○○ですが」と連絡し、事例の打診をします。「ご挨拶も兼ねて一度インタビューもさせていただきたい」と伝えるのです。
顧客としては契約が決まった時にもわざわざお礼の連絡があったことを覚えているので、無下にはできません。
そのお客様のところで成果も出ているとなれば、事例への協力を断りづらいでしょうし、一度この上司に会ってみたいと思うはずです。そこまでやってくれる人だったら協力したくなるものです。
お礼の電話は5分程度で済みますし、ストーリー性も良いですよね。その結果、事例に協力してくれる顧客も増える。このような少しの工夫が本当に大切です。
いきなり事例の打診をすると断られやすいですが、事前にこのようなコミュニケーションがあれば、断られにくくなるでしょう。直接対面している営業からの感謝の言葉よりも、その営業の上司から電話がかかってくるのはまた違った効果があります。
上司をうまく使うことで協力してもらえる可能性はさらに高まりますし、事例に協力してもらえれば、結局のところ契約も更新されやすくなります。
営業から契約、事例協力、そして契約更新。すべてが繋がっているんですね。
事例は新規顧客の獲得にも役立ちますが、それだけではありません。顧客満足度を高めたり、事例を作るまでのシナリオを営業プロセスにしっかりと組み込んでおけば、顧客の契約年数も着実に伸びていくはずです。
次回は事例記事をつくるにあたっての具体的な流れ・制作の注意点についてです。
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