#13 商業施設の可能性〜 (3)治安の向上がもたらした新たなニーズ
前回までは、エクスペリエンス型となった施設に変化を遂げたcoal drops yardの軌跡をご紹介させて頂きました。
今回は、地域の活性化をする事による副効果がどの様なモノであったかをご紹介します。
■エピソード3
その昔、1800年代前半に作られたこの施設は、石炭の貯蔵庫として活躍した。
イギリスを発祥として巻き起こった産業革命は、時代に求められ、そしてその産業に従事する労働者の増加をもたらした。
その後、エネルギーの主役は、石油に移る事で、この施設とその周辺に住む労働者は、冬の時代を迎える。
そうした背景もあり、この地域は、経済的な衰退をもたらすだけでなく、治安の悪化に繋がると言ったデス・スパイラルに陥る。
なかなか改善出来ないでいたこの地域は、
ロンドンオリンピックを招致した事で、再開発地域のチャンスを迎える。
■新たな施設が地域の活性化へのカギ
産業革命と言う時代の象徴であった石炭が
石油に姿を変えた時、この貯蔵施設とこの地域は、衰退の一途を辿ったが、それは新たなライフスタイルに対応した施設を築く事で脚光を取り戻した。
この施設のは商業施設であるが、前項で述べた
エクスペリエンス型の施設を取り入れる事で
その地域の活性化にも繋がる。
それは、治安の向上と言う効果を得る事となり、同時に地域にとっての付加価値となる。
その結果、新たなライフライン、エレクトロニクス産業の象徴であるGoogleやYouTubeがこのエリアに社屋を構える事となる。
エクスペリエンス型の空間を取り入れたこの施設は、よりオープンで誰でも楽しめる施設になり、地域の復興にも一石を投じる事が出来た。
こうして見てくると、ある点に気付くことが出来た。
そもそも
公共空間ってお役所が作るだけの施設であろうか?
と言う疑問を持つ。
この地域が、経済的な復興だけでなく、市民の安心や
地域への好奇心を抱いてもらう事が出来る様になったのは、
公園や図書館の様な公園空間と商業施設の共存に
チャレンジした事ではないだろうか。
色々な例があって良いと思うが、公園の中に商業施設があって良いと思うし、その逆があって良いと思う。
何か我々は、公共空間とはお役所が作る所、
イメージとしては、「お堅い所」と思ってたりしないだろうか。
そして、商業施設は、営利目的の場合と言った
2次元的な線引きをしてきたのでは、なかろうか?
もし公共空間を建設の際は、民間主導のアイデアを活かす事で、遊びや学びが共存した場所になる事を我々は、この場所から学ぶ事が出来ると思う。
GoogleやYouTubeがこの地にオフィスを構えた事は、その様な自由な発想の視点を持つ場所に魅力と可能性を感じたからではないでしょうか。
19世紀の価値の象徴であった石炭施設がもたらした繁栄とそして衰退。
そして無形の価値に目を向ける事で施設の復興を遂げたこのストーリーは、私にとっても大きな学びでした。
この施設を調べるうちに、私の探求心はどんどん増し、気がつけば3回に渡り文を綴っていました。
この好奇心とこの興味が、今後の街づくりのヒントになると良いなぁと思い、この回を終えたいと思います。
今後は、新たな豊かさを別の視点のエネルギー
問題、SDGsにも目を向けて記事を綴っていく予定です。
お時間がありましたら、是非お立ち寄り下さい。
最後まで、読んで頂きありがとうございました。