Think Public

■ 公共空間、まちづくりに関わるデザインテーマを発信してます。本業の工業デザインの傍ら、新たな豊かさ、働き方など探求、提案しています。 ■Twitter:@ThinkPublic2 ■Podcast:Think Public / apple、Spotify にてon air

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最近の記事

デザイン視点で見る民藝(3) / 雑貨化するプロダクト製品  

鎌倉での民藝との出会い。焼き物ではあるが不思議な魅力を持つ「小鹿田焼き」 その時点では、焼き物の持つキャラクターを楽しんでいたが、その民藝品との出会いが自身のデザイン的思考へ大きな影響となる事を知る余地もなかった。 ただ、時代の大きな分岐点に来ている事は、「違和感」となり感じていた。 では、その「違和感」とはどの様なものでったかを、前回に引き続き商業デザインの移り変わりをを整理してその特徴を述べていきたい。 ◾️過ぎ去ったバブル期 バブル期を境に中流意識に覆われてい

    • デザイン視点で見る民藝(2) / 日本製品の岐路

      あるキッカケで出会った民藝。 自分にとっては、生業としている工業デザインと向き合う中、欧米のデザインとの間で違和感を感じ初めていた頃だった。 その頃の違和感は何であったのか。その事を語るには、時代背景も少し整理する必要があるので、そうした点を踏まえ書き留めていくとする。 ◾️ジャパニーズデザインとは 民藝が気になり始めたのは、いつからだろう。 少しジャンルは違うが、確か2000年頃から工芸に興味を持ち始めた頃だろうか。 それは、迫り来る世界の最高水準の製品の中で、日

      • デザイン視点で見る民藝(1) / 民藝ってなんだろう

        民藝ってなんだろ 時々そんな事を考える。勿論、柳宗悦が創設した活動で、数人の同志と共に行った活動であるが、その理論的な所ではなく、どうして自分が興味を持つのか。そんな点を考える時がある。 そんな点を民藝との出会いから振り返りつつ、どの様な点に惹かれていき、それが想像以上の関わりになってゆくその姿を何回かに分けて綴っていきます。 ご興味がお有りになりましたら、しばしお付き合いください。 ◾️民藝との出会い それは、2019年の鎌倉旅行での出来事であった。子供達も大学や高校

        • 時代を超えて見えてきた80年代アメリカの姿(2) 〜大量生産時代編〜

          1980年代のアメリカは、大国として目に映っていたが、それはマスコミを通したハリウッド映画やポップソングの映像がほとんであった。 ブルーススプリングスティーンを聴く事で、もう一つのアメリカが存在したのでは?と思えた事より、当時の実情、特に大量生産を支えていた労働者を探る。 ■キラキラしていたアメリカ アメリカと言えば、自分が中学生時代に見たハリウッド映画やポップソングのスター達の映像だ。 スピルバーグのE.Tやマイケルジャクソンのスリラー、そしてスターウォーズ。 特にS.

          時代を超えて見えてきた80年代アメリカの姿(1) 〜労働者に寄り添っていた曲〜

          ■ある日気がついたアメリカの景色 ブルーススプリングスティーンの曲「I’m on fire 」を聞いた時ひとつの景色が浮かんできた。 それは決して裕福なものではなく、少し疲れた街の光景だ。まるで自分が自動車を運転し街中を走行している様情景だった。 その景色が何を意味しているのか聴き進めていくとある事が頭に浮んだ。 「ブルーススプリングスティーンがなぜアメリカで人気があったのか。」 それは強いアメリカを象徴したものではなく、不景気になった頃、“労働者の心に寄り添っていた

          時代を超えて見えてきた80年代アメリカの姿(1) 〜労働者に寄り添っていた曲〜

          絵画展から観る新たなアートと時代への挑戦 (ゲルハルト•リヒター展より)

          ゲルハルト•リヒター展 年を越してしまうと絶対見れないだろうなぁと 時間を見つけて訪館 恥ずかしながら東京での展示をSNSで見かけ 初めて知った口である。 東京開催中になんとか目論み、観に行きたいと思っていたが、コロナの影響でタイミング合わずであった が、 なんと豊田市に巡回するとの事で希望が叶う。 愛知県に住んでいて最近でもっとも嬉しい事かも それはさて置き作品を観て意外な事に気付く 初期の頃からの作品もあり、写真家か? と思う作品群から始まり意外なサプライズも感

          絵画展から観る新たなアートと時代への挑戦 (ゲルハルト•リヒター展より)

          効率化がもたらした豊かさとは。。。そして、その先に。

          ここ数年、効率化と言う言葉を聞く機会が増えたと感じる。 それは、どんな事を意味しているのだろうか。 そして、何故その様な事へ変化したのだろう。 そんな事を今回と次回の2回に渡り掘り下げてみたい。 昨今、ポスト資本主義や民主主義といったキーワードも聞かれる様になったがテーマが大きすぎ、どこから手をつけて良いのか?戸惑っていた所もあった。 そこで、今回のテーマを足がかりに、その辺りを紐解く鍵を今後も探っていきたいと思う。 ■背景 昭和で培われた文化は、高度成長期と言う

          効率化がもたらした豊かさとは。。。そして、その先に。

          図書館の誘致と街づくりの起点

          公共と言う視点で考えると、人の集う場所となる。 欧州では、公園などに日常的に人が集まってきたり そこで人の気配を感じ合い、お互いの存在を認め合い。 そんな景色がある。 イタリアで見かけたのは、カフェで店員さんとお客の間に気軽に声を掛け合い 気さくな雰囲気で会話が生まれ、瞬間的であるが一つのコミュニティーが生まれる。 日本では、なかなかそんな光景を見るのは、難しいなぁ〜と。 私の地域にも立派な公園はあったりするが、人が日中にくつろいでいる所を見かることも少なく、 街中

          図書館の誘致と街づくりの起点

          デザイナーと編集者の融合_3 / 所有する価値から〜共生する価値へ

          前回まで語った製品の生まれるプロセス、そしてその特徴。今回はアメリカのその点に注目し、今後の日本のデザインの在り方を見ていきたい。 ■フロンティア大陸で始まるマーケティング手法 イギリスで始まった産業革命により、新たな歴史が幕を開ける大陸が現れる。 それは、アメリカでの大量生産と言う歴史の幕開けである。 イギリスの大量生産と違い、植民地を持たない大国は、国内での生産、販売に注力していく。 そして、その過程は、売る為、利益を上げる為のシステムを生み、そのシステムは強固な

          デザイナーと編集者の融合_3 / 所有する価値から〜共生する価値へ

          デザイナーと編集者の融合 _ 2 / ヨーロッパの変化とフィロソフィー

          前回の文脈を続けるにあたり、少しおさらいをしておきたい。 前回導きたかった結論は、デザインには、フィロソフィーが必要である点。 そして、その構築をする際に必ずしもデザイナーだけでのタスクに拘らず、もっと複合的なタレント(能力)を持ち合わせたチームで挑む事で、捻りの効いたストーリーができるのでは?! と言う持論の中、TAKRAM社に編集者が加入したケースを嬉しく思いペンを走らせた。 この章では、日本の工業デザイン界で、なぜその様な動きが導けなかったか、そして他国ではどの様

          デザイナーと編集者の融合 _ 2 / ヨーロッパの変化とフィロソフィー

          デザイナーと編集者の融合 _ 1/ ある日のきっかけから、未来を考える

          先日、あるトピックスが自分の興味を強く惹きつけた。 それは、TAKRAM RADIOをPodcastで聴いていた時の出来事であった。 そこでの話は、TAKRAM社の新メンバーとして雑誌社から新加入したある編集者の紹介をしたシーンであった。 彼の経歴は雑誌「暮しの手帖」、「WIRED」を経ての加入で、その編集者としての経験を活かしての事であった。 これを聴いた時にようやくこう言う時代が来たんだなぁと。 思い返せば、自分がデザイナーを目指して入社試験を受けたのが20数年前で

          デザイナーと編集者の融合 _ 1/ ある日のきっかけから、未来を考える

          Podcast を始めて分かった事、そしてその先へ。。。

          Podcast を始めてみました。 noteに記事をアップしながら、並行し何か別の形で自分の考えを発信出来ないかと考えたところ、このメディアが良いのではと思いスタートしています。 タイトルは、Think Publicです。 このnoteでも公共をテーマにお送りしていますが、もう少しテーマをダイレクトに、お送り出来ないかと思いスタートしています。 noteで文字に起こすことで、考え方が立体的になり自分の思いを自分で再認識する事は今までにない達成感ですが、もっと複合的に伝える

          Podcast を始めて分かった事、そしてその先へ。。。

          #13 商業施設の可能性〜 (3)治安の向上がもたらした新たなニーズ

          前回までは、エクスペリエンス型となった施設に変化を遂げたcoal drops yardの軌跡をご紹介させて頂きました。 今回は、地域の活性化をする事による副効果がどの様なモノであったかをご紹介します。 ■エピソード3 その昔、1800年代前半に作られたこの施設は、石炭の貯蔵庫として活躍した。 イギリスを発祥として巻き起こった産業革命は、時代に求められ、そしてその産業に従事する労働者の増加をもたらした。 その後、エネルギーの主役は、石油に移る事で、この施設とその周辺に住む

          #13 商業施設の可能性〜 (3)治安の向上がもたらした新たなニーズ

          #12 6月20日が教えてくれたこと。「世界難民の日」との出会い

          ご存知ですか? 6月20日は、「世界難民の日」です。 私は、全然知らなかったのですが、先日ユニクロに行った際知りました。 なぜユニクロ?と思いますよね。 確認したところ、ユニクロは、難民に向けた政策を色々と取っている様です。 一つは売上の中から国連を通じて寄付をしたり、 その他、難民の雇用も始めたそうです。 正直、凄いと思いました。 それは、まず日本の企業でその様な国際貢献を考えている企業があったと言う感謝の気持ちからのものです。 私のイメージでは、政府の依頼でも

          #12 6月20日が教えてくれたこと。「世界難民の日」との出会い

          #11 商業施設の可能性〜 (2)エクスペリエンス型へシフト

          先回お伝えしましたエピソード1では、 リノベーションを経て、息を吹き返した coal drops yardの事をお伝えさせて頂きました。 今回は続編として、エクスペリエンス型へシフトした施設の可能性について、ご紹介させて頂きます。 ■エピソード2 商業施設にリラックススペースがある事が、この施設を調べるキッカケとなりました。 みなさんは、商業施設に買い物へ出かけますよね。 その時どんなイメージをお持ちですか? 買い物をするトキメキ、それは新たな商品との出会い、カッコ

          #11 商業施設の可能性〜 (2)エクスペリエンス型へシフト

          #10 商業施設の可能性〜 (1) ロンドンの石炭貯蔵施設が息を吹き返す

          こちらは、イギリス 北ロンドンにあるキングスクロス開発地域にあるショッピングセンターです。 ※冒頭の写真は、全く別の施設でイメージ写真です。 19世紀のヴィクトリア時代に、石炭の貯蔵施設として使用されていた施設をリノヴェーションし、新たな施設として2018年にオープンしたそうです。 この辺りは、元々治安の良くない地域だったそうですが、ロンドンオリンピックを機会に再開発がなされ、新たな息吹を得た地域のとの事です。 ショッピングセンターの他に、沿岸にある川岸は夏であれば日光

          #10 商業施設の可能性〜 (1) ロンドンの石炭貯蔵施設が息を吹き返す