#4 喫茶ランドリーをご存知でしょうか?(私的な公共空間編)
■喫茶ランドリーをご存知でしょうか?
初めてこちらを目にしたのは、グットデザイン賞の展示会場だった。
この賞の対象はプロダクトやスペース、グラフィックなどの製品に向けた賞のイメージが強く、受賞者パネルを最初に見た時に少し驚いた。
その驚きは、喫茶ランドリーのコンセプトの斬新さとグットデザインの対象が今までより更に広がった嬉しさの両面にあった。
公共をテーマにした場所作りは、公共施設の中に作る事が前提だと思い込んでいた所に、私的に作った公共(Public space)は、ランドリー、喫茶店そしてミシンなどを置いたスペースを住民達の憩いの空間として計画したスペースであった。
私的に創作したpublic space は、街の人の流れを変えたのではないかと思われる。
今まで素通りしていたビルの一階は、人が立ち止まりたくなる灯りが放たれ、人の笑顔が溢れているとついつい足を止めてしまう様な空間かと思える。
■ 商売とは個人の利益追求?
少し大袈裟だが、今まで商売とは個人の利益を目的になされてきたと思われる。
自分もその一人だと思う。
このお店のコンセプトは、そこが違うと思う。
公共スペースを築く為に作られた喫茶&ランドリースペースなのだ。
恐らく人と人との繋がりを持つことが出来る場所なんだろうと。
その繋がりは、モノを買う事で得られる価値とは違い、目には見えない個人の充足感や安心感を得ているのではなかろうか。
これは、これからの商売、ビジネスの根底になる形ではなかろうか?
ちょっと話が脱線するが、環境破壊がもたらす影響で異常気象な状況が増えてきた昨今、個人の利益を優先した経済活動の限界が見えてきたのかと思う。
その昔、ビクターパパネックの著書「生きのびる為のデザイン」で語っていた。デザインをする事はその形だけではなく、環境への負担や人や社会への影響を考えなければならないと。
今考えれば、この様な社会的な財産を築く為の商売が、今後は必要になってくると思う。
喫茶ランドリーは、一見すると小さな一歩に見えるが、将来を見た際、大きな一歩に思う。
この先の私も何かの形で、この様な社会への還元をする活動が出来るよう努めていきたいと思う。