見出し画像

20241116「残影」

さっきそこに居たのに
もう居ない
辺りを見回しても
振り向いてじっと見ていても
どこにも居ないから
わたしがそこに居てる
失くしてしまったのは
わたしの方
思い出やその場面
きっと複数あるだろうに
決まって思い出すのは
その時のこと
それも滲んで
壊れつつもあるけれど
そういうことにしておこう

別の記憶をすり替えて
別のわたしはどこへ行ったのか
既にここに在ることは
不確かさの中に溺れている
影を踏み
追い越せない姿を案じ
絶え間ない蓄積の残像さえ
ここにないのは
堪えきれない存在の意味
掛け替えのないものならば
いついつだって
手元に在って欲しいが
どれも零れ落ちるから
せめてもの言い訳を拾い
言葉として持っておくのだろう

そこに居ないのは
確かか不確かか
それ以外のことまでも
含めたら
きっと出会えるのかもしれない
方々に目を向け
風の風合いを見つけつつ
逐次さよならの集い
言葉にならないものならば
いっそそれを焼いてしまって
粉々に舞ってしまってもいい
暖かみを手の中に仕舞って
口から息を吐き出して
白さを作り
違う姿をきっと見ている

この記事が参加している募集

読んでくださってありがとうございます!サポートいただいた分は、noteの他のクリエーターのサポートに使わせていただきます😁