20240628「涙の代わりに」
涙の代わりに
雨が降ったらいい
小雨から大雨まで
誰彼かまわず打たれて
その身体を洗えばいい
拭いきれない奥底まで潜って
その場と交換して
新しい場所を得る
それも一時
注がれた眼差しを晒し
意味もないくらいに
呼吸を続ける
煙った蒸気にまみれ
滞りなく下方へ流れる
そう心配しなくてもいい
きっと残っている
飛沫を上げて
打ち付ける弾丸を
避けて避けて
それでも撃たれては倒れ
また手当てを施し
平坦まで整える
穿たれた地面を撫でて
泥水を滑らせ
更に流れる
乾いた布で拭き取ったり
保持の姿勢で
また靡いては
別の窓を開けている
遭遇の機会を待って
飲み込むくらいの過ちでも
疾うに過ぎ去っている
その屋根があったらいい
木立の下で
雨宿り
どうしても濡れてしまうから
乾くのが遅くなる
仕方がないと口ごもり
空の加減を見ては
手のひらの一滴を
また飲み干す
濾過する時間を経て
わたしはわたしたちへと
少しずつ変わるのだろう
入れ替えた瓶に
花を活け
そのものがそれぞれだとし
ひとひらが静かに落ちている
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