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Photo by
take_kuroki
20241214「綴り糸」
遅れて来るものと
先を行くもの
わたしはどちらでもなく
その間を泳いでいる
どこまで行っても
追いつけずに
それでいて
その後に戻ることもなく
ここに居る
前後を通し
貫くものがあるとすれば
わたしを刺して
それを見ればいい
謀られた計算の埒外で
別の所へと移項している
手渡されたことと
手放すことの
その意味を探り
洞穴の先の深海まで
そして浮かばれない空の先では
空気が流れている
雲間を透かし
柔らかな日差しを待って
今に居る
理由はなくもないが
偶然の産物の出来事で
ある程度はくすぐって
ちょっかい出して
笑いだすのは
あなたの眼差しの恩寵
かと言って
よくもなく
わるくもなく
言葉にならない宮司に喋らせ
その鳥居を潜るたびに
境界を分かちつつ
洞門の囀りを放っている
聞こえるだろう声の繊細さ
それこそが聞き耳を立てる今
微かに、そして落雷が落ちている
どこそこの近辺で
かつてない物語の行き先を
誰かが綴って
糸を通す
前後を見つつここに在る
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