20240119「光る破片」
もっとも脆い
ピアノの部位をインストールし
わたしの実装に加勢を送る
縮こまった指先のモアレ
見る方向では佇み
あるいは乱れ
段階越しの跳躍さえ
伸びきれない震えをもって
確かさの温感を誘う
温いまどろみに漬けておき
しんなりとしてふやかしておく
どれだけ待てばいいのだろう
どれもがひび割れて
引っかかって
糸の一本を抜いて
解れる絨毛さえ抱え
剛毛の線を叩き続ける
わたしはここにいる
あなたの声は既に届いている
微かな息だとしても
声にならないその匂いで
嗅ぎとられる生存の空白
どこだかわからないのに
気づけばそこに居合わせている
どれだけ薙ぎ倒されても
ひとつひとつ取り除いて
見つけてみせる
見失った記憶のどこか
離れつつ蘇る何気ない日常
それでいて気づけていない
自分たちのこと
どれもが繋がり
支える支柱の空間の狭間で
交錯する面影橋を渡ろうとしている
もう少し欄干に手をのせて
川の流れを見ていれば
光る破片を見いだせるかもしれない
反射する水面に雨が降る
補助線からの接線として
延ばされる遠心への投擲
放った重力もまた落下の件りで
その一点に収束するのだろう
虹の出所まで赴き
そこ掘れわんわん
残響がまだ聴覚の底に響く
拾った音符の欠片
それを紡げば
あなたは思い出すだろう
聴こえていないのに
それを再編して
身体を動かそうとしている
細針金の操りで
ぎこちない台詞も
たどたどしいが
確かに届く意味の練磨
わたしが拾うそれらは
精一杯の奏でを轟かせるだろう
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