20240116「瓦礫の言葉」
ことばの力を信じれば
きっとそのどこかの誰かには
届くのだろう
何を言われてもいいが
何を言ってもいい訳でもない
ことばにならないものまでも
既に抱えていて
伝えられないことの方が
きっとたくさんあるのだろう
それでも信じられるのなら
絞り出すその声や
嘘をつくことだってお手のもの
それでいて
自分自身を誤魔化すのは難しい
そんなことしていたら
わたしはそのわたしじゃないようで
きっと嘯くそれは別の話し
耐えられない苦しみさえ
たったひとことで報われるのに
蔑ろにしてしまった
わたしたちの言い成り
それがそのまま包んでしまって
包まった別の衣を纏って
ぬくぬくとすやすやと
夢の中で揺れている
もう起きてって摩っても
返事は一向に来ない
さっきまでお話ししてたのに
崩れ去る物ごとまでも押し倒し
そのままに佇む
どうにも耐えられないとしても
わたしはそこに居られているから
どうしても理由を付けては
探せないそれを何度も繰り返す
何度も
そして拡げる記憶までも蘇るから
あなたの名前を何度も口にする
動もすればわたしはあなたでも在りうる
洗足の雪ぎ
冷たい仕打ち
言い逃れできない
透明な結晶
見えては来ないが
それでも立ち上がるのは
繋いだ手のひらに
掴んだことばの先の方で
捩る紙縒りで火を灯す
小さな暖かさは
誰のそれを明るくするのか
揺れる炎の揺らぎを汲んで
飲み込むのは覚悟の錬磨
瓦礫をひとつ横に置き
次の手がまた横へ動かし
伝え伝えでひとことを添える
鎮火した冷たさの前で項垂れ
もうひとつの真言を附置する
ここはどこの形容を与えるのだろうか
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