20240816「世界のどこか」
目が覚めたら
蟬が鳴いていた
夢の中でも忙しいから
そんなことも気にしない
自分ごとの最中で
後のことは任せておいて
別の夢を見る
誰彼に手を合わせ
思い出の残照を参照して
別の印象を召喚している
きっと聞いてみたら
違ったことを言うのだろう
別々の視点で
それぞれの意味を抱え
その複数性を未だ掌にあるのなら
せめてもの弔いをしておこう
煙りを燻らせ
ライターを仕舞う
馴染んだ個別の物語
誰が何を言ってもいい
そして耳を塞いでもいいのなら
昨日の夢を逆回転させつつ
所々に着地している
現と夢を交互に支え
あらゆる妄想らしき
現象の虜
むせった息を凍らせて
冷却装置を棚に上げる
霧状の湿りを浴びて
焦げた肌に烙印を施す
干からびたそれらを集め
再三方々へとちょっかいを出す
寄せ集めのわたしたちだがそれでいい
別の窓辺では地表の上で鳴きながら
昨日まで居たはずのツバメたちは
どこで休んでいるのだろう
随分と育った稲たちは首を垂れ
緑の中に金色をちらほら示す
台風のせいか
怪しい雰囲気だが
地震のセールでいそがしそう
貯めた込んだそれらを
どこに置いてこうか
やり場なんてないのだけれども
揺れる感情の熱りで
冷房の風に塗れている
起きてって言ってるのに
もうちょっとって言いつつ
また眠る
暫くすれば世界のどこかが反転する
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