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事業のネタ帳

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日本・インドネシア・ベトナム・インドのアジア4カ国でシードスタートアップへの投資支援を手掛けるVCのジェネシア・ベンチャーズが、起業家/事業家の目線で産業創造/産業変革のアイディ…
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#ジェネシア・ベンチャーズ

金利上昇に伴って生まれるスタートアップの事業機会(不動産編)

金利上昇に伴って生まれるスタートアップの事業機会(不動産編)

1.はじめに

インフレ抑制を目的とし、2021年末から継続に実施されている米国の金利の引き上げは、株式市場の低迷や、昨今では米国のスタートアップやVCに親しまれていたシリコンバレーバンクを破綻に追い込む間接的なきっかけになるなど、世界的に大きな余波を生んでいます。日本においても、長期金利の上昇に伴って金融機関が保有している債権の含み損が大きく拡大していますし、私たち消費者においても、例えば住宅ロ

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事業のネタ帳 #35 ユースケースから考えるWeb3事業機会(後編)

事業のネタ帳 #35 ユースケースから考えるWeb3事業機会(後編)

本記事は「事業のネタ帳 #25 ユースケースから考えるWeb3事業機会(前編)」の後編です。

前編記事を2022年8月に書いてから約半年が経過しましたが、11月に大手暗号資産取引所FTXと暗号資産レンディング大手BlockFi、2023年1月にDigital Currency Group子会社のGenesis Globalの度重なる破産申請により暗号資産市場の厳冬期が訪れています。

2023年

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事業のネタ帳 #34 Verticalサービス × コンパウンドスタートアップ

事業のネタ帳 #34 Verticalサービス × コンパウンドスタートアップ

皆さま、お元気ですか。初めましての方も宜しくお願い致します。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木です。
またもや久々のnoteとなってしまいました。

ジェネシア・ベンチャーズのキャピタリストで継続的に発信をしている【事業のネタ帳】シリーズですが、引き続き、個人的に考えを深め続けたいテーマとしての「Verticalの未来」に関して、「Verticalサービスの進化と深化」として僕が主戦場としている新興国

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バックオフィス業務(情報システム部・労務部・総務部など)の未来

バックオフィス業務(情報システム部・労務部・総務部など)の未来

0.はじめに

コロナ禍によって、時間軸が数年間手前に手繰り寄せられた企業のデジタル・トランスフォーメーション。これによって、企業を取り巻く環境は大きな変化を求められていますが、事業のネタ帳#33では、その変化の中でも情報システム部・労務部・総務部などのバックオフィス業務の未来について考えてみたいと思います。

「事業のネタ帳」のバックナンバー(#1から#32)はこちら

ではなぜバックオフィス業

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事業のネタ帳#27 SMB向けHorizontal SaaSが持つ可能性

事業のネタ帳#27 SMB向けHorizontal SaaSが持つ可能性

■SMB向けビジネスの概観全国に企業は367万4,000社(2021年6月末時点、経済センサス活動調査)存在し、このうちの99.7%を占めると言われているSMB(Small and Medium Business)。SMBは社数が多いだけではなく、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)の余地が大きく、SMB向けビジネス、特にHorizontal SaaSの可能性は極めて大きいと考えていま

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事業のネタ帳 #25 ユースケースから考えるWeb3事業機会(前編)

事業のネタ帳 #25 ユースケースから考えるWeb3事業機会(前編)

2019年以来のクリプト・ウィンター(暗号資産の冬)が訪れました。

マクロ経済の悪化やTerra(LUNA)・3ACなどの破綻騒動により、暗号資産全体の時価総額は、2021年11月の3兆ドルから、1兆ドルまで減少しました。BTCとETHの価格もピークから70%ほどの大幅な下落を見せています。

OpenSeaの月間取扱ボリュームは6月以降大きく低下。DeFiのTotal Value Locked

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事業のネタ帳 #21 メディアの構造変化によって生まれる事業機会についての考察

事業のネタ帳 #21 メディアの構造変化によって生まれる事業機会についての考察

1.はじめに私たちは、Amazon・楽天市場・食べログ・Retty・じゃらん・一休などのメディアに毎日のようにアクセスし、自分の興味・関心があるものを探していると思います。インターネットが存在しなかった時代は、自分の興味・関心があるものを探すのはとても大変でした。しかし、インターネットが普及したことにより、世界中の情報が広く可視化され、さまざまな切り口で検索できるようになったことで、自分の興味・関

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事業のネタ帳 #18 クリエイターファンドと個人向けファイナンスの未来

事業のネタ帳 #18 クリエイターファンドと個人向けファイナンスの未来

2021年11月、米国のVCとエンジェル投資家がMarina Mogilkoという当時31歳のロシア人YoutuberにUS$1.7M(約2.2億円)を出資しました。Marina Mogilkoは今後30年間、収入の5%を投資家に支払うことになります。

投資家となったのはベンチャーキャピタルファンドのSlow Ventures、シリアルアントレプレナーのLiberman兄弟、a16zのジェネラル

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事業のネタ帳 #15 マッチングビジネスの事業機会と進化の方向性についての考察

事業のネタ帳 #15 マッチングビジネスの事業機会と進化の方向性についての考察

1.はじめにインターネットの普及によって私たちが大きな恩恵を受けていることのひとつに、世の中に存在しているあらゆる情報の可視化が進み、情報の非対称性が減少していることに伴う、人と人・企業と企業・人と企業・人と情報・企業と情報などの出会い(マッチング)の増加があると思います。

インターネットが普及する前は、出会うことは疎か、気づくことすらなかったであろう自分と同じ興味や関心を持つ仲間との出会いや、

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東南アジアにおけるWeb3スタートアップの事業機会

東南アジアにおけるWeb3スタートアップの事業機会

2021年後半から日本や米国だけでなく、東南アジアやインドのテックメディアでもWeb3という言葉を頻繁に目にするようになりました。東南アジアのVCと話していても必ずと言ってよいほどWeb3が話題にあがります。

また、ベトナム人起業家によって創業された「Sky Mavis」によるNFTゲーム「Axie Infinity」が2021年に大ヒットし、a16zやParadigmなどから時価総額$3Bで$

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事業のネタ帳#9 金融の信用創造領域で起こる構造変化とスタートアップの事業機会

事業のネタ帳#9 金融の信用創造領域で起こる構造変化とスタートアップの事業機会

ジェネシア・ベンチャーズのキャピタリストが持ち回りで連載している「事業のネタ帳」の第9回目となる本稿では、金融の信用創造領域で起こる構造変化とスタートアップの事業機会について考えてみたいと思います。

『事業のネタ帳』連載一覧 【再掲】 #1   AI-powered BPO(相良) #2   コールセンターのDX(相良) #3   産業領域特化型コラボレーション(水谷) #4   データドリブンファイナ

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事業のネタ帳 #4 データドリブンファイナンス

事業のネタ帳 #4 データドリブンファイナンス

VCは機関投資家や事業会社、エンジェル投資家などの出資者(LP)から出資を募り、社会の負や課題を解決して急成長を目指すスタートアップへの投資活動をしています。機関投資家の目線では、VCは債券や上場株式、不動産などと並ぶアセットアロケーション先の1つの金融商品でもあります。

金融は経済活動の「血液」と例えられることがありますが、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Go

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