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#78『アヒルと鴨のコインロッカー』(著:伊坂幸太郎)を読んだ感想【読書日記】

伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』

第25回吉川英治文学新人賞受賞作で、2004年の第1回本屋大賞ノミネート作品(3位)でもあります。


読んだきっかけ

本作の前に読んだ『グラスホッパー』が面白くて、下半期は伊坂さんの作品を少しでも多く読みたいと思いました。その中で、伊坂さんのおすすめを検索したところ、本作が上位に挙がっていたことで気になり手に取りました。

このような方にオススメの本です

  • 伊坂幸太郎さんの作品をまだ読んだことがない

  • ボブ・ディランが好き

  • 幸せについて考えさせられる小説を読みたい

あらすじ

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

Amazon商品紹介ページより

感想

  • 寸分の狂いがないくらいキレイに伏線が繋がっていくのは恍惚もの

  • 飄々としている登場人物を思うと、読了後は切なさを感じる


どこかシュールな椎名の物語と2年前のある3人の物語。それが、寸分の狂いがないくらいキレイに伏線が繋がっていくのは恍惚ものでした。
単に物語としての伏線が繋がるだけでなく、章ごとの文の繋がりや1つ1つの表現が序盤から面白くて、先が気になって仕方なかったです。

そして、響く言葉や考えさせられる部分など。
幸福度が高い国のブータンと日本を照らし合わせて、幸せについても考えさせられました。

「神は細部に宿る」とはこのことだろうかと思いました。


個性的なキャラクターも印象的です。
どこか飄々としている河崎、ポーカーフェイスで他人に興味がない麗子さん、出来事に対して達観した姿勢を持つブータン人のドルジ。
遠くから見ている分には面白いけど、現実にいたら関わりたくない、そんな感じでしょうか(笑)
でも、そんな登場人物たちも、読了後は切なさを感じさせました。

『グラスホッパー』の時もそうでしたが、色んな考察ができそうで、何度も読み返したくなる感じでした。

読了後にボブ・ディランの曲を検索しているのは僕だけではないはず。

印象的なフレーズ

「日本人は、その報いをすぐに欲しがるだろ。ブータン人はそうじゃない。今じゃなくていいんだ。生まれ変わった後に、それが返ってくるかもしれない。そう思っているんだ。日本人は即効性を求めるから、いつも苛苛、せかせかしている。それに比べれば、ブータン人は優雅だよ。人生が長い」

『アヒルと鴨のコインロッカー』

「事故で足を失っても、人生はなくならない。でも、サッカー選手にとっては、死に値するのかもしれない」

『アヒルと鴨のコインロッカー』

「楽しく生きるには二つのことだけ守ればいいんだから。車のクラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと。それだけ」

『アヒルと鴨のコインロッカー』

「世の中の動物や人間が幸せになればいいと思うのは当然だろ。生まれ変わりの長い人生の中で、たまたま出会ったんだ。少しの間くらいは仲良くやろうじゃないか」
「ブータン人はそう考えるんだ」

『アヒルと鴨のコインロッカー』

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