#03 どうしても原因追及ばかりしてしまいます - お悩み相談 -
ここでは、皆さんから頂いたお悩みに対して、ポジティブ心理学や解決志向アプローチの観点から解決の糸口を一緒に見つけていきたいと思います。ぜひ、ご参考までにご覧ください。
今回のお悩みは「解決志向アプローチ」に関するご相談ですね。まず、このnoteを熱心にお読みくださり、ありがとうございます。「解決志向アプローチをもっと日常生活で活かしたい!」という想いが伝わってくるご質問で、とても嬉しくなりました!
さて、今回のご質問は、以下の記事に関する内容になります。
解決志向アプローチのコアにある考え方、「原因を探っても、解決に結びつかないことがある。だから、なぜこうなってしまったのか?と原因を追及していくよりも、何を望んでいるのか?ということを明らかにしていこう」ということについての記事になります。
今回のご質問は、①原因を追及しても意味がないという具体例をもっと詳しく聞きたい。そして、②どうしても原因ばかりに目がいってしまうため、どうすれば習慣化できるか、という2点についてですね。それぞれについて、一緒にみていきたいと思いますが、あくまでも、一意見として、ご参考までにお読みください。
立場が変われば、原因が変わる
それでは、まず1つ目の質問から。「原因追及しても意味がない」という具体例についてですが、最もわかりやすいのは人間関係にまつわる問題かと思います。
例えば、AさんとBさんが揉めているような状況を思い浮かべてみてください。
皆さんも大なり小なりご経験があるんじゃないかなと思うんですが、このような状況、Aさんの立場から見たら、Bさんが原因であるようなことでも、Bさんの立場から見たら、Aさんが原因であるっていうこと、ありますよね?「その状況をどう捉えるか」によって、原因がすぐに変わってしまうことって、実はよくあるんです。機械の故障のように、誰が見ても「原因はこれだ!」と1つに絞れるような問題であれば、原因を追及していくことが役に立つと思うんですが、複雑な人間関係の中で生きる感情をもった僕たちが抱えている多くの問題は、「捉え方」によって「原因」が変わってしまうため、そもそも、原因を特定しようとする考え方自体に無理があるんです。
「原因追及しても意味がない」の具体例としては、不登校のお子さんがいらっしゃるご家庭内などで、よく当てはまるケースがあります。
例えば、「学校に行きたくない」と言うお子さん自身に何か問題があるんじゃないかと思うお母さん。
「なんで行きたくないの?」と問い詰めても、「わからない」と応えるお子さん。
(そうやって、お母さんがいつもガミガミ言うから、こうなっちゃうんだよ)と心の中ではお母さんに原因があると思いながら、横で見ているお父さん。
(お父さんが全然、育児に積極的じゃないから、こうなっちゃうのよ)と原因の一部がお父さんの無関心さにあると思い、苛立つお母さん。
その横で(もっと二人が仲良くしてくれたらいいのに)とストレスを感じるお子さん・・・。
このような状況では、原因追及すればするほど、もう泥沼にハマっちゃいます。僕たち人間は、機械ではなく、感情をもった生き物です。ですから、原因を追及しようとすればするほど、問題に関わる人たち全員で、負のスパイラルに陥っちゃうことがあるんです。
「原因を追及しても意味がない」ということの具体例として、人間関係にまつわる問題をここでは挙げさせて頂きましたが、人間関係の問題は誰しもが大なり小なり経験していると思いますんで、ぜひ、ご自身のケースでも考えてみてください。そうすると、よりしっくりくると思います。
原因追及してしまうのは自然なこと
次は「どうしても原因ばかりに目がいってしまうため、どうすれば習慣化できるか」という2つ目のご質問に移りたいと思います。これに関しては、もう「ですよね~、至って自然なことですよ~」ということをまずお伝えしたいです。
僕ら人間の脳は、危険な目に遭わないように、まずはネガティブなことを予測して、それから身を守るようにできています。そのため、問題が起きたら、まずは「何が悪いのか?」とネガティブなことの方に目がいってしまうのは、至って自然な反応なんです。(これをネガティビティバイアスと呼びます)
また、機械の故障のように、客観的にみて原因が1つに特定できるような問題であれば、原因追及のアプローチも役に立つものですから、日常の中で原因追及をしてしまい、「あっ、私、全然、解決志向の考え方が習慣化できていない」と落ち込む必要は全くありません。ある意味、原因追及をする従来の「問題志向アプローチ」の手法だけだと解決できないこともあるので、「解決志向アプローチ」という、もう1つの引き出しを増やそうというイメージを大事にしていただきたいなと思います。「A or B」ではなく、「A and B」というイメージを大切にされると、より抵抗感なく、取り組むことができるんじゃないかなと思います。
「認める」と思考がゆるむ
以上を踏まえて、習慣化させるために僕がお勧めしたいことは、「原因追及」を忌み嫌い、自分の中から抹殺しようとするのではなく、「あっ、今、原因追及しているな」と気づいて、認めることから始めてみることです。
人間の脳って面白いもので、自分が何を考えているのかに気づくと、思考が緩むようにできています。逆に「考えちゃいけない、考えちゃいけない」と思えば思うほど、その考えが余計に出てきちゃうように、「思考」とは戦わない方がいいみたいです。
僕たち人間は、原因を追及しちゃう生き物なので、まずは「気づいて、認めて、思考を緩める」ということから始めていければと思うんです。 そして、「なぜこうなったんだ?」という思考が緩まったら、一息ついて、「今、望んでいることは何だろうか?」と、「解決志向」の考え方に切り替えていくという流れを是非、大事にしていただきたいなと思います。ある意味、「原因追及をしないこと」を強調するのではなく、すぐに気づいて、切り替える俊敏さ(アジリティ)を大事にしたいって感じです。
以下、まとめます。「どのように習慣化すればいいか?」というご質問に対して、具体的に、以下のことを日常生活の中で意識してされてみるのはいかがでしょうか?
「解決志向」の考え方を習慣化させるための練習
「あっ、今、"なんでこうなんだろう?” と原因追及モードになっているな」と気づく
「そりゃそうなるよね、人間だもの」と認める
一呼吸おく(解決志向モードへの準備)
「今、何を望んでいるんだろう?」と尋ねてみる
「過去にうまくいったときはあったかな?」と例外を探してみる
「今、理想を10点としたら、10点満点で何点だろう?どんなときに、+1点上がったと言えるだろう?」とスケーリングしてみる
ポイントは、やはり「1」で、「原因追及モード」になっている自分に気づけるかどうかですよね。気づくことができたら、「思考」はちょっぴり緩みますんで、次のステップに移行できるようになると思います。
今回、マシュマロを投げてくださった方のご質問では、「原因追及モードになっちゃっている」と既に気づけている状態ですので、ぜひ、「2」以降に進んでみていただけたらと思います。因みに、「4」~「6」の質問は、具体的な「解決構築」の考え方になり、こちらに関しては、以下の記事でご紹介しておりますんで、復習がてらに是非、ご覧ください!
さて、ここまでいかがでしたでしょうか?原因追及が意味がないときの具体例と、原因追及モードから抜け出すための練習方法についてお答えさせていただきましたが、何か少しでも役立つ内容になっていたらと願っています。またご質問がありましたら、お気軽にマシュマロを投げてくださいね。
このように、「解決志向アプローチ」を日常の中で実践しようとされるご姿勢や熱意、向学心に、僕自身、とても感銘を受けました。引き続き、応援しています!