【architect】岡山から発信できること|林業|CLT
昨日のnoteで日本における林業の現状を取り上げた
コメントもいくつか頂き、林業や建築、環境に対して関心を持っている方が多い事を実感した
さて日本の林業において、先進的な取り組みをしている自治体を取り上げたい
それが岡山県真庭市である
真庭市の総面積の約8割は森林である
かつては未整備により荒廃していた森林を市をあげて少しずつ間伐し整備を進めている
木質バイオマスと言って、製材時に使われなくなった枝葉や端材、樹皮やのこ屑、解体した木材などを使って発電をしている
このバイオマス発電の年間売り上げだけでも約24億円以上になるそうだ
この真庭市において、木質建材を製造しているメーカーである銘建工業は特に注目をされている
銘建工業が特に力を入れているのがCLT(Cross Laminated Timber)である
このCLTは1990年代にオーストリアを中心に普及した工法で、板状に製材・乾燥した板(ひき板)を繊維方向が直交するように重ねて接着した、板状の製材である
CLTの特徴は
・反りや狂いが少ないこと
・あまり太くない木や節が多い木でも使えるので間伐材でも使えることがある
・断熱性能が優れている
・構造材として高い強度を持つ
・従来に比べ耐火性能を持つ
などがある
本来構造としての木材は柱や梁といった角材が一般的であったが、CLTは面材として利用される
大きな面積をつくることができるのでデザイン的にも幅が広がる材料である
実際に新国立競技場にも真庭市のCLTが採用されている
このCLTであるが、徐々にではあるが大型建築で採用されたり、住宅でも採用されるようになってきた
最近の建築雑誌でも目にする機会は増えてきた印象である
ただまだまだ流通量が少ない故に価格が高いのが現状である
今後流通量が増えて一般的な材料になれば価格が安定してくることは間違いないだろう
建築家の隈研吾氏は早くからCLTの建材としての特徴に注目しており真庭市、銘建工業とタッグを組んで、開発を進めてきた
隈研吾氏により設計されたCLTのパビリオンが真庭市に完成した
東京で展示されたモニュメントをこの度真庭に移築が完了したようだ
(写真はHPより引用)
建築家にはこのCLTを使うことにより、今までは出来なかったどんな豊かな空間ができるのかを表現することが求められているのだろう
パビリオンは建材の可能性を感じさせるものではあるが、本質的に人々にどんなメリットがあるのかそれを示すのが建築家の仕事である
隈研吾氏により、CLTを使った建築が岡山大学で建設がスタートする予定もあるようだ
林業という地域の持った産業を現代の技術で生かし街の活性化に繋げるという発展を目指す真庭市は地方再生のヒントを持った街と言えるだろう
まだまだ発展途上かもしれないが、地方からの発信に期待したい