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読書会レポート

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読書会のレポートです。主催者の感想、ご参加いただいた方の感想を載せています。
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#小説

3/19 早朝読書会 芥川龍之介『蜘蛛の糸』レポ

読書会をやってみて芥川龍之介『蜘蛛の糸』の読書会を9名でやりました。 地獄の底にいた犍陀多(カンダタ)という大泥坊、この男は現世で数々の悪事を働いてきました。しかし、蜘蛛の殺そうとしたが思いとどまったことがあることをお釈迦様は評価し、蜘蛛の糸で地獄にいる犍陀多を助けようとしましたが、犍陀多がやらかしてしまい再度地獄へ落ちてしまう、といった内容でした。ぼくは小学生のときに読んだ以来、久しぶりにこの作品を読み、子供の頃に読んだ時の感覚とまた違う感覚で読むことができ、面白い体験がで

3/11 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』11章レポ

読書会をやってみて『ヨブ記』11章の読書会を7名でやりました。 今回読んだ11章はナアマ人ツォファルの弁論で、ヨブに対して「ぐちぐち言ってないで、罪を認めて反省しろ!反省すれば神様から許してもらえるから!」というようなことを語っていました。 読書会で、「友人たちは自分たちの中で一番信心深かく、真面目だったヨブが不幸になってしまったことによって、友人に不安が広がってしまった」という意見がありました。この意見にはなるほどと思い、今後『ヨブ記』を読む上での補助線になりました。 『

1/29 早朝読書会 梶井基次郎「檸檬」1

読書会をやってみて梶井基次郎「檸檬」の読書会を6名でやりました。 今回は最初から七段落目の「…書籍、学生、勘定台、これらはみな借金取りの亡霊のように私には見えるのだった。」まで読みました。 突然「えたいの知れない不吉な塊」が心の中に現れ、自身の心を抑えつけるようななってしまった主人公。それ以来、以前美しかったものに嫌悪するようになり、みすぼらしいものに惹かれていく…そんな内容でした。 主催者の感想はここに書きました。 ご参加いただいた方の感想ウエノさん みなさんのお話を

12/31 早朝読書会 「【ゆる雑談会】私と人生と作品と」レポ

読書会をやってみて12/31に本に関する雑談会を行いました。 早朝読書会は毎回短めの文学作品を扱っていましたが、今回は【ゆる雑談会】ということで、課題図書なしで雑談しました。 何を話してもよかったのですが、テーマを設定しないと雑談の入りが難しいと考え、「私と人生と作品と」というテーマを設定しました。このテーマはぼくが今、本や映画などの作品を享受する上で大事にしていることです。自分の人生と作品の読解とがシンクロする瞬間。その瞬間をどう掴むかを考えています。このテーマを入口に話し

12/10 早朝読書会 『柿の種』寺田寅彦レポ

読書会をやってみて『柿の種』寺田寅彦の読書会を5名で行いました。 今回、朗読の形式を変えてみました。一篇読んだあと感想の共有、もう一篇読んだで感想の共有という形式で進めました。『柿の種』は、序文を飛ばし、初めから三篇朗読しました。 作品の感想はここに書きました。 ご参加いただいた方の感想Mimiさん 一つ一つの作品は短いのですが、含まれている意味は色々ありそうです。読後、参加者の方々の意見を聞くと、自分の気づかなかった点が色々発見され、面白かったです。個人的にすっぽんはな

11/19 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』4〜5章

読書会をやってみて『旧約聖書 ヨブ記』4〜5章の読書会を4名で行いました。 今回もテキストとして岩波書店『XII ヨブ記 箴言』並木 浩一 訳を使用しました。 読書会の感想は少し長くなりましたのでここに書きました。 ご参加いただいた方の感想Mimiさん 家族や友人が原因不明の不幸や病気になった時、自分ならどうするだろうかと考えました。他人の苦しみを想像し、本当に理解することは難しいです。大事な人を少しでも早く助けてあげたくて原因究明をしたくなります。しかし、現社会の苦しみ

10/29 早朝読書会 オマル・ハイヤーム『ルバイヤート 生きのなやみ』

読書会をやってみてオマル・ハイヤーム『ルバイヤート 生きのなやみ』の読書会を3名で行いました。 今回読んだ箇所は特にペシミスティックな印象がありました。〈母から生まれなかった者こそ幸福だ!〉という部分から、反出生主義の話に広がり、生まれそして死ぬだけのこの世界、その世界で生まれるとは?因果、必然性、偶然性などなど話しました。 また以前取り扱った、坂口安吾やヤン・コハノフスキの作品との類似点も見つかりました。それぞれ生きた時代、語り口は違えど、文学を突き詰めていくとなにか同じよ

10/22 早朝読書会 坂口安吾『日本文化私観 家に就て』

読書会をやってみて坂口安吾『日本文化私観 三 家に就て』の読書会を4名で行いました。 家とはなにか?この作品では、坂口安吾の実際の経験、実感から、考察しています。家に帰ると叱られてしまう。人は孤独で、誰に気がねのいらない生活の中でも、決して自由ではないのである。こういった感覚を経験したことがあるかどうか?という話しからスタートしました。 「仕事に熱中していると感じないが、暇になると感じる」など意見が出ました。ぼくも、なんとなくわかる気がします。 坂口安吾はこの家から文学が生ま

10/8 早朝読書会 宮沢賢治『やまなし』レポ

読書会をやってみて宮沢賢治『やまなし』の読書会を5名で行いました。 宮沢賢治独特の擬音について、クラムボンとはなにか?なぜ母親が出てこないのか?東北地方の間引きについて、などなどに話が展開していきました。 こういったよくわからないような話を自分の解釈で広げていくのが文学の魅力だと思いました。 ご参加いただいた方の感想M.Tさん クラムボンが何なのか、なぜお母さん蟹が出てこないのか。 皆さんの意見を聞いて「そういう捉え方もできるよな」と驚くことが多かったです。 今朝も楽しい1

10/1 早朝読書会 夏目漱石『夢十夜 第二夜』レポ

読書会をやってみて夏目漱石『夢十夜 第二夜』の読書会を5名で行いました。 夢なのに身体感覚の描写が鋭く、読んでいるこっちも胃がキリキリしそうな内容でした。 一番盛り上がった箇所は「最後、この侍は悟ったのか?」という点です。色んな意見が出ました。 また以下の話題が出ました。 ご参加いただいた方の感想M.Tさん ただただ女に会いたいと百年待って願いは叶った第一夜。第二夜は、無にならなければともがいたが無になれずに時間切れ。侍の願いは叶わなかった(と私は思う)。 成し遂げなければ

9/10 早朝読者会『ピエロ伝道者』坂口安吾 レポ

読書会をやってみて坂口安吾『ピエロ伝道者』の読書会を3名で行いました。 今回も作品を全員で輪読した後、感想の共有をしました。 主に以下のような話題で盛り上がりました。 参加者の感想やすふみさん 今回の早朝読書会で扱った坂口安吾の「ピエロ伝道者」は切れ味鋭く示唆に富むエッセイだった。『青い馬』創刊号に掲載された弱冠24歳の安吾の堂々たるマニフェストである。印象深い冒頭の星取棹の笑い話。梅雨どきの夜空の晴れ間に星を見つけた嬉しさから一心不乱に長棹を振り廻して星を取ろうとする小坊