こども基本法は本当に子供に届いているのか?
先日、図書館の児童書コーナーでこんな本を見つけました。
開いてみると、2023年7月に発売されたばかり。
「声をあげよう、社会は変えられる」というタイトルで連想した、北欧の主権者教育についてもこの本の中で取り上げられていました。
本の内容
1章の中には「子供を取り巻く環境が悪化している」というページがあります。
子供の自殺については2022年までの統計が掲載されていて「8年間で1.5倍に増えた」と書かれています。
正直、子供向けの本にこれを掲載する事に戸惑いを感じてしまう部分もありますが、「こどもが主体」というのは現実も包み隠さないという事なのかな。
2章では子供には意見を表明する権利がある事。
3章では政治の仕組み。
4章では、子供の政治参加について書かれています。
三権分立について書かれたページは、とても分かりやすくて大人でも「なるほど!」と頷ける所がありました。
君はどう思う?
この本は、各ページの右上に「君はどう思う?」と題して、ページのテーマについて子供に問いかけをしています。
内容は素晴らしいのですが、気になったのはこの本はどんなシーンで誰が読む事を想定しているのか?
正直、本の内容は小学校高学年以上向きです。
それ位の年齢になると、家庭内で「この本をテーマに話し合う」というのは素直に応じてもらえない可能性が高い気がする。
一番理想的なのは「学校の教室内」とか、子供の集団+大人という場面だけど、本の中で「ブラック校則」を取り上げている位なので先生によってはこの本を題材にする事に嫌悪感を持つ人もいるかもしれない。
以前も書いたけど、小学校でも「子供の権利学習」という授業があったけど、明らかに「模範的回答」が用意されている様な気がした。
身近な人と何でも「対話」ができる雰囲気は大切だけど、それが当たり前の風景になるまでは「先導役」が必要な気もする。
因みに、本の値段も3,500円なので家庭で読む事を想定した本ではなさそうだ。
ハードカバーで、サイズも大きい。
「図書館に飾られた意識高い系の本」になってしまうのでは?と思うと、ちょっと残念。
内容は素晴らしいので、もっと気軽に買える形で発売されると良いな。
こども基本法を知っていますか?
この本のベースは、2023年4月1日に施行された「こども基本法」です。
その実施主体として発足したのが「こども家庭庁」。
私は「子育て中」という当事者でありながら、「縦割りだった各省庁を一体化させる為にできた組織」程度にしか知りませんでした。
wikiで調べてみると、発足までの経緯や活動の流れが分かりやすかったです。
肝心の「こども家庭庁」のHPですが、パッと見「重要なメッセージが伝わり辛い」という印象でした。
メインとなる政策は、こちらの「こども未来戦略MAP」なのかな?
ここへ辿り着く子供は何人いるのか?
こども家庭庁のHPを見ていると、こんなページに辿り着きました。
という事で、登録フォームが用意されていました。
でもさ、ここに辿り着く子供って何人いる?
学校でリーフレット配布されたワケでもない。
町の掲示板に貼られているワケでもない。
YouTubeを見ても、インスタを見ても、こんなページは表示されない。
「こども家庭庁」のHPを見ても、トップには表示されていない。
こんな所まで辿り着く子いる??
よっぽど政治に関心のある子供だけじゃない?
子供の目に入るもの
この前も書いたけど、「タバコを吸う大人」は子供の目に入る。
なのに、「タバコを吸うのも、その周りで煙を吸うのも有害だよ」と学校からチラシを配られる。
そして、しんちゃんさんはお酒を含む色々なCMについても「こどもが見る時間帯に流すことに違和感を感じる」として記事を書かれていた。
本当にその通りなのだ。
結局、お酒や煙草は「誰かが儲かる」から宣伝をしている。
だけど「子供の権利を守りましょう」ってCMしたところで、今のところ「誰かが儲かる」という構図にはなっていない(と思う)。
長い目で見れば、子供が誰でも平等に教育を受けたり、自殺してしまう子供が減る事は社会に大きく貢献するはずなのに。
「短期的な利益」を追求しすぎではないか?
本は「政治家に声を届けよう!」というメッセージを伝えていた。
でも私は「これを子供にどう届けるのか?」が、何よりも重要な課題だと感じた。
今日も有難うございました。
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