「おしゃべり禁止」じゃなくても良いんじゃない?
「今から植松努さんっていう人がお話する動画を見ます」
先日開催したPTAイベント。
「ロケット教室」での一幕。
冒頭に植松努さんのメッセージ動画を視聴する。
その視聴前に、主催者の方がこう話しはじめた。
「人のお話を聞く時は、正しい姿勢で背中ピン・・・・!って、しなくて良いからね」
「正しい姿勢じゃなくて良い」そう言われた瞬間に子供達の表情が明らかに明るくなった。
「見たくなかったら見なくて良いし、ゴローンって寝ててもOKだよ。だけどお友達は見たいと思っているかもしれないから、お友達の邪魔だけはしないであげてくれる?」
その後約15分程のメッセージ動画を視聴した。
「見なくてもOK」と言われた子供達だったけど、1人もお喋りする事なく静かに視聴をしていた。
「背中はピン」じゃなくて良いと言われて、講師の人を好きになり。
その人に「邪魔はしないであげて」と言われて、静かに聞く。
このキャッチボール、秀逸だなと思った。
強制される苦痛
私自身が、子供の頃から授業が苦痛で仕方がなかった。
「興味を持つ」という段階にきていない話を、黙って聞いていなければいけない。
しかも1日に5~6時間。
親になってからも感じるけど、「中間層向けの授業」がちょうどハマる子供はそんなに多くない。
ハマらない子が多いからお喋りが増えたり、マンガ読み始める子がいる。
工藤勇一先生が、著書や講演で「授業に積極的ではない生徒」に対して
「君が授業を聞かない権利はあるけど、授業を邪魔する権利はないよ」
と伝えていると話していた事は、とても印象的だった。
まさにロケット教室での出来事もこれと同じだ。
そう、「1人1人の権利」は大切にしてあげたい。
読み聞かせの時間
そんな事を感じた数日後。
「読み聞かせボランティア」を終えた後に、他のベテランボランティアさんが少し険しい表情で話していた事がある。
「約束」の内容がどんなモノなのか分からない。
私はボランティアを始める時に、選書のルールと10分程度で…という事しか聞いていない。
前後の話から察するに、要は「お喋りしない」という事だと思う。
確かに、絵本を読んでいる時に子供同士でお喋りしていたらちょっと気になる事はある。
その声が大きければ「やり辛いな」と感じる事もある。
でも「シーン」として、ノーリアクションだったらそれもまた辛い気がする。
自分の「お喋りしても許容する」という姿勢は、他のボランティアさんに迷惑をかけているのかもしれない…。
その日はちょっとモヤモヤした。
楽しんでほしい
でも、待てよ。
「読み聞かせの時間」なんて、強制する事ではないはず。
授業中は殆ど発言を許されない子供達。
この時間はリラックスして楽しんで欲しい。
そんな事を考えながら、次の読み聞かせに臨んだ。
その日は久しぶりに長男のクラスだった。
読み聞かせに選んだのは、この絵本。
教室に入ってみると、机を後ろに下げて子供達が前の方に体育座りで座っている。
でも何故か1人の男の子は前に立ったまま、私が話し始めても座る気配すらなかった(笑)
この絵本はフランスの絵本だったので、読み聞かせを始める前に持参した世界地図を取り出して「フランスは皆から見て右側?左側?」と位置クイズを出した。
すると「立ってる男の子」が、地図を真剣に見て探し始めたので女の子達から「見えなーい」とクレームが来た。
その後も、絵本の表紙を見せると「コレ、カートに乗ってて悪いこどもじゃん!」等と、ナイス前フリをしてくれた(笑)
結局その男の子は最後まで座る事なく、私の横で絵本に突っ込みを入れながら聞いていた。
私は有難かった。
絵本に書かれている文字を読むだけでは伝わらない事が沢山ある。
きっと座っている子供達は細かい部分が見えない。
そういう細かいポイントを「ツッコミ」という形でみんなに伝えてくれた。
そうやってどんどん参加してくれた方が、私も孤独にならないし雰囲気も楽しくなる。
これって「独演会」よりも「インタビュー」の方が、相手に伝わる良い例かもしれない。
この日はとても盛り上がり、私自身が朝からとても楽しくなった。
だけど、ボランティアさんによっては「やり辛い」「良くない」と思うかもしれない。
先生によっては「黙って聞く」を身につけさせたいかもしれない。
今回は何の準備もなく、「立ったままツッコミを入れる男の子」と楽しくワイワイやってしまったけど。
次回からは「私の時間は…」と最初に話してみようかな。
一日の始まりを楽しい気持ちで過ごして欲しい。
そして、私も一緒に楽しみたい。
「かんぺきなこども」についてはこちら。
今日も有難うございました。