『現代短歌の鑑賞101』を読む 第一二回 加藤克巳
加藤克巳という歌人の名を、私は妙な知り方で知っている。
あまり知られていないヘンテコな歌集、佐藤信弘『具体』という本が好きで紹介したことがある。その佐藤の師が加藤克巳である、ということで知っているのだ。
加藤は『現代短歌の鑑賞101』に載っているのだから短歌界で大きな存在なのだろうが、佐藤の師匠としてしか知らず、今回読んだ短歌もおそらく初めて見たように思う。
その短歌には抽象的な言葉も多く使われる。後期の短歌にはリズムが小刻みなものが多く、奇妙な印象を与える。まずは一首、