【企業インタビュー】「人事評価制度」の再構築のため副業者のスキルを活用
鳥取県に居を構え、50年以上にわたり自動車部品を中心としたプレス金型専門メーカーとして、設計・製作を手がけてきた株式会社ササヤマ。順々に材料を送り出す「順送金型」の分野では、国内で最大の製造を行うことのできる技術力ならびに設備を誇り、アメリカにも工場を持つなど、グローバル展開も積極的です。そんなササヤマの笹山勝代表に、副業人材を採用した経緯や感想を聞きました。
「人事評価制度」を刷新したかった
―副業人材を募集したきっかけと、当時の経営課題を教えてください。
「人事評価制度」を刷新したかったからです。
弊社は私の父が今から50年以上前、1969年に創業しました。創業以来、弊社の人事評価は個人の感覚に頼った属人的なものが中心となっていました。
公平な人事評価制度の必要性を感じ、2011年に父に代わり代表に就任した際に改革に乗り出しました。
誰が見ても分かりやすく、そして納得できる、そんな人事制度の構築のためにさまざまな施策を行いましたが、なかなか能力評価を明確に人事査定に反映することできず、結果が出せずにいました。
近年の弊社では、外国人人材も積極的に採用するようになり、組織の多様性が高まっています。そんな中、従業員の貢献度や成果がしっかりと評価され、公平に昇給や昇進に反映される制度がますます必要となりました。
また、そのような明確な評価制度があれば、従業員の仕事に対するモチベーションもさらに高まるだろうと考えました。
県内には求めるスキルを持つ人材がいない
— 一般的な求人ではなく、なぜ副業人材だったのでしょう。
弊社は従業員70名ほどの、いわゆる中小企業です。同規模の会社を経営されている方であればよくお分かりかと思いますが、大企業にあるような人事部はなく、人事業務は総務部が兼務しています。そのため人事業務において専門知識を持っているとは、言えませんでした。そのため先に説明したとおり、全従業員が納得する評価制度を現在の社内のリソースで作成することは、むずかしい状況でした。
一方で、いわゆる一般的な求人を行ったとしても、鳥取市だけでなく鳥取県内まで見渡しても、同じように人事の専門スキルを持つ人材はほとんどいません。こちらも先に述べたとおり、人事部そのものがある企業が少ないからです。
そんな折、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点から県の副業人材活用事業のことを紹介され、弊社の課題にマッチしていると思い参加することにしました。
10日間で11名のスキル人材から応募
—募集から採用までの流れはスムーズでしたか。
掲載に際しては、担当者が具体的にどのような人材が必要なのか、スキルセットなどをインタビューでヒアリングしてくれました。その上で実際の求人票を作成していったので、特に問題なくスムーズに進みました。
実際に求人を公開するとわずか10日ほどで全国各地から11名もの応募があり驚きました。
その中から3名に絞りWEB面接を実施し、最終的に名古屋の大手メーカーで人事業務を担当されている、31歳の杉浦さんに決めました。
—その方に決めた最終的な理由を教えてもらえますか。
人事評価制度の作成経験があることはもちろんでしたが、最終的には31歳の若さと、志望動機が決め手でした。弊社従業員の平均年齢が37歳と若いこともあり、彼らの気持ちをより理解してもらえるだろうと思ったからです。「人事のプロフェッショナルとして様々な経験を積み成長したい」との副業志望理由も、大きかったですね。
初回はリアルで、その後はオンラインでやり取り
—採用を決めてからの流れについても教えていただけますか。
「会社の雰囲気や従業員の方のことをきちんと知りたいので、まずは実際に会社に伺います」と、こちらからではなく向こうから連絡があったことに、まず驚きました。WEB面接などを通じて誠実なお人柄だとは分かっていましたが、改めて、そのことを認識しました。
会社に来ると、全従業員と面談を行いました。私や人事担当者とも話し合いの場を設け、会社としての意図や方向性ならびに、現在の査定制度も提出。あとはその方の経験やスキルをもとに、弊社に最適な人事評価制度を構築してください、とお願いしました。
現状としては進捗状況の確認などで2、3週間に一度の割合で、オンラインミーティングを行っています。そのほか何か確認したいことなどは適宜お互いに、メールやチャットなどでやり取りしています。
少額投資で大きな成果が得られる制度
—改めて、副業人材を検討している経営者や人事担当者にメッセージをいただけますか。
副業人材の活用をしようかどうか躊躇しているのであれば、理由はそれぞれあるでしょうが、まずはその一歩を踏み出し、利用すべきだと伝えたいですね。月額わずか数万円で、自社にはないリソースを手にすることができるからです。仮に成果が出なかった場合でも、ダメージは微々たるものですし、体力のある企業であれば再度、別の人材の採用を検討することもできるからです。
成果が出た場合には契約をそこで終えても構わないですし、弊社のような人事業務であれば、さらにお願いすることもできる。経営的な観点から考えても、少額の投資で得るものは大きい、魅力的な制度だと思います。
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