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【企業インタビュー】副業者の成果が事業の積極展開へつながる
伐採した樹木や刈り取った雑草などは、これまでその多くが焼却処分されていました。株式会社エコファーム鳥取では、このような一般廃棄物を微生物の力により堆肥化させ、農産物や作物の育成を促す堆肥に再生するリサイクル事業を手がけています。2020年9月に代表が変わり新たな事業展開を模索する一環として、鳥取県の副業人材活用事業にて副業者を採用。副業人材に依頼した業務や現在の状況(成果)などを聞きました。
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副業人材の採用経験があったので抵抗はなかった
――副業人材を募集した理由を教えてください。
私はエコファーム鳥取以外、建設会社なども経営していますが、実は一昨年に同じく県の事業で、副業人材を採用した経験があります。そのときの募集内容は、中期経営計画を一緒になって考えサポートしてくれる人材でした。
そして実際、東京の大手企業で経営企画に携わっている、私たちの会社にはない知識や経験、ネットワークといったアセットを持つ能力の高い人材を採用することができました。そしてその方とは現在も良き関係が続いています。このような成功体験があったので、今回も応募しました。
――一般的な求人との違いはどうですか。
解決したい経営課題をスポット的に解決できるスキルや能力の高い人材と出会うにはフルタイムの人材を探すよりも、副業人材を活用した方が、マッチする確率が高いと考えています。
もちろん、鳥取県内にも優秀な人材はいます。しかし優秀な方の多くはすでにどこかの企業に所属していることがほとんどですよね。優秀な人材を月額わずか数万円で迎え入れることができるのは副業人材の大きな魅力です。また県の事業ということで、副業人材の募集採用が無償で行える点も良かったです。
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即戦力となる環境コンサルタントを採用
――求人票の記載や面接などは特に問題なく進みましたか。
そうですね。一昨年のときは多少戸惑うこともありましたが、今回は特に問題なく、スムーズに進みました。求人を出した後応募者とは直接やり取りします。最初はメールでその後はWEB面接などですが、応募メールをそのままにしておくと他のメールに埋もれてしまう可能性があるので、今回は添付書類をフォルダにまとめる工夫をしました。
4名から応募があり、その中から東京や兵庫を拠点に働いている環境コンサルティング会社に勤務する立石さんを採用しました。
立石さんとWEB面談をした際に、当社で以前試みていたシマミミズを使った堆肥づくりに興味があることや、農学部を卒業されていることなどを伺い親和性を感じました。ビジネスパーソンとしてのキャリアもあり即戦力になると思いましたし、雰囲気の良さも採用の決め手となりました。
またこれは直接の理由ではありませんが、私は先に話したとおり副業人材での成功体験があったので、そのことをまわりの経営者仲間に話していました。そのうちの1人が実際に副業人材を募集。そしてなんと、その会社に応募してきた人材が私が評価した方と同一人物であり、知人の経営者も同じく採用を考えていると。これは間違いない人材だと思い、採用を決めました。ちなみにその方は知人の会社でも副業登録し、弊社と同じようにスキルを提供しています。
ふだんは話しづらい内容も相談できる
――具体的にどのような業務をお願いしたのですか。
当初は人力に頼っていた生産方式を機械化することで、生産効率を高めるアドバイスがほしいと考えていました。しかし実際には経営課題は他にもいくつかあり、採用した方のスキルや社会情勢なども加味した上で、まずは弊社のエコ堆肥が実際どれくらい環境に優しいのか、そのエビデンスを明らかにしてほしいと依頼しました。
具体的には、刈草を焼却処分する場合と弊社で堆肥化する場合での、各処理方法の二酸化炭素排出量の比較です。エビデンスを出すにはどのようなデータや計算式を使うのか、私たちでは分からない部分も多かったからです。
初回は実際の製造工程なども見てもらいたかったので立石さんに当社まで足を運んでもらいましたが、その後はオンラインでやり取りを重ね、2021年の1月に堆肥にすると焼却に比べ15%二酸化炭素の排出が削減されるとの明確な数字が出ました。
それだけではありません。建設会社が行っている工事現場では、道路の脇の法面という斜面に当社の堆肥を吹き付けると、何もしない場合に比べ雑草の育ちがよくなり、草が二酸化炭素をより多く吸収。その結果、焼却ではなく堆肥化することで実質約30%もの二酸化炭素の削減に繋がることが明らかになりました。
実は以前から、建設工事の際に刈り取った雑草の処理が問題になっていることを知っていました。つまり当社の事業が広がれば、これまで建設業界であった課題ならびに、環境への負荷軽減という2つの問題解決が同時に進むのです。彼女が示してくれたデータのおかげで、まさに今のトレンドに沿った環境に即した事業を積極的に展開していけると、大いに期待しています。
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――副業者とこれからも一緒に仕事をするうえで何を求めますか
先に説明したように課題は他にもありますし、立石さんは環境だけでなくコンサルティングスキルも兼ね備えていましたから、他の課題解決に関しても協力してほしいと、次のステップに進んでいます。
というよりも実際は、堆肥事業の積極展開に前のめりになっている私たちの様子を鑑みた彼女の方から、「今は改めて会社の理念や事業を行う意義を整理した方がいいのでは」とのアドバイスをもらいました。私たちは販売のことばかりで頭が一杯でしたが、改めて足元を見直すきっかけを与えてくれ、感謝しています。
これは建設会社でお願いしている副業人材の方でも同じですが、私たち経営者は、特に経営に関する重要なことは他人になかなか相談しづらいです。社員にはもちろん、経営者仲間でもよほど信頼した方でないと話せない。そのようなことを相談できる相手がいるというのも、副業人材を採用するメリットだと感じています。
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契約が月単位なのでリスクが低い
――改めて、副業人材を検討している経営者にメリットやアドバイスをいただけますか。
先ほども少し触れましたが、仮にお互いに合わないと感じたときでも契約を見直すことができますし、新たに副業人材を探すこともできます。実際、私は建設会社の方では当初2人の人材を採用しまたし、現在も引き続き募集しています。
月単位の契約はお互いの合意があれば、数カ月や半年といった期間に変更することも可能です。このあたりの自由度の高さも、これから副業人材の活用を考えている経営者には、ハードルが下がるのではないでしょうか。
ひとつアドバイスをさせていただくとすれば、副業人材に限ったことではありませんが、ビデオ会議が行えるシステムの整備は必要だと思います。そういったシステムが不得意だと感じているならば、ツールや仕組みに詳しい従業員にサポートしてもらうなどして、副業人材の活用を検討することをおすすめします。
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