「花を奉る」~熊本の作家 石牟礼道子が手向けた花
花や何 ひとそれぞれの 涙のしずくに洗われて咲きいずるなり
花やまた何 亡き人を偲しのぶよすがを探さんとするに 声に出せぬ胸底の想おもいあり そをとりて花となし み灯あかりにせんとや願う
http://www.asahi.com/special/kotonoha311/ishimuremichiko/
石牟礼道子は水俣病を書いた「苦海浄土」で有名な作家だ。
東日本大震災後、テレビでがれきの中に下を向いて咲く1輪の花を見て書かれたという。
この5年後、熊本地震が起きる
その後、菩提寺で子供の法要をしたときに、彼女の遺骨が祀られていた。
彼女はしばらくその寺に身を寄せたという。
縁を感じた。
「花を奉る」は美しい
なんと優しく、そして儚い光だろう
そして
1輪の花のように
儚くなってしまった我が子との思い出が
まるで夢の中の出来事のようにも思えて。
大事な人を亡くした沢山の人々の
暖かくて楽しい
そしてもう二度と戻らない、悲しい気持ちを想った。
災害でも事故や病気、自死であっても
大事な人を失う悲しさは変わらない。
せめて夢で逢えたらと思い
逢えば、覚めたときに現実に引き戻され
覚めたくなかったとその名前を呼ぶ。
幸いなことは、一日一日と
亡くなった大事な人に近づいていること。
きっと花のように笑って待っている。
そんな私の心にも子供にも
彼女は
花を手向けてくれた
そんな気がする詩だった。
あれから10年。
沢山の
今も涙を流しながら生きている人々の心に
花を手向けて。