【蒸留日記 vol.112】チャイテラエラベンダー'Silver Sands'の蒸留。
えーこんちゃこんちゃ!ラベンダー研究家のエフゲニーマエダでっす。
ラベンダー蒸留の世界でも特に異質中の異質であるハイブリッドラベンダー:チャイテラエの世にも珍しい蒸留レポート記事をあげてっちゃいます!
えーと2024年ラベンダー蒸留シーズンインして初の蒸留となった記念すべきラベンダー品種は本稿で解説するチャイテラエ 'シルバーサンド'になります!
2024年8月現在、ウチにいるチャイテラエ系統種のラベンダーは「ソーヤーズ」と「シルバーサンド」の2種おるんですが、シルバーサンドの方が1年早く植えているので開花収穫・蒸留できたのはシルバーサンドになります。
■Introduction
さて、現代であっても研究データがあまり出ておらず、ウチで最速蒸留して精油を得てみよう!と2024年度より未知領域の探索として大規模栽培を開始した、比較的近年に誕生した新系統ラベンダーのチャイテラエラベンダー(Lavandula x chaytorae)。
1980年代、英国のラベンダー研究圃場のなかでウーリーラベンダー(L. lanata)とコモンラベンダー(L. angustifolia)の畝間に自然交配で未知のハイブリッドラベンダーが偶然発見されたことにチャイテラエ系統作出の端を発します。
英国の畑の中で、ウーリーラベンダーとコモンラベンダーは交配できる!と判明したワケなのですね。
ウチのラベンダー見本花壇ではチャイテラエ系統種の園芸品種であるシルバーサンド(L. x chaytorae 'Silver Sands')が、ソーヤーズたちより一足早く昨年より植わっています。
ホームセンターのラベンダーコーナーで販売されるような割と近年作出されたチャイテラエ系統の園芸品種のため比較的お値段が張るラベンダー品種になってます。苗の値段がわりと値が張るんですよね。
なのでシルバーサンドの大量栽培はできないな…と思い、採油用としてはチャイテラエ系統の定番品種として比較的たくさん出回っている「ソーヤーズ」を大量栽培することに決定していました。
シルバーサンドは23年度に定植され、2年目の今年現在このような大きさ・規模に育ちました!
蒸留可能な程度花がついたので、さっそく収穫して蒸留してみたいと思います。
もっぱら園芸目的で出回っているラベンダー品種なので、まさか蒸留に供している日本人はいないだろうと。。。
▶︎About L. x chaytorae 'Silver Sands'(文法おかしい?)
蒸留当日のチャイテラエ 'シルバーサンド'のようすです。
モンシロチョウ?が採蜜に訪れていました。濃い花色とモンシロチョウのコントラスト対比が美しいですね…!
続いて花穂の詳細です。
チャイテラエ系統種はウーリーラベンダーと交配しているので葉っぱや茎がどのラベンダー品種よりも白っぽく映るのが特徴ですが、花穂(つぼみ)と花びらは濃い赤紫色をしています。
エフゲニーマエダ的にはコモンラベンダーの「1号ようてい」に近い印象を持ちました。
ちなみにですが、今年は蒸留できなかった同系統の'ソーヤーズ'は花穂の白っぽさが強く、青紫色をしているようでした。
来年には採油が可能なほど花が咲く予定なので香りの比較など楽しみですね!
「シルバーサンド」の葉っぱおよび茎のようす。
片方の親品種にウーリーラベンダー(Lavandula lanata)がいるのでそちらの形質特徴を引き継いで茎と葉っぱがモコモコと毛羽立っているのがわかりますね。
■Materials&Methods
今年蒸留できたチャイテラエ系統はシルバーサンドの1株のみだけだったので収穫量はこの程度。
今回の蒸留部位は花のみではなく、精油の量を稼ぐため葉っぱと茎(Leaf&Stem)も含めて蒸留にかけました!
容器重量854gを差し引いて蒸留素材の重量は142グラムでの蒸留となりました!
精油の香りの特徴を掴みたいので、蒸留時間は50分としました!
■Result
今回'シルバーサンド'1株分の花穂の蒸留の結果、推定0.8mL程度の精油が抽出できました!
他にチャイテラエ系統(Lavandula x chaytorae)の精油を採った日本人っておいら以外にいるのだろうか。。。そこまでこだわり強い人と会って話してみたい欲望があります。笑
1.収油率 - EO Yield
収穫量がかなり少ないためになかなかアテにならない収率計算でしょうが、ひとまずデータ出してみます。
来年、それなりにまとまったグラム数えられるであろうもう一方の品種「ソーヤーズ」と収率の比較が楽しみです!
2.香りとか - EO Scent
蒸留してからやや香りが落ち着いたであろう執筆中現在の8/10に官能してみたのですが、、、
一般的なラバンジン精油よりも薄い樟脳感と、強いラベンダー的甘さ、フローラルさを感じる香りなんですよね。
意外にもコモンラベンダー寄りの上質で心地よい香りのする精油が採れる、注目に値するラベンダー系統種なのかもしれません…!!
もしかするとラバンジンよりも優れた香りを持つ精油が採れる子かもしれません!
が、次なる課題は収油率ですよね。コモンラベンダーより収油率が下回ってしまうと産業的価値は低くなってしまい、お土産的な価値しか持てなくなってしまいますからこのあたりの研究余地が残されますね。