【蒸留日記 vol.132-2】北見ハッカ'ホクト'をそのまま蒸留する! #ハッカ蒸留part2
さてさて!
前回part1ではハッカを粗く刻んで蒸留するパターンを検証しましたが、本稿part2では刻むことをせず、収穫からそのままの状態で蒸留にかけてみて収油率や蒸留時間などを調べてみたいと思います!
蒸留に使用する北見ハッカ'北斗'の諸データは前回の方に記載しておりますのでそちらご参照くださいまし〜!!
■Theme-ハッカをそのまま蒸留にかけた場合の収油率を調べる。
前回volume132-1での蒸留テーマはハッカ素材の茎根含めた枝葉を細かく刻んだ場合における収油率と蒸留完了時間を調べることでした!
して収穫重量あたりの収油率と精油抽出が概ね完了する時間を特定。
今回volume132-2では、収穫したハッカをあえて細かく刻まずに(蒸留釜に収めるために最低限は細かくする)蒸留し、収油率と抽出ピーク時間を同様に測定。
ハッカ精油が葉っぱの表面に貯留されているのか、葉や茎の内部に貯留されているのかを白黒つけることが今回vol132-2のテーマとなります!
なので具体的には蒸留前の素材処理が一手間ラクになる感じでっす!
vol.132-1では手ハサミで細かく刻んでから蒸留してましたが、今回132-2では打って変わってそこまで細かく刻まずハッカ油の抽出を試みます。
で精油の出方は変わるのか否か、です。
刻む→細胞内の精油が出やすくなる?
刻まない→細胞内の精油の出が遅くなり、蒸留時間が伸びる?
ちなみに!
ハッカ栽培の本場・北見での蒸留抽出方法は収穫後さらに2週間ほど屋外乾燥させた後に蒸留にかける方式のようです。
メントール以外の精油分飛ばしメントールの濃度を上げる工夫のようです。(あまり詳しく調べてない)
■蒸留1回目。
蒸留時間はまず1時間30分で区切り、続けて1時間追加蒸留して"刻まなかった場合の抽出ピーク"を確定させる。
事前想定として、細かく刻まなかった場合にくらべて抽出時間は長く伸びるだろうと想定されている。
1回目の蒸留結果 - 収油率など。
のちの追加蒸留1時間で得られた、残渣に残っていた精油。
この残り具合から精油抽出ピークは先の90分以内にあることがわかった。
よって、ハッカ素材を刻まなかった場合でもハッカ精油の抽出は90分で完了していることが判明した。1回目以降の蒸留時間は90分とした。
■蒸留2回目。
2回目の蒸留結果 - 収油率など。
充填量は少なかろうともいつもと収油率はあまり変わらず…!
■蒸留3回目。
3回目の蒸留結果 - 収油率など。
1500g分のハッカ素材を蒸留釜にわりかし押し込んだにもかかわらず、意外にも高い数値(Oil Yield)が出た。
おそらくハッカの生育が良かった部分の刈り込み素材を蒸留したからかもしれない説の可能性が高くなった…。
■蒸留4回目。
4回目の蒸留結果 - 収油率など。
うーん0.6%台に戻った。
■蒸留5回目。
さて刻み蒸留5回目、前回分から数えて8回の収穫・蒸留にて北見ハッカ'ホクト'の蒸留・精油抽出が完了となった!
ハッカはシソ科植物でミントの類縁植物なので宿根草であり、1年の収穫を終えた後もそこに根株が残る。
来年5月さらにモサモサになって生えてくるだろう…
5回目の蒸留結果 - 収油率など。
やはりハッカが植わっている、育っている畝の場所・栄養条件次第で収油率率が0.6~0.8%以内で変わっているのだろうか?
■Discussion - 総評
1.収油率/EO Yield
まず蒸留5回分のデータを表示します。
さらにアベレージで表示する。
2.最適な蒸留時間/Distillation Time
今回のハッカ蒸留では素材をあまり刻まず蒸留するパターンにて蒸留時間と収油率の関係を検証した。
2度の異なる蒸留時間区分けにより、あまり刻んでいない生葉ハッカ素材から精油を得るのにベストな蒸留時間は1時間半(90min)と算出することができた。
しかし蒸留2回目以降の最適な蒸留時間の検証が甘かったため、「90分で抽出完了する」という事しか判明していない点に注意が必要である。
蒸留のコストを下げるために最短の蒸留時間を突き止めるためには、さらに15分・30分・45分・60分・75分と細かく区切っていき、それぞれのパートで何mLの精油が抽出されるかを調べる必要がある。
【結論】生ハッカは蒸留前刻むべきか?刻まなくてもよいか?
上記の素材処理方法違いでの収油率を比較すると、どちらの処理方法とも収油率にほぼ大差ないことがわかる。
ハッカは刻んでも刻まなくても精油の抽出効率が変わらないことがわかり、よって、素材を細かく刻まず蒸留することが望ましい。
【付録】ハッカ'ホクト'栽培の全収穫データ
次回への展望
最適なハッカ(Mentha canadensis var. piperascens)生葉の蒸留方法が判明したところで、次は南方ハッカ品種かつ準日本血統品種のハクビ(博美)の収穫蒸留へ移っていく。
ミントのベストな蒸留法を流用・適用するのではなく、ハッカ蒸留の蒸留法スタンダードを数的に確定できたことは大きな結果だと思える。
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