【蒸留日記 vol.130-1】スペアミントの花穂を蒸留してみる!
はい、ラベンダー蒸留シーズンを終えてお次はスペアミントのシーズンでっす!
今年植えたハッカは苗スタートだったので本来の時期とはまた別となっており、、、
意外にもスペアミントの花にめぐり合えるのはなかなか珍しいのかもしれません。
というのも、都会の河川敷やらの草原で繁殖しているスペアミントなんかは自治体の定期的な草刈りなどに遭って花をつけるまで悠々と育つことができないパターンが多かったりするんですよね。
なので廃屋跡地や耕作放棄地にマグレで繁茂してたりすると、それらは刈られることがないので花の収穫が可能となったりするワケです。
▶︎道草
セイタカランドと化している耕作放棄地の今時期の風景を撮ってみました。
忌々しいアメリカオニアザミとセイタカが2種写ってますね。
今花穂を黄色く咲かせているのは開花時期が早いオオアワダチソウ(Solidago gigantea)で、開花時期以外に茎がツルツルしていることで見分けられます。
まだ花穂が緑色なのはセイタカアワダチソウ(Solidago altissima)のハズ。詳しいこと見てみるとSolidago canadensisだったりもするかも…。
オオアワダチソウとセイタカアワダチソウは多分倍数性が違うのでまず健全子孫を生めないと思うんですが、開花期も違うので花粉のやりとりができないので別種として両種混成できている状態となっています。
ま!これがいまの北海道の湿地草原?の植生っすね。
スペアミントの花穂蒸留編!
ミントの蒸留自体は野生化群落を発見した昨年からやってるんですけど、花穂という部位のみでの蒸留は未検証でした。
ということで花期が来ている今回、それをやってみよーう!というところでっす。
花部の精油…
ラベンダーの常識でいうと、葉っぱと茎にある精油は虫に食われないために虫除け成分(シネオール、樟脳等)を多く含んだ精油組成になっていて、私たちが当たり前にラベンダー精油!と認識する花から採れる精油の香りとはまた異なった香りの精油が含まれているんです。
まぁ花は虫を頼って別株の花と花粉のやりとりをしなければならないので、虫を遠ざけてしまっては元も子もないですからね。
ということを踏まえると、ラベンダーと同じシソ科植物のミント(Mentha sp.)も花だけ集めて蒸留したらミント精油とはまた違った香りの精油が採れるんじゃね??って疑問が湧いたので、それを確かめてみよーう!というワケです!
■蒸留準備!
材料集め
はい、スペアミントの花穂採集現場です!
地面をよーくまさぐるとボロボロのマルチやらビニールが出てくるので元畑だったとわかるのですが、かれこれ10年以上は放棄中。。。
でなぜミントを育ててたのかはわかりませんが、作物のうち唯一スペアミントだけが逸出してあたりに広がっている状態となっています。
ほかは背の高いセイタカやらドクダミやらスゲやらが覆っていて、さすがのスペアミントも太刀打ちできずこのエリアに抑制されてしまっているようす。
ちゃんとミント以外の雑草を徹底除草してやればもっとスペアミントも広がってくれるんでしょうかね?
ミントだから虫を一切寄せ付けないかというとそういうワケでもないようで、白く咲いた花序にはモンシロチョウのほかミツバチと銀バエ、ハナアブ類がたくさんきてました!意外にもミツバチくるんですね!
ハエ・アブ類がわんさか来てるのも意外に思い、臭いのかな…と。
さてお次はミント花の観察。
ハッカ花蒸留記事のほうにも乗せてハッカ花と比較してみたんですが、スペアミントはハッカとはわりと異なった花穂のつくりをしています。
ラベンダーなどに似て茎の先端にまとまって花が付くタイプの花穂になってます。
葉っぱがあまり混入しないので蒸留する側としては香りが比較しやすいでしょうかね。
蛇足なのですが、スペアミントのスペアはスピアー=槍からきています。
槍のように長く尖っていることが名前の由来になっているんすな!
開花期となったスペアミントは草丈がかなり大きくなり、大人の腰ほどの高さにまで成長してます。
なのでその先端に付く花穂の回収はそこまで難しいものじゃないですね。
無論、野生帰化スペアミントが相手なので雑草畑を藪漕ぎする羽目になるので低い位置にある花なんかを採るさいは阻む草をどかす労力もかかるのだけれど。。。
かれこれ20分ほど一帯のミントの先端についている花を収穫。
葉茎に比べてそんなに多く集まるものでもなかった…
材料処理
そこまでの素材量が集まらなかったのですが、とりあえず250グラムでの蒸留となりました。
蒸留時間は→1時間半としました。
■蒸留結果は…!?
蒸留素材250グラムと物量の少なさが若干心配ではありましたが、無事精油を抽出できたみたいです。
ちょいと注目すべきことがあって、ヤロウ蒸留で残ったパッキンのカマズレンを引っ張り出して緑色に色づいてしまったんですが、前回のハッカ蒸留やミント葉茎蒸留ではカマズレン色がつかなかったんですよ。
たぶん花の精油成分組成が葉茎の精油に比べてカマズレンを引っ張り込みやすいモノテルペン主体である可能性が出てきました。
ピペット計測で1.8mLのスペアミント花穂精油が得られました!
さっそく収油率計算をしてみます。
1.収油率 - EO Yield
この収油率を他の部位や異なる素材処理方法で比較検証していきます。
花穂は0.720%ぜひ覚えておきましょう。
2.香りとか - EO Scent
うーん、いかついミントの香りがしますね。
花抽出精油だからといって特段変わった香りがするってワケではなさそうです。