
2024年度、ラベンダーを枯らさない方法を真剣に検討する。
えーと、ラベンダーに関して特にリポートをあげられないまま7月が過ぎ去ろうとしてますが、何種類かのコモンラベンダー(Lavandula angustifolia)品種の蒸留はすでに終えています。蒸留器のちょっとした不調で対策を考えてるうちに時間が経ってしまいました。ちゃんと復旧させたのでご安心をbb
8月間際ごろにまとめて蒸留記事を落とすつもりで数本記事をしたためているって状態っす。(今年はマジメ)
蒸留収穫のときにラベンダーとじっくり見つめ合っていると、ラベンダーと久々に心通わせて悩みや今の思いが聞けたのでそれについて書いてみようと思います。
書き出しスピリチュアルってますが、内容はぜんぜん経験とロジカルに基づくものなのでご安心を(笑)
栽培5年目にしてエフゲニーマエダはついにラベンダーと意思疎通ができるようになってしまった。驚愕である。
●大小ラベンダー株を枯死に追いやる原因。

栽培歴4年目(2023年)にして初めて見事に枯らし、今後のラベンダー栽培の大きな反省点に。

株元からの再生芽も見えるが、カビに追い打ちされ結局枯れた。
さて、昨年のシーズンではラベンダー大株をいくつか枯らす、弱らせるといった痛手を経験しました。
収穫直後の開花疲労したラベンダーたちを、8月から夏の酷暑と連日の降雨による多湿状態が襲ったんですね。なんと気温が落ち着く9月まで約1ヶ月間も!!
本来半乾燥地に生育するラベンダーたちにとっては生育上ありえない気候状態です。
ナリサワの収穫蒸留記事を書いた時点からその片鱗は見えはじめており、、、
当初はナリサワだけのマグレ弱りだと思っていたものが、8〜9月まで高温と降雨日が多い時期となってナリサワのみならず、他の品種株にもダメージを与える始末でした。
湿度に強いとされる北海道品種'3号濃紫早咲'や英国品種'マンステッド'がくたばったのはかなり衝撃でしたね…
(他品種は枯れずとも枝が枯れるなどの被害がしっかり出た)
さて、1年明けた今年の花の量や生育状況を見ていると、花が少なかったり株の形状がいびつであったりなど悲しまずにはいられない状態を見せているので、北海道でのラベンダー栽培5年間で観察できたラベンダー栽培上の失敗といえるポイントについてそれぞれ精査していってみます。
①土壌の乾燥と固着

主に黒土を多用する若い頃のラベンダー苗や鉢植えで起こりやすい状態ですね。黒土メインや無調整の培土など使って花壇植えした場合でもよく見かける状態です。
赤玉土はもともと乾燥しやすい泥岩質のポロポロした用土なので滅多に起こりえないんですが、保水性が高いと謳われる腐植主体で繊維質な黒土や園芸栽培用土なんかは日差しを浴びて乾くとスポンジのように締め固まってしまうのです。
これがラベンダーに対しての水やり時の通水・水浸透を妨げ、水不足に陥らせやすいのです。
他の苗と同量の水をあげたと思っていても、表土から水が弾かれて鉢外側を通って下に流れ落ち、結果としてラベンダーが水を得られないという状態を作り出してしまいます。。。
よって「黒土」や「黒土を含む用土」が植栽物の下表層に顔を見せる状態となる植え方を考え直す必要がありそうなのです。
また、「消石灰」「苦土石灰」「有機石灰」の施肥のしすぎで用土が硬く締め固まりやすい状態に陥ることも、水やり時の的確な透水を妨げる要因になるのでカルシウム・石灰分の施肥については慎重に程度を考える必要があります。
②高温多湿による枝葉や根腐れ

本州におけるコモンラベンダー苗が1,2年で枯れる要因というのが、本州での伸長・開花期:6月に梅雨時期がぶつかるのと再成長期に台風襲来シーズンがぶつかり、長期的な高温多湿環境が作られてしまうためです。
北海道では本州と違ってこの気候由来の環境が成立しにくいため、ゆえにコモンラベンダーなど地中海原産ハーブの好適な栽培環境となっていますが、近年の気候変動の煽りを受けて高温多湿環境が成立してしまい、昨年2023年の8~9月で開花疲れした多くのコモンラベンダーを枯死に追いやってしまいました。
このことから本来のラベンダーの寿命を大きく削ぐ状態となり、いよいよ北海道でも本州と似たような栽培方法を取り入れねばならない状態となりました。
天候を人間がコントロールすることはまず無理なので、対してラベンダーの育つ土壌環境をコントロールしてやることに尽きます。
まず簡単には、開花疲れしたラベンダーの大株が再度新芽をグングン伸ばして急成長することはまず考えられないので、長雨時期となりそうだな〜と思ったら散水に石灰を混ぜて石灰水を散水してあげて、カルシウムイオンを摂取させてあげることです。
ラベンダーは南仏の石灰岩土壌に適応進出した植物なので、カルシウムを自らに取り入れて活用する術を体得しています。
つまるところ、葉っぱや若い枝をカルシウムで硬く厚く強靭にして、水腐れや過度な蒸発散を防ぐことにあります。(成長を鈍化させるという意味)
次に移植や定植時にあらかじめ踏んでおく対策として、黒土とともに配合する赤玉土の量は最低でも5:5、7:3〜8:2くらいとかなり多めの割合にすることです。
「根腐れ」は土壌に通気性を確保することで防止できることが知られていて(根にダメージを与える菌類は嫌気性のため)、根菜葉物系野菜と違ってじっくりゆっくり成長する低木のラベンダーは比較的少なめの腐植・黒土:チッソ栄養分でも着実に成長していけるタフさがあります。
なので「チッソ不足」よりも「黒土の保水性が生む根腐れこそ悪手である」と考えるようにすることがベストかと思われます。
ラベンダーの根元付近で「高温」と「多湿」の状態を避けるのです。
③カビ・菌類の発生を恐れて有機質(黒土等)を与えない

これはラベンダー栽培歴2,3年ごろに得られた栽培実験からの知見ですが、「ラベンダーは半砂漠のような土地に生育する植物」というイメージが先行しすぎて、赤玉土および火山灰土のみでラベンダーを植えた区画がありました。まったく黒土を使わない植え方をしたんですね。
結果として苗は1年間見た目を変えることがなく、全く大きく育たない状態になったのです。
(幸いラベンダーは乾燥には強く、枯れた苗は数株程度だった)
この原因を精査すると、「赤玉土」と「火山灰土」はともに高温焼成された無菌用土に分類されます。
赤玉土は人工的に工場で生産されコロコロした粒形状をとり、火山灰土はまさしく天然の火山が作った多孔質の軽い粒状用土です。
どちらとも腐植/チッソ栄養分を含んでいないので挿し穂の発根培土として使えるほどの無菌用土であり、言葉を裏返せば植物が大きくなれるチッソ栄養分を持っていません。
なので赤玉土&火山灰土のみでラベンダー苗を植えてしまうということは、常々水落しやすい疎水的な環境を作っていること+ポット土の最低限なチッソ栄養分しか持たせていないことになり、無論ラベンダーは大きくなることができませんでした。(無知ゆえの失敗だった)
上記問題点を解消する植え方を実践!
「地植え」「鉢植え」でも共通させたいラベンダーの植え方ですが、1種類の用土で植えてしまうよりか、2層構造で植えることを念頭に置きます。
これはいわゆるコモンラベンダー(Lavandula angustifolia)原産地である南フランスでの原生ラベンダーの生育状況を観察したうえで導き出したメソッド・植栽法になります。


南フランス現地での野生ラベンダー(Lavande sauvage)の生育状況を観察してみると、一見黒土など有機腐植が乏しい真っ白な石灰岩に着生して生えているように見えますが、表土を覆っている石灰岩のレキの数十センチ下には、保水性がそれなりにある腐植と砂質石灰岩が織り混ざった土壌があり、そこに根を這わせていることがわかっています。
つまるところ、この「風通りが良いレキ層」と「チッソ栄養分を持った保水性土層」を用土構造から再現することで本来ラベンダーにとってのベストな生育を実現&多少の異常気象にも抗堪性をつけることができるようになるのです!
2年前には石灰岩を培土下層に敷きラベンダーにカルシウムイオンを吸わせる実験を行いましたが、"表層に黒土を用いていたこと"でカビを発生させ根腐れを誘発し何株か枯らせてしまいました。
作物定植の表層に黒土を使うとネガティブ影響をもたらすことに留意。
それら反省を踏まえた新しい植え方を実験・実践する!
確実に言える『ラベンダー枯死対策の考え方』として、「苗状態〜若いうちは乾燥対策」と「大株は多湿対策」と考えておいて間違いはないはずです。
1.苗et小株のケース
挿し穂1,2年目の苗や手のひらサイズの小株ラベンダーの場合、根っこの体積サイズ・総量も上体同様にかなり小さめです。
なので強烈な日差しによる土面加温や少雨による土壌乾燥などの影響をモロに受けます。
たとえ1度冬越ししていたとしても安定的に土壌水分が得られる深度まで根が張っていないと夏の日差しによる乾燥でくたばる可能性が高いことに留意してください。
これらを考慮して、枯れ対策を考慮した2層の用土構成でラベンダーを植えてみます。苗・小株相手なのでわかりやすく「鉢植え」で。
挿し穂苗と同じくそれなりの水やり回数を必要とする生育ステージです。
言い換えるならば、吸水用の細根が張り始めた土中は常にウェットな状態を望んでいます。
自分を大きくするために盛んに光合成(C6H12O6:グルコースを作る)をしなきゃならんのですが、必要なのは太陽光だけではなく水素供給源となる水もです。のどが渇いたから水を飲む人間と違い、水もちゃんと自分を作るパーツ材料として利用しているんですね。

大まかには、上面をチッソ養分を含まない赤玉土で覆い、鉢ポット半分以下の下層を黒土主体のチッソ栄養分吸収&保水層として機能させます!
エフゲニーマエダ氏、今まで一種類の用土だけで鉢植えを作っていたのでラベンダーにとってベストな状態ではなかったらしいのです。
では実際に反省を活かしたラベンダー鉢植え作ってみます。
鉢は苗木サイズと大きなギャップを生まない程度のサイズにします。
あまりにデカすぎor小さすぎると根っこの吸水や栄養吸収がうまく行えず生育不良の原因に。。。
また鉢底の穴のサイズ=水の抜け落ちやすさも考慮しましょう。
今回、小さい鉢6号鉢に植えるので排水性を上げて用土乾燥と枯れリスクを格段に引き上げる鉢底石は敷かず「鉢底ネット」のみ敷くことで済ませました。

ガンピ入りの野菜培土も半数混ぜました。2ヶ月間ほど機能するようです。
実は黒土には、製造メーカーや価格によってクオリティに差があります。
「砂っぽい水はけ良さそうな黒土」と「黒変した枝・木片や腐植を含んだ黒土」とがあります。
後者の方は扱い方気をつけないとカビやコケ・緑藻類に覆われやすいので気をつけましょう。今回は砂っぽいタイプの黒土を使いました。
まず黒土を1カップバケツに投入。続いて、、、

最低限の排水・通気性として赤玉土を2カップ配合。2:1ないし4:6程度に赤玉土の割合を上げておきます。(頻度の高い潅水に耐えるため)
ここで注意なのですが、鉢の下層・保水層を考えたときに黒土にブレンドする赤玉土のサイズを中粒など選んでしまうと、水落ち/排水性が高まって枯れのリスクが大きくなります。なので配合する赤玉土は小粒に。
今までは苗木を鉢植えするとき、すべてこのような赤玉土の割合が多い赤玉x黒土ブレンド用土のみで植えていました。
が、黒土を表層に使うと"ある失敗"を招くことを学んだので、あくまで鉢の下半分だけに敷きます。
で、次に移植する苗木の用意。

今回はヘンピな空き花壇のフチで生き延びているMaillette小株2本と香料用に選定・栽培しているFolgateの数年前からの生き残り挿し穂苗の3株を実験的に移植してみます。
本来だと明らかに植え替え時期を間違えてる(春・秋の涼しい時期にやりましょう)のですが、それでも枯れずタフに育ってくれれば敵なしだべ!ってことで自分の腕を試していきます。
・・・日が傾いて涼しい時間帯に掘り取ります。
2日間雨が降っていたので水分量も高く恐らくは移植に耐えてくれるコンディションのはずです。

小苗が細根で掴んでいた土を落とさず、有機栄養をもつ黒土ベースの下層用土を鉢の半分目まで敷いた鉢土面に、優しくぽんっと置きます。
まだこの次にいきなり赤玉土を入れたりはしません。

まず根っことそのまわりの保水のためにやさしく水をあげます。根が掴んでいる土を洗い落とさないよう優しく…
これをするかしないかで新しい土壌への活着の%が変わります。
まぁ根っこにドライな用土をいきなりかぶせてしまうと根っこの水気を土に奪われてダメージにつながるので、根っこを濡らしてコートしてあげるのです。

で次に、ブレンドした黒土ベース用土を根っこに若干覆土してやります。
ワンステップ前に水をかけて保湿したとはいえ、露出した根っこに乾いた赤玉土を載せるとダメージとなってしまいます。
加えて小株が新たな土壌から栄養分を吸収し根っこを伸ばしていくまでしばらく時間がかかるので、その間の保湿材として根っこの上面も黒土に保湿させるのです。
これによりラベンダー小苗の根っこは、半身黒土に埋めた状態となります。先に半身浴させるイメージですね。

最後に、赤玉土の投入。
赤玉土については、南仏現地ラベンダーのようすと通気性を考えて中粒のみにしてやりたいところですが、今回植えている"モノ"がそもそも通気性を有する素焼き鉢。多少の保水性を確保しなければ、かえって夏の鋭い陽光と気温によりすぐに乾燥してしまいます。
なので中粒のみだと生じてしまう空隙を小粒で埋めてあげるイメージで赤玉土の小粒と中粒をブレンドし、多少なり保水性を上げておきます。

用土2層の高い低い≒苗の植える高さ≒根っこの覆土についての図説です。
小株にマッチしたサイズの鉢において、それぞれ機能性が異なる用土をちょうど半分の高さにしたのにはこのような理由が。
鉢だからといって黒土層を薄くしても水が落ちやすくてダメだし、黒土を表面に露出させなければ大丈夫!と肩まで入れてしまうと夏の陽光加温が悪さするハメに。

で、しまいにありったけの潅水をして終了!
鉢の上半分は赤玉土なので過湿による根腐れリスクをだいぶ軽減できているハズです。少なくとも過去1番には。
鉢の形状についてなんですけど、Maillette2株はあえて深めの鉢をチョイスしています。(さらに水が落ちやすくもなる形状=Negative)
というのも、水を求めて深く根っこを下ろさせることで、次の植え替えでは乾燥や高温リスクを受けない土壌深いところに根を張らせることを目論んでのことですね。1鉢¥498でした!(Folgate:素焼き6号のほうは¥418)
今後の管理・扱い方としては、雨なし高温時期はわりと上層:赤玉層が乾きやすいハズなので、こまめに水やりをする・数多い水やりに耐えられるように設計しています。
高温多雨時期は、基本放置でよいかなと。少なくとも黒土ベースのみではなく赤玉土と上下2層に分けて植えているので上層:赤玉層は通気性がよく根腐れの心配は低減できているハズです。
小株で過湿弱りという状態はなかなか起こらないんですが、万が一過湿で弱りを見せはじめたらコロコロしてて扱いやすい上層を一旦抜き中粒のみに入れ替えてあげるなどします。
失敗例と思われる植え方
ここでは、過去やった鉢植えで失敗だったなーと思うものを解説します。
いわゆる黒土を表層にまで張ったことによる"ある失敗"についてです。

まず真ん中の鉢が今回新たな2層で植えた鉢植え、左右が過去の失敗を孕んだ植え方での鉢植えです。
◀︎の小鉢は雨後の現時点でこそ健全な鉢植えに見えますが、黒土多めの用土で植えられている状態。
したがって雨の少ない時期では土がガピガピに固まり、いざ潅水をしても乾いた腐植が水を弾いて的確にラベンダーの中央に水が染み込まない状態となっていました。黒土はガッツリ乾くと潅水時面倒なのです。。。
加えて、長期の多湿期間に入ると緑藻類や雑草が茂ってきてラベンダーに悪影響を与えます。雑草&緑藻類を生じさせないためには無腐植の赤玉土で表土を覆ってやるのです。
▶︎の大鉢は通気性・排水性のために赤玉土をふんだんにブレンドこそしましたが、空隙を埋める赤玉土小粒を欠いていたために黒土が埋めてしまい、しかも用土1種のみで植えたので夏のキツい陽光も受けて固まってしまっている図。
2層構造にしなかったことにより、表土がガチガチとなっている例です。

続いては恐らく株サイズと鉢サイズが不釣り合いでうまく吸水できず(水が落ちやすいor水が避けて浸透)弱ってしまったパターン。
移植の際、用土をミスると生育にここまで影響を与えてしまうワケだと思い知らされた例でした。
2.大株のケース
大株となると、ラベンダーが若く生育旺盛な時期に比べてさほど窒素栄養を必要としていません。
安定して自身を作っていけるほどの葉っぱ量を獲得できているからですね。小株ラベンダーに比べて1日に光合成して得られるグルコース量が大きいのです。
もしどこかの枝などを欠損しても早急にダメージを補えるほどの栄養分を大株はすでに蓄えている状態です。
ラベンダーが本来の生育サイズである大株になりやすい「花壇植え」および「地植え」においても植栽用土の2層化は効果を発揮するでしょう。
特にラベンダーが自力で地中の水分を利用でき、潅水を必要としない地植えにおいては特に大きく効果を発揮するハズです。
物理的に湿度にやられやすい大株への多湿応急処置
石灰水を与えることです。
具体的には、消石灰を溶かした水をラベンダー全体にぶっかけてやること。
ラベンダーは葉っぱからも養分吸収ができるので、カルシウムイオンを葉っぱから取り入れて葉っぱを厚く硬くし、多湿に耐えてもらうのです。
反面、成長は遅くなりますので梅雨・台風時期の切り札として使うことを念頭にしておきます。
大株に育てることを見越した地植えの用土構成

このイメージをもとに用土構成を考え、植える形になります。
【上層・株元まわりの用土構成】
地植えは常に湿気が高い状態=土壌水分が比較的安定している土中環境です。なので植え付け初期にのみ行う水やりの水が素早く下へと落ちてくれるように、基本的に赤玉土で株根っこの半分は覆うことを心がけます。
基本的には赤玉土の中・大粒で良いと思われますが、仮にラベンダーが水不足の様相を見せていたら、小粒を混ぜ込んでやや保水・保湿性を上げてあげましょう。
間違っても"表面付近の表土"に黒土を混ぜこむとカビ発生のリスクを与えることになるのにも留意してください。
また、表土を赤玉土のみで構成することにより激しい降雨を受けても泥跳ねをある程度抑止することができます。
よく庭園では玉砂利などで株元を泥跳ね保護している例を見かけますよね。
「水が下へ落ちやすい」ということは
根っこも水を求めて下へ深く伸びていくことを意味しています。
【下層の用土構成】
下層にはラベンダーが適宜利用できるカルシウム源として、石灰岩の砂利を混ぜておくことを推奨しています。
ラベンダーが雨を受けて葉っぱが多くなりすぎたり、葉っぱが柔らかくなりすぎた時に適度にカルシウム分を根から取り入れて葉や枝を硬く保てるようにといった意味があります。また土壌の適度な中和作用も担ってくれます。
南フランス現地の土壌構成を再現した形になります。
「地植え」は花壇植えや鉢植えなどと違って土中環境の水分量が豊富なので、まず乾燥に悩まされることはありません。対照的に、南仏より湿潤な日本での植栽なので、過湿に警戒する必要性が出てくるのです。
では実際に新メソッドで地植えしてみよう。
特大の大株に!というワケではありませんが、移植を見越した中型サイズに成長させるべくラベンダー苗相手で実践してみます。
株の大きさが変わっても基本的に考え方は同じです。

地面に穴を掘ります。
家庭菜園などでトマト苗やピーマン苗を植えるときはポットが収まるサイズの穴と説明されますが、ラベンダー地植えの場合はどの範囲まで根っこが広がってほしいか?を考えて穴サイズを決めます。
ラベンダーにおいては、地面から生えて目に見える樹体サイズと根っこサイズは1:1とされることを覚えておきましょう。

今回は苗相手なので成長を鈍化させる石灰分は含めていませんが、大株だとこの下層に敷く黒土ベースに石灰砂利などを混ぜ込んであげましょう。
根っこが石粒を抱え込んで強靭に育つ効果もあるので赤玉土大粒でもよいかもしれません。
小さな苗木の場合、この黒土を平らにならさないのがポイント。
植えてからしばらくすると根っこが水を求めて下に下がってくるのでその状態を期待するためです。

穴の中央に盛った下層のベース黒土の山の上に苗木をポンと載せます。埋もれさせないで載せる程度でOKです。
ポット苗ではポット土の栄養分を使って根っこを下に下ろす能力があります。

そして上層を赤玉土で埋めてやります。
苗の場合、発根を促すために保湿性をあげるべく中粒に小粒も混ぜ込んでいます。
大株の場合は過湿・蒸れ対策を講じるために大粒と中粒の併用でいいでしょう。根っこも呼吸させてあげることを意識します。

で、最後にたんまりと水をあげます。
黒土が含まれていた場合、水をあげすぎると株元がドロドロになり、晴れた日にはガチガチに締め固まってしまうので赤玉土の割合をなるべく多く。
無菌用土の赤玉土の割合が大きい場合、潅水しまくってもまぁカビたり根腐れを起こすことはめっきり少なくなります。
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