「人と技術の無限大」を掲げるモノづくり企業、シグマ。社員の成長を支援するカルチャー・制度について、採用・教育担当に聞く。新入社員の「安心」を重視したフォロー、会社全額負担での資格取得など
広島県呉市に拠点を置く自動車部品メーカーのシグマは、「マツダ」「デンソー」「ダイセル」などの大手企業が顧客として名を連ね、中国・インドの自社拠点を含め、外資系メーカーともグローバルに事業を展開しています。
さらには経済産業省に「グローバルニッチトップ100選」に選ばれ、ワイパーシャフトの世界シェア20%、人の命を守るエアバッグ部品の世界シェア6.5%など、海外市場でも存在感を放っています。
そんなシグマは、人材開発、特に社員の成長を支える制度や文化がとても手厚いことにも定評があります。そこで今回は、同社で社員の採用・教育を担当している森廣隆幸さんにお話を伺いました。
なぜシグマはここまで社員の成長を大切にするのか、社員の体験の質向上のための面接とはどのようなものか、具体的にどのような制度が「成長」を後押ししているのか。就活生へのアドバイスとともに語っていただきました。
シグマが社員の成長支援に力を入れる理由
―はじめに、森廣さんは現在どんなお仕事をされていますか?
森廣:現在、シグマの経営企画部という部署に所属しています。業務は主に人事と総務で、社員の採用・教育、それからカーボンニュートラル活動にも携わっています。
―シグマは社員の成長支援に力を入れていると伺いました。
森廣:まず、シグマのスローガンは『人と技術の無限大』です。これは今の(下中利孝)会長から受け継いだものなのですが、「人を育てる」ことに力を入れてきた長年の歴史が一つあります。
モノづくり企業にとって、技術はもちろんとても大事ですが、結局それを使うのは「人」です。どれだけすばらしい技術があっても、人がそれをうまく使いこなせないと結局無駄になってしまう。人と技術、この両輪がいっしょに伸びていかないと、会社の成長にもつながらない。そんな思いが背景にあるのだと思いますし、私も同感です。
内定者向け支援~入社するまでのフォロー
―森廣さんが業務の中でどのように社員の成長をサポートしているのか、採用から順を追って教えていただけますか?
森廣:まず、特に学生さんは、内定が出た時点で一定の安心はあると思いますが、それと同時に、今度は「入社するまで、入社してからどうなるんだろう」という不安が同時に出てくると思うので、その不安をいかに小さくできるか考えながら対応しています。
2月や3月の入社前で一番不安になるであろう時期に、入社するメンバーや先輩社員を集めて懇親会を行っています。それ以前も定期的に「なにか困っていること、不安なことはないですか?」と電話を入れたり、なにか不安や心配があったとき、できるだけ早く解決できるような接し方を心がけています。
新卒の内定者なら特に、「自分は社会人として通用するんだろうか?」とか、「学生時代とどう変わるんだろう」とか、「今、社会人になるために何も準備をしていないけど大丈夫なんだろうか?仕事内容を調べて今のうちに何かしたほうがいいのか?」とか、いろんな不安が沸くものです。
確かに事前準備が役に立つこともあるのですが、やはり実際に経験してみないと分からないことも多いし、中途半端に学んでから入社したら学ぶべきことが違ったというようなこともあります。社会人になるための心の準備、意識は持っていてほしいですが、実際の知識や技術を学ぶのは入社してからでいいと考えています。
なので内定者には「入社してから切り替えられるように、今は学生のうちしかできないことをやりきってほしい」と伝えています。
入社1年目社員~定着するまでのフォロー
森廣:入社して1年目は、とにかく会社に慣れてもらう、離職せずに続けてもらうことを大切にしています。
新卒のみですが、年に4回私が面談して、採用時から入社後のフォローまで一貫してできるようにしています。
話す内容は大きく分けて2つあって、1つは人間関係など職場での困りごとや不安がないかの確認。2つ目は将来どうなりたいか、目標を明確にすること。とはいえ1年目なので、1回目・2回目の面接は現状の確認を丁寧にすることに集中して、3回目・4回目くらいから「将来どうなりたい?」とか、「何か取りたい資格とかある?」というような感じで目標の話を増やしています。
また、1年目の社員にはその他に「先輩社員面談」といって、他の部署のなるべく近しい仕事をしている先輩との面談も年2回行っています。私自身では現場の仕事に関する相談は直接解消することが難しいものもあるので、実際の業務に関する質問をできる場を用意しています。
同じ部署だと人間関係などの職場の悩みは相談しづらかったりするので、他部門の先輩、特に性格や相性が合いそうな人や、興味・目標が近そうな人とマッチングします。こうした「斜め上の先輩」なら、適度な距離感はありつつも業務の疑問にも答えてもらえますよね。
また、新入社員は自分から他部門の社員に話しかけづらいこともあるので、あえてそういう場を作って直接話をする機会を作ったうえで、先輩に日ごろから気にかけてもらうようにお願いして、なにかあったときに新人が自分で抱え込まないようにフォローしています。
最後に毎月アンケートも行っています。「仕事は楽しいですか」「やりがいを感じていますか」「人間関係はどうですか」というような5問程度のアンケートを毎月取って、点数が下がってきたときには部門と連携を取ってフォローしています。
回答の内容が極端だったときには私が直接本人に話を聞くこともありますし、逆に回答がずっとあまりに表面的な感じがするときも本人に確認したりもします。その他にも勤務スタイルが変わったり、新しい仕事を始めたり、社内認定を取ってレベルアップしたようなときにも、積極的に話に行って、できるだけ本音で話してもらえる環境を作ることを意識しています。
やはり自分が採用の段階から関わっていると、「自分が採用した」という責任感があって、うまくやっているかどうか気になるんです。なので現場に行ったときに、上司や他の方に様子を聞いたり、顔を合わせれば話をするようにしています。
2年目以降の成長支援システム
森廣:2年目以降の全社員は「教育計画」という、3年とか5年という長いスパンで将来の自分を思い描いてもらいます。そのためにどんな教育・研修を受けたり、資格を取ったりすればいいか、まずは自分で考えてもらい、その後に本人・上司と私の三者面談をして方針を決めています。つまり、2年目以降は成長に焦点を当てて、本人がレベルアップしていくためにはなにが必要なのかを一緒に考えながら進めてく方向性でサポートします。
この三者面談の中では本人が立てた目標のレベルの調整や、OJT・研修・通信教育の提案などを行っています。また、ある程度勤務年数を重ねた方なら、会社や部門からの希望と本人の希望のすり合わせのような調整も必要になります。「何年後にはこのポジションになってほしい。そのために〇〇の技能や管理能力を身に着けてほしい」とか、「リーダー研修を受けてほしい」とか、ポジションに必要な知識や技能を身に着けてもらえるよう働きかけをしたりもします。これらの教育計画は毎年の面談で現状に合わせて調整をしています。
技能検定・社外講習受講サポート制度、人事評価制度
―社員が研修や教育を受ける費用を会社が負担する制度があると聞きました。
森廣:基本的に社員が受ける教育は全て会社負担です。もちろん仕事にプラスになると部門に認められた内容で、現実的な計画で、という形にはなりますが。
また技能検定に関しては2回までは会社が負担します。落ちてもいい、とは申しませんが、失敗を恐れず挑戦してもらいたいという考えです。
―そのようにして成長をサポートした社員ですが、人事査定はどのようになっていますか?
森廣:ちょうど今期から人事評価制度を「社員の成長を支援する」ことを目的としたものに大きく変えているところです。
新しい人事査定制度では、評価基準となる社訓ベースの軸と、それぞれの役職ごとに求められるレベルが明確化されています。
まずは「バリューズ」と呼ばれている社訓に沿った行動を取れているかどうかをチェックします。それを役職ごとに、例えば、課長クラスではどういうことができたらAランク、AAランク、Bランク、というように基準を決め、かつなにをどうすればそのランクが上がるかに関しても個々にフィードバックがあります。
こうして判断基準を明確にし、役職ごとに求められるレベルを設定したことで、評価されたポイントも足りない点も分かりやすくなり、全員がそれぞれの立場から成長に焦点を当てやすくなりました。またこうして得た評価は賞与に反映され、昇給にもつながります。
就活生へのアドバイス
―これから就活をする人に、アドバイスをお願いします。
森廣:会社を選ぶにあたってまずは、「自己分析」が大事じゃないかと思います。どこに自分の強みがあるのか、自分の弱みはなにか、自分はなにが好きなのかなどの価値観を知ってもらいたいです。
他の人に聞いてみてもいいですね。若い人は特に、「自分の強みなんてまだない」とか、「好きなことをまだ見つけられてない」ということって往々にしてあると思います。友達とかがたぶん一番あなたのことを知ってくれていると思うので、ふとしたきっかけに「私ってなにが向いていると思う?」とか、「僕の長所ってなんかね?」みたいに聞いてみるのもいいのではないでしょうか。
それが難しければ先生、先輩、バイト先の上司など、誰でもいいので、「私はどういうところが強みだと思いますか?」「私はどういう性格だと思いますか?」と聞いてみるのも良いと思います。
そうして自分をしっかりと知った上で、「じゃあこういう自分が仕事をするのであれば、どんな仕事がいいのかな?どんな企業風土、雰囲気の会社がいいのかな?」と考える。
自己分析を踏まえたうえで、企業研究ももちろん必要です。最初はできるだけ範囲を広げて、いろんな業界の話を聞いて、そのうえで自分に合った職種や企業を選ぶのが大事なのかなと思います。
最後に、シグマは先ほどお伝えしたように成長できる環境がすごく整っているので、「なにかを身につけたい」「成長意欲がある」「明確な目標があって達成したい」、そんな方は入社した後にすごく伸びるし、シグマに合っていると思います。
われわれが採用するうえでも、「入社した後にこの人は成長できそうだな」「目標を持って当社の教育支援制度を生かして成長してくれそうだな」というような部分は注目しています。
[取材] 岡徳之 [構成] ウルセム幸子 [撮影]下中慎太郎
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