「ONLY PLACE WE CAN CRY」銀色夏生
「ひとつのこらず君を
悲しませないものを
君の世界のすべてにすればいい
そして君は途方に暮れる」
「ONLY PLACE WE CAN CRY」銀色夏生
モノクロームの写真と銀色夏生さんの言葉の旋律が、自分の中に隠してきた淋しさとシンクロして、ため息ばかりついていたグレーの感情を琥珀色に染めてゆく「ONLY PLACE WE CAN CRY」
もう戻ることができない場所
もう出会うことはないきみ
成就しなかった想いは
美しい雨となり 乾いた過去を
湿らせます
ピントのぼやけたモノクロームの写真から、いつかの哀しさがくっきりと映し出され、零れ落ちる感情が言葉と言葉をつなぎます。
たしかに こんな気持ちがあったと記憶しています。
今よりもよくなっていただろうか?
それとも……
今は 考えるのをやめておこう
明日が夢であったのに
今はあの頃が夢なんです
いつか もういちど
あの瞬間に 出逢えるだろうか
【出典】
「ONLY PLACE WE CAN CRY」 銀色夏生 角川書店
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