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映画評 キラー・ナマケモノ🇺🇸
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『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』製作チームによる、殺人ナマケモノが女子大生を次々と血祭りに上げる惨劇を描いたアニマルパニックホラー。
地味な学生生活に焦りを感じていた女子大生エミリーは、SNSで人気を獲得するべくナマケモノを飼うことに。たちまち大学の女子寮で人気者となったナマケモノは「アルファ」と名付けられ寮のマスコット的存在となる。しかし、可愛い見た目とは裏腹に、残忍な殺人ナマケモノであった。女子大生たちは、ナマケモノの鋭い鉤爪によって、一人また一人と血祭りに上げられていく。
本作を観る前は、温厚で可愛いイメージのあるナマケモノがどのようにして殺人を犯すのか想像できなかった。そういう点で、何かすごい画期的なアイデアが詰まった映画ではないかと密かに期待していた。しかし、蓋を開けてみると、何でもありのとんでも映画に腹を抱えてしまった。
本作に登場する殺人ナマケモノは、異様に運動神経が良い。いつ移動したんだと言わんばかりの瞬間移動、助走なしの脅威のジャンプ力、器用すぎる爪捌きなど、『13日の金曜日』のジェイソンや『ハロウィン』のブギーマンみたいに、殺人鬼がナマケモノに憑依しただけだ。
動きがノロマなイメージのあるナマケモノがどのようにして大量殺人を犯すのか、そこのアイデア一発を期待するところ。しかし、アイデアのかけらは一つもなく、超スピーディーな動きをするナマケモノという禁じ手の設定を恥ずかしげもなく取り入れたのは、潔くて逆に好感が持てた。
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ダメな映画であることには変わらないが、同時にトンデモ映画に振り切れているため、可愛げがある。
というのもナマケモノのキャラクター設定が非常に愛くるしい。見た目的に可愛いのは当然として、密猟者や追い出そうとする女子大生に対して怒る表情は、マスコット的愛くるしさがある。しかも、車を運転したり、電気系統の使い方をマスターしていたり、スマホで自撮りし投稿もできてしまう描写は爆笑ポイントだ。小慣れてる分、ツッコミ所ではあるが、イライラはしない。
女子大生と闘う際、頭を思いっきり殴られたり、剣で刺されたり、銃で数発撃たれても尚、立ち上がり襲い続ける。不死身の怖さがあるというよりかは、何でもありが際立ってしまい、呆れ笑いを誘われる。故郷のパナマの密林で何をして育ったら不屈の精神と肉体を手に入れられるんだと逆に感心もする。
何よりホラーとして爪が甘い。寮に来てから毎日のように何人もの女子生徒が失踪(殺人)するのだが、見つからないのは可笑しい。遺体をどこに隠しているのか。殺人は百歩譲ってともかく、遺体を消す・隠すは別のスキル。人間が間抜けなのだろうか。ナマケモノが天才なのだろうか。