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再勉生活! 半地下に住む《魔女姉妹》に箒で小突かれることになった背景かもしれない「失言」問題

引っ越し先のアパートで階下に住むKONISHIKI似の姉妹から箒で床を突つかれ、精神的にかなり参りました。「あ・うん」に期待するのは止め、はっきりと部屋替えを要求しました。

この事件に関しては、別の視点も書いておきます:

私たちが引っ越した後の部屋に白人一家が入居しました。腕白そうな6-7歳のボーズがベランダを走り回っています。
(うーむ。……次の犠牲者はヤツラか)

しばらく経ってから、例の管理人に尋ねてみました。
「新しい入居者とBasementのネグリジェ姉妹(とは言わなかったけど)の間にトラブルは発生してるかい?」
彼女は、空中飛行する蠅の捕獲も可能なほど長い付け睫毛まつげをバタバタ開閉させながら、
「ぜーんぜん、何も問題ないわよ」
(妙だ。……それじゃ俺たちに問題があったみたいじゃないか)
ちょっと不満そうな表情がばれたか、蠅キャッチャーは小声で付け足しました。
「人種的な問題(racial matter)もあったのかも……」

心当たりはありました。
日本の政治家が、米国の黒人に対する差別発言をした、というニュースはテレビで見ており、米国で問題になっている、とざっくりですが知っていました。

ネットのない時代です。
日本語での情報は、大学の図書館に何日遅れかで届く読売新聞を半月に1度ぐらいチラ見していました。

この年の9月、梶山静六法務大臣が記者会見でとんでもない発言をしていました:

東京・新宿区内の繁華街で外国人の不法就労者とセックスワーカーの摘発に同行した梶山氏は、こう述べた。
「悪貨が良貨を駆逐する、というか、アメリカに黒(クロ)が入って白(シロ)が追い出されるというように、混住地になっている」

https://antiracism-info.com/database/123800/

(これは……まさに階下の住人のとの間にトラブルが始まる少し前だ……何らかの因果関係はありそうだな)

実際、この「差別発言」は、米国内で大きな騒ぎに発展していました。

ハーレム選出の米ニューヨーク州議会議員、ジェラルディン・ダニエルスさんは緊急声明を出し、全米の黒人に、あらゆる日本製品への不買を呼びかけた。米議会でも批判の声が上がる。米国への「驚くべき無理解」の表れ、と日系のノーマン・ミネタ議員は言い「日本が人種差別という文化的な病を克服せぬ限り、国際社会は大国としての日本の台頭に警戒の目を向けるに違いない」と警告した。ワシントンの日本大使館やロサンゼルスの総領事公邸に抗議が相つぐ。セネガルなどアフリカ6カ国の駐日大使も「アフリカ人は衝撃を受けた」と外務省に抗議。米ニュージャージー州トレントン市は、同市を訪問する予定だった東京都議会議員の都市問題調査団の受け入れを拒絶する、と通告した。米下院には、海部首相の謝罪、梶山法相の辞任などを求める決議案が提出された。

1990/10/15「梶山静六法相の“人種差別発言”が大きな波紋」(天声人語)

これは日本の政治システムの問題点だと思うのですが、米国などとは異なり、大臣のほとんど全員が選挙で選ばれた「国会議員」です。
彼らは大臣になった後も「選挙区支持者の人気取り」が最重要と信じています。というより、大臣就任への動機も、箔を付けて選挙を有利に戦いたいからだったりします。
このため、「ローカル・ウケ狙い」発言能力が発達しており、いや、そこからの切り替えが困難になっています。
大臣になった後も変わらず、発言の多くはいつもの、
《選挙区後援会で談話》調です。
やたら「たとえ話」が多いのもそのためです。
発言が各国語に訳されて世界中に拡散されることを、1ミリも想定していません。

もちろん、この発言は当人の、
《米国への「驚くべき無理解」の表れ》
であることに間違いはないのですが、
《人種差別という文化的な病》
を共有する選挙区の(特に)高齢者に語りかける習性が抜けないのも要因です。
「Political correctness」をわきまえたプロではなく、「選挙=最重要」人生街道を歩むオジサンが大臣という要職に就く病根を解決しない限りなくならないでしょう。

ひとりの大臣の「抜けない習性」が、私たち一家だけでなく、多くの日本人や(不買運動にさらされた)日本企業に迷惑を及ぼしたのかもしれません。

でも、やはり思うのです。

もし階下の住人が、私たちが日本人だから箒でつついたのだとしたら、まさにそれこそが(それこそも、と言うべきか)《人種差別》であり、「問題のある政治システムを持つ国」の「自らの発言内容の重さを理解していない大臣」と同じレベルに自分をおとしめることになるのです。

〈この続きは……〉

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