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渋谷に隠れた小さなアフリカ世界 | コンゴ民主共和国料理

アフリカ料理を探すのは世界イチの都市、東京でも探すのに苦労する。特に特定の国をテーマにした専門店は非常に少なく、アフリカ全般を扱う料理店を目指すしかなくなる。奥渋(渋谷の奥の方)に眠るアフリカ料理屋を見つけたのでランチにお邪魔することにした。

仕事の憂鬱な気分を引きずっていたが、ただの1時間程度のランチタイムが一挙にパステルカラーに彩られるのを感じた良い時間となった。

渋谷の小さなアフリカ世界

Los Barbados

渋谷の宇田川沿いを少し登ったあたりに人気店が多く入る雑居ビルがある。ランチタイムになると、その中にある特に人気なカツ丼屋の行列ができ始める。このカツ丼屋もオススメできるのだが、今回狙うのはアフリカ料理。行列を横目に垂れ下がる看板郡を通り抜けると、Los Barbadosと書かれた聞いたこともない単語が目に入る。
知る人ぞ知るアフリカ料理の名店である。アフリカ料理好きはなぜかみんな知っている。

一風変わった様子の店内を覗くと、アフリカ色全開であった。

店内

あとで調べたのだがロス・バルバドスはポルトガル語で「髭を生やした男」という意味だそうだ。カリブ海のバルバドスという国の由来から来ているのだろうか。

諸説あるようですが、1511年、初めて島を見たポルトガル人が、草の生い繁る様子を見て「イスラ・デ・ロス・バルバドスIsla de Los Barbados(鬚を生やした男の島)」と言ったとか。

株式会社 世界地図(https://sekaichizu.net/news/7335.php

店内に流れるのはコンゴのリンガラ。手掛けるお料理はアフリカのいろんなところのものを扱っておられるよう。確かにメニューには西アフリカ、南アフリカのものまでアフリカ全土に渡る料理が書き並べられている。
しかし、店に展示された地図やメニューを流れると中心にいるのは、どうやらコンゴ民主共和国。一応、世界各国の専門料理を巡る名目上、コンゴ民主共和国とした。

ウガリとガリとクワンガと。そしてクスクス。

アフリカ中の料理がずらり

私はよりコンゴっぽいAfrican meal Aを注文した。説明欄にはトウモロシ粉を使ったウガリ、キャッサバを使ったクワンガだとある。ナイジェリア料理を食べた際に「ガリ made from キャッサバ」とナイジェリア人から教えて頂いたので名前の似たウガリとガリであっても素材は異なることを知る。
つまり、名称から辿るとウガリ≒ガリであり、素材から辿るとガリ=クワンガである。

コンゴとナイジェリアは距離的に見るとかなり離れているため、言語渡来の過程で素材が反転してしまったのかと推測する。しかし、ここでクスクス(またはフフ)というワードが到来することとなる。クスクスはトウモロシやヤムイモ、キャッサバからできており、ガリと混ぜることもあるそうだ。私はここで考えるのやめた。

(後に詳しく調べたので、知りたい方用に別記事で書きます。もうしばらくお待ち下さい)

アフリカパラダイスなお料理

African meal A

お料理が登場しても説明がないので、どれがなんの料理かわからない。チキンセットを注文したのでチキン(左上)と前にガリを食べたことがあるので発酵キャッサバ由来の味であるクワンガはわかった。

Los BarbadosさんのフェイスブックとWikipediaから情報を仕入れることにした。

左下がカチュンバリというトマトとタマネギのサラダで東アフリカ(ケニア中心)で人気の料理であり、コンゴ民主共和国でも食べられている。非常にさっぱりとしており、チリペッパーがアクセントを効かせて美味であった。驚くことに日本語のレシピもネット上にたくさんある。レシピが載るほどファンがいるということは日本人の口に合うのかもしれない。

お次は反時計回りに豆料理。豆はアフリカ料理を代表するメインディッシュのイメージがある。写真からしか判断せざるを得ないのだが「Red Red」というガーナ料理のようだ。名の通り赤めの料理で、これは赤いパーム油と焼いたプランテン(調理用バナナ)、トマト由来の色だ。豆は黒目豆というらしい。味のほうは見た目に近い味で豆のトマト煮込みのように思う。アフリカ料理のなんたるかを全く存じないが、日本や欧米にはないアフリカっぽい味とお伝えしておく。

赤いソースは「ピリピリ」という赤とうがらしだ。アフリカだけでなく、ポルトガルでも利用されるようだ。他の食べ物は日本語検索で詳しい情報がヒットしなかったが、これは日本語ページがあったので人気なソースなのだろうか。

緑の料理については情報がなく読み取れなかったが、少々人により好みが分かれるだろう。

最後に、チキンと緑の料理に挟まれたものはプランテン(調理用バナナ)だ。バナナといっても私達が普段目にするバナナとは全く異なり、主食よりの味を控えた素朴でパサパサなものだ。芋に近い。なんと世界の主食ランキングで第10位を飾るポピュラーな素材で、煮る・揚げる・焼くなど様々な調理法がなされる。アフリカのカロリー摂取の代表であり、カリウムと食物繊維を豊富に含む健康食材だ。日本ではなかなか口にできないのでトライすると良いだろう。

以上、長くなったが各料理の説明となる。写真から判断するしかなく実際の料理と異なることがあるやもしれないが、アフリカの素人故に目を瞑っていただけると幸いである。

お店と店主さん情報

店舗に訪れたときの記憶やフェイスブックの情報から察するに、あまりミーハーな若者は歓迎されてないのかもしれない。アフリカ料理のなんたるかをどうしても知りたくて、少し尋ねてさせて頂いたが、応えては頂けるがどこかビジネスライクな雰囲気があった。

私は世界中の料理を巡るミーハーの権化のような存在なため疎ましく思われたのかもしれない。本記事を読んで、このお店に興味を持ってくださったかたでも、とにかく感謝の気持ちを忘れずに巡っていただけることを願う。

コンゴ民主共和国とは

ここまで「コンゴ民主共和国」と長ったらしい名前を書き続けてきたのも理由がある。地図を見てもらっての通り、コンゴという名称がつく国は2箇所ある。コンゴ共和国とコンゴ民主共和国だ。詳しくは専門のページを見るべきだが、ざっくり説明すると、ヨーロッパに好き放題蹂躙された上、勝手に割譲された歴史を持つ。それぞれ独裁政権が立ち、現在も不安定な国でもある。

直近の植民地としていた国はコンゴ共和国がフランス、コンゴ民主共和国がベルギーであり、両国とも植民地時代の名残でフランス語を公用語に使う。

コンゴ民主共和国は元ザイールという国名で、年配の方にはそちらの国名のほうが馴染みが深いのではないだろうか。アフリカの中でも大国であり、鉱物資源の豊富さが経済的な基盤を支えている。地理を専攻していた方はコバルトと銅、ダイヤモンドがよく取れると覚えた記憶はないだろうか。

今回、アフリカの料理や文化を調べる上で日本語ページの少なさが目立った。まだまだ日本人にとってアフリカは距離的にも、精神的にも遠い世界なのは違いないのだろう。その分、まだまだ冒険の要素が詰まっており、ライブラリ化されていない文化の魅力を自ら開拓できる面白さはあるに違いない。

マップ

今回訪れたLos Barbados

奥渋エリア、宇田川沿いにある。NHK放送センターから8分程度。

#日本で世界飯

アフリカ料理全般を扱う店でコンゴ民主共和国に限定していいのか・・・

コンゴ民主共和国

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