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ファーストクラスのCAさんから学んだ“心を動かすサービス”とは

僕の暮らしている沖縄では、移動は車でするのが一般的だ。僕も毎日のように車を運転している。それに僕は出張も多い。月に1〜2回は、県外で仕事をしている。この運転や移動のせいか、肩こりには年中悩まされている。

だからこそ、移動の時間を少しでも快適にするべく、県外の移動は基本的に飛行機だ。もっともよく乗るのは、ANAのプレミアムクラス。いわゆる、ファーストクラスと呼ばれているものだ。

ファーストクラスと聞くと、ものすごく高いものという印象を持つ人もいるかもしれない。だが、時期と便にもよるが、安い時であれば8000円〜1万円ほど上乗せすれば乗ることができる。


遠慮ではなく配慮をする

僕の住む沖縄から、東京までは飛行機でも3時間ほどかかる。長丁場の移動となるため、東京や、さらに遠い北海道などに出張する時は、必ずプレミアムクラスを予約するようにしている。

当たり前のことだが、出張の本番は現地に着いてからだ。移動で疲れてしまわないのはもちろん、移動時間は本を読んだり、現地でやることの整理をしたり、考え事をしたりと、到着後の準備をする時間としたい。

この考えのもとプレミアムクラスを使うようになって、そのサービスに驚いたことが幾度となくあった。一番驚いたことのひとつは、「與那城さん」と名前で呼んでくれるCAさんがいたことだ。しかし、誰もが名前を呼んでくれるわけではなく、名前で呼ばないCAさんもいる。

「一体どんな違いがあるのだろう?」

好奇心に突き動かされた僕は、ある時、名前を呼んでくれたCAさんに尋ねてみた。

結論、基本的には個人の差なのだそうだ。一人ひとりが良かれと思ってやっているだけとのことだった。大企業だから、細かく規則が決まっているのかと思っていたので、ここでも少し驚いた。

そう言われてみると、人によってサービスが少しずつ違うなと感じるようになった。この違いは、経験はもちろん、相手が何を求めているかをどれだけ考えているかによって左右されているように思う。

なかには、「お節介すぎるかな」とブレーキをかけて接客をしているように見える人もいる。僕は、お節介でもいいと思う。話しかけてみないと、相手がサービスを求めているか求めていないかもわからないからだ。話しかけた時の反応に応じて、その後の対応を変えればいいのではないだろうか。

介護サービスを提供するものとして、「遠慮はせず、配慮をすればいい」というモットーを持っているから、なおさらそう思ったのかもしれない。この「遠慮はせず、配慮をすればいい」という考え方は、管理職に日々伝えていることでもある。

単語脳 VS 文脈脳〜経営判断の分かれ道〜

「遠慮ではなく配慮をすること」のほかに、管理職たちに意識してほしいことのなかに、「文脈脳で考えること」がある。

人の考え方には、単語脳と文脈脳があると思う。

単語脳とは、単語だけ切り取って判断することだ。たとえば、選挙の投票先を決める際に「『辺野古基地反対だ』と言っているからこの人に投票しよう」というように、一つの言葉だけで判断してしまうことを指す。

文脈脳とは、その反対で、その場の状況や背景を加味して判断することだ。文脈脳で考える人は、「辺野古基地反対だ」と言っているその立候補者が、どのようなことをこれまでにしてきたのか、どんな意図でその発言をしているのか、その本質を考えて判断を下す。

管理職には、後者の能力が欠かせない。

文脈脳は、言葉の定義や相手の意図をきちんと確認することで鍛えられる。複数の解釈ができるものには、特に注意しなくてはならない。また、自分の認識を疑うこと、定義があやふやなものを察知できるアンテナを立てておくことも求められる。相手の言葉や行動の裏を考えるという意味では、先ほど伝えた配慮や気遣いとも通ずるものかもしれない。

さらに管理職には、責任を持って適切な判断をしなくてはならない場面がある。その際に、単語脳で解釈した情報だけだと正しい判断ができない。だからこそ、僕は文脈脳を鍛えてほしいと考えているのだ。

決断や失敗がひとを成長させる

もちろん、経営者にも文脈脳は欠かせない。経営者はとにかく決断を求められる役割だからだ。

予算の使い道や、プロジェクトの進め方など、日々決めることばかりだ。でもその決定権を持つことこそが、経営者でなくてはできないことでもあり、魅力的な部分でもある。

それに、決定権を持つからこそ、会社にいる他の誰よりも成長できる。その成長のために、社長になりたいと言う意欲のある人がいたら、ホールディングス化を実現した暁には、子会社の社長をどんどん任せてみたいと考えている。

今から「誰かに社長を任せたらどうなるんだろうな」とワクワクしているくらいだ。日々多くの決断を求められるなかで、どんな判断をしていくのかを早く見てみたいし、どう考えて判断したのかを聞いてみたい。きっと、自分で経験してはじめて気づくことも多いはずだ。

最初のうちは失敗して当たり前。僕自身、1億を超える債務超過を抱えた状態で会社を引き継いで、教えてくれる人もおらず、何もかもが初体験のなか経営を行ってきた。ゼロどころかマイナスからのスタートだったこともあり、後継ではあるものの、ゼロから作っていく創業者のような気持ちで取り組んできた。これまでのすべてが成長であり良い経験だったと感じている。

こうした経営者だからこそできること経験や失敗を経て、試行錯誤し、成長していく過程を見れる日が待ち遠しい。

人間にしかできない付加価値を提供する

一方で、成長するのは人だけではない。テクノロジーの進化により、仕事の在り方も大きく変わってきている。

たとえば、コンビニやユニクロではレジの自動化が進んでいる。アパレルでいうと、レジが自動化しても服の案内などの接客は残るのかなと思いきや、今やバーチャル試着ができる店舗もあるという。

そうした話を見聞きすると「この先仕事はどうなっていくんだろう」と考えてしまうことがある。

一方で、冒頭に述べたファーストクラスなどでは、想定外の素晴らしい接客をされるという感動が味わえる。配慮のあるサービスは今のところ、人間にしか提供できない付加価値だ。接客によって、大きな価値を生み出しているサービスは、身近にもある。

たとえば妹から聞いた話では、すごく居心地の良い調剤薬局があるそうだ。

その薬局には、くつろぎやすいソファ、とても明るい照明が用意されているという。さらに、ジュースやお茶などのドリンクバー、お菓子が置かれていて、「数ある薬局のなかでも、またその店舗を選びたくなった」と話していた。もちろん接客も気持ちよく、妹曰く「元気が出た!」とのこと。


このお店のように、ハイレベルな接客が求められていないところで、レベルの高い接客をすることが、顧客の感動体験につながり、ビジネスとして大きな差別化になるのかもしれない。

既存のなんでもない場所に、接客の付加価値を持たせることには、大きなチャンスが秘められているのではないだろうか。

僕たちも、介護事業というサービス業に取り組むものとして、このガソリンスタンドのように付加価値を高めていきたい。目指すのは、介護業界のファーストクラスだ。それによって、利用者さんに楽しんでもらうことはもちろん、ご家族も施設を訪れたくなるようなサービスを作れたらうれしい。


▼僕の自己紹介noteです。興味をお持ちいただいた方は、読んでいただけるとうれしいです。

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                        書き手 えなりかんな
                 聞き手・編集 サオリス・ユーフラテス

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