【SDG’s】目から鱗の「陶磁器老舗メーカーの挑戦」
noteで知った創業100年以上続く老舗陶磁器メーカーニッコー株式会社のボナース研究室さんによると、
陶磁器メーカーは35年で売上が約1/9まで下がり、新型コロナが追い打ちをかけたという信じられないほどの状況。
そのような現状を打破すべく思いついたというのが、
「捨てられる食器を肥料としてリサイクル」する技術を開発、
これまで産業廃棄物として処分されていたものに新たな命を吹き込み、2022年2月には農林水産省の認定をうけ、翌3月には石川県エコ・リサイクル認定製品として認定、4月には販売開始されたといいます。
実際、この取組の裏には、諸規制と「前例がない」という壁に立ち向かい2年以上かけた強い熱意が結実したという物語が。
そして、現在は入り口段階、ボナース研究室は将来像も描いていて胸躍るものがあります。
このお話、わたしにとっては目から鱗の話でした。
(ボナースの概要は8分55秒の動画でご覧いただけます)
ボーンチャイナ
日本だけでなく世界の陶磁器でよくボーンチャイナという言葉を聞きますが、それは「Born China」ではなく「Bone China」。
「中国生まれ」ではなく「骨で作った磁器」という意味。
因みに磁器は中国で発達したことから、西欧ではChina=磁器となったようです。
ニッコー株式会社のHPによると、
ボナース誕生(捨てられる食器が肥料になる)
ボーンチャイナは、石や粘土、そしてリン酸カルシウムが多く含まれる(食肉加工され残った牛の骨を溶解再合成した)牛骨灰から出来ている。
そのリン酸といえば、植物に必要な「窒素、リン酸、カリウム」の三大栄養素の一つ。
野菜作りをしていると覚えることで、「窒素=葉、リン酸=花・果実、カリウム=根」の栄養素。
(因みに、わたしは「窒素、リン酸、カリウム」を「馬鹿ね~」と憶えました💦)
ということで、リン酸は開花や結実に有効なんですね。
ボナース研究所さんは、そのリン酸を含む牛骨灰を肥料にすべく開発、循環型社会「サーキュラーエコノミー」としたことが興味深い。
家庭やレストランで使った食器、割れたり欠けたりするとやがて肥料となり、それで育った野菜をまた新たな食器の上に盛り付けられるという循環。
その肥料の名が「ボナース」、「Bonearth」。
「Bone China」が「Bone Earth」に生まれ変わって循環するんですね。
「Bonearth(ボナース)」の特徴
このボナース、肥料と言っても想像する土色とは違い原料は美しい陶磁器なので美しい肥料。そしてそれだけでなくメリットも多い。
以下、ニッコー株式会社のサイトからメリットを抜粋してみました。
実用面では、
臭いもなく、長期保存できる安全で清潔な肥料
水に溶けないため、肥料効果が長期的に持続する肥料(河川流出もしにくく環境に優しい)
観葉植物の土の表面に敷き、化粧砂として使用できる
観葉植物の泥はねを防止できる(土が舞わずに清潔で見た目が綺麗)
SDG’sの観点では、
廃棄や埋め立てに伴う環境負荷、CO2削減
リンの輸入や輸送に伴う環境負荷、CO2削減
現存肥料と比較して環境流出しにくいことによる環境負荷低減
わたしの家にはコーヒーの木やモンステラがあり、土の表面に敷き詰めると泥はね防止をして美しくなるのでは、と期待してます。
夏はコバエが土の周りに発生することがあるので、ひょっとして防げるかもと。。。
ニッコー株式会社が考える将来像
将来的には、自社製品に限らず全てのボーンチャイナ商品をボナースに変えていくことを目指しているようです。
第一ステップ
・肥料法で認められている工場で出る副産物(不合格品)のみ
第二ステップ
・市場で使われなくなって廃棄処理するニッコー食器を回収して有効活用(陶磁器は産業廃棄物なので自由に運搬できないという壁がある)
第三ステップ
・他社製品も含めて回収、有効活用
最後に
わたしは食関連の仕事をしていて、洋食器について様々なお話を聞いてきましたが肥料になるというのは目から鱗でした。
食器について昨今、若い世代を中心に現代は所有よりその機能の合理的な利用をする傾向があります。
結果、シニア世代は来客に備えて美しい新品の食器を多く所有、そして捨てられない。かたや現代は新品に拘らず使用に拘り不要なものは極力持たずに使い捨て。
食器はその時代の変化により、ホテル、レストラン、イベント、パーティー、撮影用、ケータリング、専門学校、レンタル厨房、料理教室、など様々な利用方法で保管や処分の問題を聞いたことがある。
シニア世代個人宅では、大量にある洋食器の断捨離に頭を悩ましている。
このような問題が、部分的にも将来的に解決できるかもしれないという希望の光。陰ながら応援します。
わたしの目から鱗の話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
(ご参考:詳しい動画はコチラ36分30秒)